“オールカテゴライズ”で自分がこれからやっていきたいことを明確に表した

── 楽曲は100曲ぐらいあるそうですけど、どんな曲ですか。

「中高時代に作った曲は、とにかく自分に対して、あまり良くない感情を抱いていた人たちへの恨みつらみが多かったんですけど。これから出していくものに関しては、あまりそういうことじゃなくて、外に働きかけるものを積極的に出していきたいです」

── 過去を清算するという気持ちの切り替えは、どういう風にできたんでしょう。きっかけはデビュー?

「デビュー以前に、忌み嫌う人に対して、単体で恨みつらみを50曲ぐらい作っていて。いい加減不毛だなと思い始めていて。“子捨て山”を作ってから変わった感じですね。一通り吐き出してしまったというか。自分にしかわからないことってあるじゃないですか。自分の作った曲は自分にしかわからない言葉選びで書いていくという。それを周りに理解されないということが、わからなくて。今思えば当たり前なんですけど、それに対しての反発がありましたね」

── 今回シングルになる2曲は、いつ頃できた曲なんでしょう。

「どちらも、大軸というのは高校3年生の夏くらいにできていて。“オールカテゴライズ”は今回タイアップをいただいて、そこから肉付けしていった感じですね。“子捨て山”が過去の自分の清算と外に働きかける中間で作った曲だとすると、“オールカテゴライズ”は踏み出した第1弾というか。やっぱり“子捨て山”を作ったことが大きいと思うんですけど。スタッフの人たちに、自分が恨みつらみで作った50曲だとかも全部聴かせたんですけど、あまり反応が良くなくて。これからどう働きかければ、自分がプロとしてやっていけるのかなと。自分がコミュニケーションを取りたいという、一番念頭に置いてるのはそれなので、コミュニケーションを取っていくにはどうしたらいいのかなっていう蓄積で、“オールカテゴライズ”はできたんじゃないかと思います」

── オーディションを受けるということは、そういう道に進むということを意識するわけですよね。単に自分の作品を発表するに留まらず音楽活動するということを、小学生ぐらいから念頭に置いていた?

「小学校の頃、YUIさんを見た頃から、漠然と歌手になりたいという思いはあったんですけど。高校に入って、さすがに大学生が終わるまでに夢の尻尾がつかめなかったら諦めようと思って。高校の時からシャカリキになってやろうと思って、受けたオーディションが、今回事務所に入るきっかけになりました」

── 今だったらネットに投稿するとか、それでアーティストとして成立させるという方法があるじゃないですか。それは考えなかったんですか?

「自分はわりと、考え方が古くて。インターネットにあげるよりは、音楽関係者の人に気に入ってもらって、それを形にしていくみたいな思いがあって。だからバンドを組む時も、周りより考え方が劣っていた部分があって。オーディションで見かけたバンドの方たちも、打ち込みでシンセの音だとかを入れてきて、それに合わせて演奏するとか、自分にはまったくない考えの方たちがたくさんいて。これからはそういうことも少し取り入れていったほうがいいかなと思っています」

── だから、ずっとギター1本で弾き語りでやってきたんですね。

「ギター1本でも良ければ伝わるだろうという考え方だったので。それでずっと通してきました」

── ちょっと話が前後しますけど、YUIさんの他に影響を受けた楽曲とかアーティストとかあります?

「フォークソングと並行して、ボーカロイドの曲をずっと聞いて、少しテンション的なものに耳も慣れていて。中学生ぐらいから、amazarashiとか聞き始めて。高校でロック熱が一番高まりましたね。一番聴いていたのはamazarashiで。シンガーソングライターだとCoccoさんを聴いていましたね」

── 曲を作る時は、書きたいテーマ、歌詞があって曲ができる感じですか?

「やっぱり、歌詞ありきだと思っているので。一番最初は、一番自分が伝えたいテーマを決めて。そこから、歌詞とメロディの調和というものもあると思うので、歌詞とメロディは同時進行で作っています」

── “子捨て山”だったら、サビのリフレインとか考えながらメロディも考えていくんですか?

「そうですね、“子捨て山”に関しては本当にその面が強かったですね」

── これから書きたいと思うことってどういうことですか?

「普段自分が思っていてなかなか言えないことだとか。聴いてくださる方にも、そこにリンクする方は少なからずいらっしゃると思うので、その方たちに向けて歌は書いていきたいですね。聴く人との対話というか、そういうことをしていきたいですね」

── この2曲が外に向かう転換期だとすると、これから違うものがどんどん出てくると?

「そうですね。“オールカテゴライズ”で自分がこれからやっていきたいことを明確に表したので、変わっていくにしても、自分の中で越えてはいけないラインというのは少し感じていて。その時になったら少し原点回帰していきたいですね」

フォークはあくまでルーツ。
自分がやりたいことはやっぱりロックだなと

── “オールカテゴライズ”は、すべてを肯定するというひとつの宣言と受け取れますね。

「そうですね。今までは拙くて受容できなかった部分が少なからずあったんですけど、自分は根っからポジティヴな人間ではないけれど、こういう形で回り道していけば、ポジティヴな考えができるんじゃないかと思って作りました」

── この2曲は焚吐さん自身が選んでシングルに?

「自分の意思が割と強いですね。名刺代わりになる歌なので。自分の一番ネガティヴな部分とポジティヴな部分が現れた曲をふたつ選びました」

── 名刺代わりですか。アレンジがNeruさんとカラスヤサボウさんで、いわゆるボカロ系のプロデューサーの方ですけど、これは焚吐さんからの指名で?

「第1弾ということで少し挑戦的なこともしたくて。自分がボーカロイドに興味があってずっと聴いていたというのもあるんですけど、このお二方は自分が望んでいるものをちゃんと形にしてくださるんじゃないかなと思って、お二方提案しました。あまりロックに寄りすぎても自分の伝えたいことは違うし、あまり電子的に寄りすぎても少し路線が違うかなと思って。ちょうど中間地点にいるのが誰かなと思った時に、このおふたりかなと思いました」

── アレンジが完成した時の驚きとか喜びとか衝撃とかあったと思うんですけど。

「とにかく、驚きでした。弾き語りでしか自分の楽曲を作ってこなかったので、初めてバンドアレンジがついたとなると、かなり刺激があるなと思いました」

── ここにいたるまでに、ボツになって悲しい思いもしたり?

「たくさんありましたね。当初は僕は弾き語りでデビュ-する予定だったんですけど、どうしてもやりたいことは違ったので。最終的にこの形に落ち着きました」

── デビューしたい形とは? どう違ったんですか?

「自分の声や楽曲性は、フォークが合うんじゃないかと思っていて。だけどやっぱりここは、一番大切なデビューという機会なのでロックをやらせていただきました。フォークはあくまでルーツで、助けられた部分はこれまでもこれからもたくさんあると思うんですけど、自分がやりたいことはやっぱりロックだなと思いました」

提供:Being

企画・制作:RO69編集部

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