ライブハウスシーンに一石を投じるReVision of Sence×ライブキッズあるある中の人 新世代対談

ReVision of Sence×ライブキッズあるある中の人

大阪を拠点としながら着々と全国にその名を広めてきたロックバンドReVision of Sence。Twitterアカウント「ライブキッズあるある」の管理人であり、DJとしての活動もしているライブキッズあるある中の人――別ジャンルにも見える両者の間には、実は相通ずるものがある。ReVision of Senceは、「新規の誰かを連れてきたらチケット代が無料」という「洗脳会」、友達に配って洗脳するための100円CD『布教用』の販売など、ぶっ飛んだアイディアを次々実行に移しているバンド。ライブキッズあるある中の人は、「新たなかっこいいバンドと出会う感動を、より多くの人に味わって欲しい!」というテーマを掲げ、無料ライブイベント「ライブ行きたい」を開催している。つまり「無料」や「低価格」という大きな入口を設定することによって、幅広い層に音楽の魅力を伝えようとしているのが彼らなのだ。お互いのイベントで共演することも多いReVision of Senceの河井教馬(Vo)と偉町大介(G)、ライブキッズあるある中の人に、抱えている想いを語ってもらった。

司会=田中大 撮影=齋藤毅

自分たちの責任で、自分たちのお金で、自分たちでリスクを背負うから実行できる(河井)

――ReVision of Senceとあるあるさんの出会いは、どのような形だったんですか?

あるある 僕がライブキッズとして行って、モッシュに参加していたのが最初です。ReVision of Senceは「楽しい!」というライブもできるし、感動できる瞬間もあるから大好きなんです。ライブの中に起承転結、ストーリーがあるバンドなんですよ。

――お客さんとして観に行くようになった後に、ご自身が主催している「ライブ行きたい」に誘ったんですね。

あるある はい。去年僕はツアーをしたんですけど、そこに誘って、ほとんどの公演に出てもらいました。

河井 僕は彼のことを全然知らなくて。お客さんがたくさん来るイベントだと聞いたから、全部もらいにいこうかなという気持ちでいました(笑)。

――あるあるさんもReVision of Senceも、「ライブの楽しさを幅広い人に伝えたい」という情熱を持って活動している点は、相通ずるものがありますよね?

あるある はい。僕のイベントも「ライブに来る人が増えたらいいなあ」というところから始めましたから。

――ReVision of Sence は友達に配るための100円CD『布教用』を販売したり、ライブに新規の誰かを連れてきたら無料と、バンド業界の常識を覆すようなことをやっていますが、この発想の源は何なんでしょう?

河井 自分たちで一歩踏み出さないと人生を変えられそうもなかったからです。そして、頭を振り絞った結果、「誰もやってなさそうなところに可能性はあるんじゃないか?」と。

――例えばHi-STANDARDはメジャーでやるのが当たり前だったバンド業界の常識を覆した先人じゃないですか。ReVision of Senceも、今の時代だからこその風穴のあけ方を探しているのかなと。

河井 そうですね。インディーズのレーベルの長みたいな人がいろいろマネージメントしてやるっていうような方法ではなくて、「自分たちの手で」ということをしてみたかったんです。考えたことをすぐやる。誰かの確認をとらずにすぐやってみる。そういうのが、自分たちにとって一番しっくりくることだったんです。

――みなさんは共同生活をしていて、レコーディングも自宅ですぐできる環境なんですよね?

河井 はい。そして、曲もCDで出す前にYouTubeやTwitterとかに上げてます。ライブの動画もバンバン上げてますし。そういうフットワークの軽さがほしいんです。今の子らって、無料のものが多いじゃないですか。そこに抗うつもりはなくて。「ここはタダにして、違うところで返ってくるように」という発想は、自分たちの責任で、自分たちのお金で、自分たちでリスクを背負うから実行できるわけです。

偉町 教馬は「そんな発想する⁉」っていうことをよく提案するんです。いろんな人が間に入ると一旦止まるようなアイディアも、「面白い!」って言ってすぐに実行に移せるのがウチのメンバーたちです。

ReVision of Senceの考え方が、今後のバンド界の常識になるんちゃうかな(あるある)

