極彩色な異端児ガールズユニット・惑星アブノーマル 史上最高にキャッチーな最新作完成!(2)
悲しいことがあっても「こんなことあってさあ~」って笑いながら話せる人間がいいなあ(たねこ)
――『VIVI de VAVI de LOVE』というタイトルにも繋がることかもしれないですけど、今回ってラブソングもテーマ?
たねこ はい。「ラブ&マジック」っていうコンセプトでやってます。もともと入れたいと思ってた曲は、いくつかあって。「次のコンセプト、何にしようかな?」って思ったんですけど、入れたかった曲にラブソングが続いてたので、「せっかくだからラブソング集にしちゃおうかな」と。そして、「ラブソングにするなら派手派手でキラキラでマジカルな感じにしたいな」って思ったんです。
――前作に入ってた“ムテキの恋人”や“美術II”とかもラブソング的な側面を持っていましたけど、結構ひねくれた感じがあったじゃないですか。それを考えると、かなり変化していると思います。
たねこ そうですね。前作もすごくキャッチーなものにしたつもりだったんですけど、今となっては「あれはB面集だったな」と思ってます。今回は全曲をA面に感じてもらえるものになったんじゃないですかね。
――ロマンチックな“スターライトマリッジ”は、まさに「A面」っていう感じです。
テナ この曲、結婚式を意識してます。
たねこ 結婚式とかで流して欲しいですね。でも、気分が悪いときに聴きたくはないんですけど(笑)。
テナ そうなの?
たねこ 「めっちゃ幸せ~」っていうときだったら感情移入して聴けると思うんですけど、そうじゃないときはなんか腹が立つ(笑)。
――自分が作った曲に対して「気分が悪いときに聴きたくはない」って言うミュージシャンに会ったのは、生まれて初めてです(笑)。
たねこ そうですか(笑)。まあ、せっかくラブソング集なので、結婚にちなんだ曲を入れたかったんです。聴いた人から「この曲、好き」っていう感想をもらったんですけど、すごく嬉しかったですよ。
――ブラスとかが入ってて、温かい仕上がりのサウンドですね。
テナ この曲、まさにDaichiさんのセンスが光るアレンジです。
たねこ 「エレクトロスウィングみたいなの、いいよね?」っていう話になったんですよ。ギリギリまでアレンジが固まらなくて、「どうしようかな?」ってなったときに、そのアイディアが出て。Daichiさんにアレンジをして頂いたのを聴いて、「わあ、これだ!」ってなりました。
テナ どの曲もいいアレンジになったことを考えると、改めてDaichiさんとの出会いって良かったなと思います。
たねこ Daichiさん、優しいし。今回のやり取りで、ほんと仲良くなりました。こういう出会いを今後さらにしていけたらいいですね。そういえば、“美術II”と“ムテキの恋人”のリミックスをお願いした石井浩平さんもいい出会いでした。Alaska Jamのライブを観に行ったときにご挨拶しただけの繋がりだったんですけど、リミックスをお願いしたらすごくいいものにして頂けたんですよ。
テナ リミックスによって、すべてがオシャレになったよね?
