異色対談!! オーケンいわく
「打首はロックの新次元だ!」

ハードロックやヘヴィメタルサウンドに、変則的な展開と声を出して歌わずにはいられないキャッチーなサビを投下し、ものすごく独特なグルーヴを生み出す打首獄門同好会。バンド名からしてイっちゃってるが、米のブランドや定食の名前を連ねた“日本の米は世界一”、岩下の新生姜の旨さと料理法を歌った“New Gingeration”等々――初めは「なんだ、これ?」と思うかもしれないが、いつの間にやら「やばい、楽しい!!」に誰もが意識を持っていかれてしまう。去年には結成10周年を迎え、赤坂BLITZワンマンライヴで熱狂の渦を巻き起こしたのもその証拠のひとつだが、ギター・ヴォーカルの大澤敦史が書く、焼き鳥、ドーナツ、一万円札を歌った歌になぜここまで夢中になってしまうのか。それこそ米、カレー、高木ブーを題材にした歌でロックの本質を体現してきた大槻ケンヂ(筋肉少女帯、特撮)が、打首の詞の極意をがっつりと語ってくれた。

司会・撮影=石井彩子

これはね、鉱脈を掘り当てたかもしれませんよ(大槻)

──おふたりが会うのは今回が初めてですよね。

大澤 そうですね。

大槻 俺も筋肉少女帯だけどさ。なんだよ、打首獄門同好会って(笑)。俺絶対さ、怖いジャパコアの人たちだと思って。鋲ジャンでモヒカンで、50歳近い人たちから対談がきたのかと思ってすごい怖かったよ。

大澤 ははははは。名前に騙されたって、バンド始めてからずっと言われ続けてます。

大槻 ほんとだよね。俺も筋肉少女帯だけど(笑)、最近「ふざけてるのか?」ってバンド名が多いよね。ライヴハウスに行って書いてある名前見て、涙が出てくるんだよ。なんでこういう名前つけちゃうのかなあって、筋肉少女帯が思うわけだよ。

大澤 ははははは。

大槻 でもさ、打首の音を聴いておもしろいなあと思ったんだけれども、お客さんはどういう層なの?

──男女半々ですよね。年齢層も幅広い感じで。

大澤 まさに老若男女みたいな。

大槻 ああ、これはファミリー層を狙える! 今までラウドロックがファミリー層を狙う場合は、何十年もやってるうちにファンがお父さんお母さんになって、その子供もファンになってっていう。KISSとかみんなそうじゃない。筋肉少女帯もそうなりつつあるんだけど、そういうふうにファミリー層が増えていくっていうのはあったんだけど、打首の場合はまず女性がふたりいるのと、歌詞が子供にも響くじゃない? 最初からファミリー層を狙えるバンドだから、ファミリー席を早く作ったほうがいいと思う。

大澤 それはいいですね(笑)。最近ファンの方が、こういう写真が、こういう動画がってTwitterとかで寄せてくれるんですけど、3~4歳の男の子が打首の曲を歌ってるんですよ。

大槻 うん、絶対そうだと思う。これはね、鉱脈を掘り当てたかもしれませんよ。ロックって今むしろ、バンドがどんどん歳取っちゃって、中高年から初老が聴く音楽になりつつあるわけだ。で、子供はもうヒップホップとかラップとかそういうのを聴いてるから、ロックなんか聴きゃあしないの。でもそこに、『みんなのうた』とか『いないいないばあっ!』とか、ああいう幼児番組でも聴けるようなロックを作ったら、子供はそこに行ける。で、しかもほら、打首はハードロックだけどファンキーなサウンドだから。

大澤 たまに16ビートとか入れたりして。

大槻 うん。「これは!」っていう。最近ね、小っちゃい子供が親戚関係にいるんですよ。で、その子に筋肉少女帯とかいろいろ聴かせてあげたいじゃない? そしたらやっぱりね、“踊るダメ人間”っていう、♪ダメ ダメ ダメ ダメ人間~て言ってる曲と、♪バッキー バッキー ドルバッキー 暴いておやりよ ドルバッキー~とか、あと♪オレにカレーを食わせろ~とかは、奴らにビンビン響くの。KISSとかもいろいろ見せたわけ。でもうるさいとか怖いとか言って見ないわけですよ。結局、わかりやすい言葉のリフレインと――打首の♪うまい棒、うまい棒~とかああいう。

大澤 まさに子供が歌ってるやつですよね(笑)。

大槻 正直に申し上げて、最初聴いた時に歌詞がなんてくだらないんだ!って思ったのね。で、衝撃を受けたの。「なんだこれは?」って思ってたんだけど、だんだん聴いてるうちに「これは新しい」と。日本のロックを産業的に変えるほどの発明かもしれない。

大澤 ほんとですか?(笑)。

大槻 つまり、子供にわかる。ロックってほら、子供がもう子供じゃないっつって、で、大人は嫌いだっつって聴くものだったから。大人びていることとか、内省的であったり、自己分析的であったり、無意識層から訴えかけてくる普遍的なことを書くのがロックの詞だったじゃないですか。そういう強迫観念があったと思うのね。でも大澤くんの詞はそれがないんだよね。

大澤 ないですね(笑)。

大槻 リミッターを外したんだよ。もうそういう時代じゃないっていう。無意識にやったんだろうけど。そしたら溢れ出る幼児性が――『みんなのうた』かよ!っていう。でも、そこだったんだよ。これは、初めて大人がキッズに薦められるラウドロックですよ。ハードロックは子供は聴いちゃいけないって言われてたんだけど、そう言ったらCD売れないんだよ。そういうロックが衰退してく中でお薦めできるんですよ、打首は。

大澤 ありがとうございます。なんかすごいことをしている気分になってきました(笑)。

大槻 うん、俺も今すごいこと言ってる気分になってきた。

──ははははは。やっぱり、単純明快な歌詞の求心力ってすごいですもんね。

大槻 でも逆に、こういう打首みたいな歌詞を書き続けるって、俺大変だと思ったな。

大澤 実際に作り続けて、いつか枯れるんじゃないかなって不安は常にあるんですけど。打首って食べ物の歌が多いんですけど、自分が新しく何かの食べ物にはまらなくなったら、食べ物の歌はできなくなるなっていう危惧なんですよ、どっちかっていうと。でも意外と歳を取っても、新しい食べ物のテーマって生まれてくるんだなって。

大槻 あ、くるくる。それはくる。でもね、食べ物系の歌詞っていうのは難しくて。僕も♪オレにカレーを食わせろ~っていう、“日本印度化計画”とか、“日本の米”っていう曲も作ったことあるんですよ。僕はそこで食べ物のことをおもしろおかしく歌ってるけど、ダブルミーニングとか実は――みたいな。そういう深みみたいなものをつけたがる派閥なのね。そうしないと絶対できない。それか強烈に才能のある人が、何かその才能のひとつとして食品に手を出すっていう歌詞のスタイルがある。シブがき隊の“スシ食いねェ!”なんてね。

↑TOPに戻る

公式SNSアカウントをフォローする

邦楽 人気記事

最新ブログ

フォローする