――あるあるさんもクラウドファンディングでライブをやったり、斬新なことをたくさんしていますよね。

あるある はい。無料の全国ツアーは僕もやりましたから、その辛さ、大変さをよくわかってます(笑)。僕も「誰もやってないようなことをやりたい」っていうのがあって、普段ライブに行かないような人がライブに行って、「やっぱええな!」ってひっくり返る瞬間が作りたいんです。つまり、自分が好きなものを知ってもらいたいんですよ。

河井 僕も誰かの掌が返る瞬間を見たいんです。「今までは挨拶もしてくれなかった人が、なぜか突然、ライブの楽屋に遊びに来てくれるようになった」とか「メールの文章が丁寧になった」とか(笑)。そういうのを体験する度に、自分のやってることを肯定されたような気分になるんです。ただ褒められるよりも、相手にされてなかった人に「イベント出てよ」とか言われた瞬間が、「自分の人生これでいいのかもな」と思える瞬間なんですよね。

偉町 僕らの場合、今までに掌がひっくり返った人を数えたら、ものすごいことになります(笑)。

――ライブハウスでの悔しい体験が歌詞に反映されている“Yeah!めっちゃナンマイダ”みたいなことがいっぱいあったバンドですよね?

河井 ほんまそうです(笑)。僕、ライブハウスの文化がずっと理解できなくて。例えば、僕は打ち上げにあんま出ないんですけど、「打ち上げ出えへんやつロックじゃないな」とか言われたりもして。インディーズにも届かない、アマチュアのバンドの世界って、一番ロックじゃないんです。意識が低い人ほど、スタッフも含めて全部マニュアルでやってるから、変に体育会系的な「これがロックや!」的なものがあるんですよ。「打ち上げは絶対に3時、4時までやる!」とか、決まりみたいになってたりして。やりたくてその時間までやるんやったらいいんですけどね。まあ、そういうようなことに対するアンチテーゼを体現したいっていうのは、ずっとあります。

偉町 僕も教馬にそういうことをずっと言われてきて、すごく説教も喰らってきた結果、人間的に変わってきてます。ウチのバンドはすごい社長がいて、社員の4人のメンバーがいて……っていうような感じですから。

河井 つまり、ReVision of Senceもブラック企業みたいな感じがあるってことか(笑)。

偉町 そうなのかも(笑)。 河井 でも、この人ら(メンバーたち)の昔の悔しさも僕は見てますから、余計に「なんでそれをひっくり返そうとせえへんの?」って思うんですよ。

あるある 今喋ったようなことは、ReVision of Senceの曲にも全部出てますよ。例えば新しいCDの『クズの教典』(会場限定発売ミニアルバム)に入ってる“I'm a クズ人間”も、「否定してくるやつらがいたとしても、それが求められるものになっていくんや」っていうことを歌ってますし。自分たちがしてることをそのまま曲にしてるバンドなんですよね。

河井 ある程度のところに行けるまでって、誰でも自信がないじゃないですか。例えば会社を始める時とかもそうだと思うんですけど。「これでええんかな?」って思い続けなきゃいけない苦しさは、僕らもずっと味わってきたんで、「これだ!」と思って走りだしてる人はやり遂げてほしいし、自分たち自身もやり遂げたいと思ってます。

あるある 僕はReVision of Senceの考え方が、今後のバンド界の常識になるんちゃうかなと信じてるんですけどね。でも、彼らに戦ってほしいのは対バンではなくて、スマホゲームとかなんですよ。スマホゲームの客を全部持っていってほしい。「バンドって何かようわからんけど、ツイッター見たらただでライブやるって書いてあるから行ってみよう」ってなって、友だちと一緒に行ってみたら、「ライブハウス最高! ReVision of Sence最高!」という感じになったら嬉しいです。ほかのエンタテインメントと戦って勝てるような存在になってくれるのが、僕の夢とも重なることです。

――スマホゲームとかに比べると音楽が娯楽として負けている現状への不満も、あるあるさんはかなり抱いているようですね。

あるある 絶対負けてますからね。ライブハウスに1回行ったことがある人より、パズドラをやったことがある人のほうが絶対に多いじゃないですか。携帯代もどんどん上がっていって、お金もそっちにかかってるでしょうし。そのためにも「洗脳会」のようなきっかけで、どんどんバンドとかライブハウスの魅力を知ってもらえたらいいなと。それが今までにはなかった形の「バンドが売れていく」っていうことになると思うんです。だから僕も、もっと彼らを手伝っていきたいです。

公式SNSアカウントをフォローする
フォローする