たねこ うん。
――“美術II”って朝帰りした画家の言い訳の曲ですけど、それがこんなにオシャレに聴こえるなんてびっくりでした。
たねこ リミックスは、シリアスな印象になってますよね。もともとはギャグ寄りでしたけど。
――“NAGUSAME NIGHT”に関してはいかがですか? 浮気の一歩手前の背徳感がディスコサウンドになっているのが印象的だったんですけど。
たねこ やっぱり、こういうのも描きたいんですよね。
テナ ほかの曲の色をピンク寄りとするなら、“NAGUSAME NIGHT”は紫ですね。私たちがもともと持ってる部分が出てると思います。
たねこ 「暗いけどお客さんが楽しんで手を挙げてる」みたいなイメージで作った曲なんですよ。
――この曲みたいなドロッとしたところは、やっぱり惑星アブノーマルの核ですね。例えば“こゝろ死なせないで”も超カラフルなサウンドですけど、「白い目で見られるけど、私はこんな感じなんです」っていうドロッとした部分が見えますし。
たねこ 私はこういうやつなんです(笑)。“こゝろ死なせないで”は、反省したときに作ったんですけど、重くなるのが嫌だったのでコミカルに謝る曲にしました。
――「重くなるのは嫌だ」っていうのも、惑星アブノーマルの音楽を語る上で大事なポイントかも。
たねこ 私、メンヘラ、ヤンデレっていうか、そういうところを周りに嫌がられたことがあるんですね。人に嫌われる人間にはなりたくないけど、私はどう考えても間違いを犯しちゃう(笑)。だから「たねこだから仕方ないな」って言われる人間になりたくて。そのためにも重くならないように、明るくいるようになるべくしています。悲しいことがあっても「こんなことあってさあ~」って笑いながら話せる人間がいいなあっていうのはありますね。
私たち、武道館でやってるほかのアーティストさんに羨望の眼差しを向けてますから(テナ) そういう目標を実現するためにも、私たちの「ヘンテコ」をもっと世に広めます(たねこ)
――重いことをキャッチーに浄化して成仏させる感じって、惑星アブノーマルの本質じゃないでしょうか?
たねこ そう思って頂けると嬉しいね?
テナ うん。
たねこ テレビとかでアーティストさんが暗い発言してるのを観ると引っかかることがあるんですよ。「甘えてんじゃないよ」と(笑)。
テナ ほほお~!(笑)。
たねこ だから私は明るく頑張りたいです。
テナ 普段からそう言ってるんですよ。そういう部分は、たねこの書く歌詞に表れてると私も思います。
たねこ ハッピークソ野郎?
テナ はい(笑)。
――「ハッピークソ野郎」って、分かりやすいですね。汚い表現だから記事の見出しとかには使いたくないけど(笑)。
たねこ それが私のテーマなんです。
――誰の心にも何かしらのクソ野郎って、いるんじゃないですかね。それをハッピーなものに転じられるかどうかは、その人次第ですが。
たねこ そうです。みんなクソ野郎です(笑)。
テナ 私の中にもいますからね。でも、私はたねこと違って、それを表には出さずに隠すタイプ。心の中でだけ毒を吐いてます(笑)。
たねこ 出すなら出し方を考えるのが大事なんです。だからもっと腕を磨いて頑張ります。
――腕は着実に上がっているんじゃないですか?
たねこ どうなんですかね?
テナ 私たち、気づくのが遅いんですよ。
たねこ 「前作はB面集だった」っていうのも、さっきお話をしながら気づいたことですし(笑)。
――描きたいことも、広がっています?
たねこ そうですね。ネタがないと思うときは周りの人にいろいろ訊きますし。この前、訊き過ぎて「失礼」って言われました。
テナ 失礼⁉
たねこ うん。不幸話を「それで、それで?」って面白おかしく訊き過ぎて(笑)。
テナ そりゃそうなりますね(笑)。
――(笑)そんな惑星アブノーマルの今後の目標は?
たねこ 超武道館に出たいです。
テナ 「超武道館に出たい」って、すごい言い方(笑)。
たねこ 武道館でやってる人、めっちゃ羨ましいんですよ。
テナ そうだね。私たち、武道館でやってるほかのアーティストさんに羨望の眼差しを向けてますから。
たねこ そういう目標を実現するためにも、私たちの「ヘンテコ」をもっと世に広めます。ますますライブと制作に励まないと。そういえば、私たち、宇宙人設定をやめたんですよ(※以前は、「私たち、宇宙人なんですよ」と言い張っていた)。「宇宙から来ました」って言っても、「私も一緒!」って人がいないじゃないですか。親しみを感じてもらえないなと。
――本当は金星とかから来た人も、なかなか言いづらいですよね。
テナ そうですね(笑)。
たねこ あと最近、ツイキャスもやってますし、そういうのもたくさんの人に知ってもらうきっかけにしたいと思ってます。とにかく、ここからさらにいろいろやっていきますよ。

提供:ケーアンドエー
企画・制作:RO69編集部