武道館ワンマン目前! GLIM SPANKY、ライブに懸けるもの、そして最新作『愚か者たち』を語る

武道館ワンマン目前! GLIM SPANKY、ライブに懸けるもの、そして最新作『愚か者たち』を語る

毒々しい心の裏側を表現できた(松尾)


――まずは全国ツアー「BIZARRE CARNIVAL Tour 2017-2018」おつかれさまでした。ファイナルの新木場STUDIO COAST公演(1月6日)を見せていただいたんですが、“THE WALL”で始まり“アイスタンドアローン”で終わる『BIZARRE CARNIVAL』の世界観の本編の中に、自分たちの現在地を描ききっていましたね。

亀本 まだデビューして4年ぐらいで、アルバム3枚しか出してなくて……出すアルバムごとに更新していかないといけないと思っていて。ツアーも過去曲に頼るよりは、アルバムありきで観せていく方がいいんじゃないかっていうことをずっと思っていたので。「ライブだし、もっと盛り上がる曲いっぱい入れてもいいかな?」とか――フェスでやった時に盛り上がりやすい曲とかもあったんですけど、あえてそうではなく、アルバムの流れに合う曲を選んでやったので。そういう曲でもいい感じになったのは良かったなあと思いますね。

――“THE WALL”“アイスタンドアローン”はどちらかと言えばBPM遅めの、シビアで重い意思表明の曲なんですけども。それがあのライブの場所で、何よりのロックアンセムになっていくっていう。

松尾 そうですね。アッパーな曲ももちろんやるし。でも、ミディアムな重いテンポのロックもしっかり確立したいなとずっと思っていたので。お客さんも、そういうノリをちゃんと理解して、自分たちで思い思いに楽しんでもらえてるなっていう感じがあったので手応えはすごくありました。

――意志とロックのギアががっちり合ってるライブ空間だったなあと思いましたね。で、そのツアーファイナルのアンコールでも演奏していたのが、今回の新曲“愚か者たち”で――GLIM SPANKYが映画の主題歌という形で「求められているもの」と、GLIM SPANKYが「掲げていきたいもの」とが、いい形のハモり方をしている曲のような気がするんですけども。

松尾 よかったです。昔――っていうか1年ぐらい前に“愚か者たち”ができて、そこから『BIZARRE CARNIVAL』を作ったんですよ。なので、この曲は後から出るんですけど、本当はもともとレコーディングしてあって。

――ああ、時系列的には逆なんですね。

松尾 そうなんです。「これからアルバムを作る」っていうことはわかってはいたんですが、でもどんなアルバムを作るか、自分たちで予想できないので(笑)。「とにかく今、自分たちが純粋にカッコいいと思うものを作れば、たとえ次にどんなアルバムができたとしても、その後に胸を張って出せるものになるだろう」っていうことで、自分たちの好みを反映もしましたし。監督と最初にお話したんですけど……「GLIMらしさ」ってよく言われるんですけど、それって自分たちでは何だかよくわからないんですよね。自分たちはいいと思ってるものをやってるだけなので。まあ、「今までやってきたGLIM的な尖り方は消さないでほしい」みたいな――普通にならず、ちゃんと尖ったままでいいんですよ、っていうことを言ってくれたので、変に「映画だから万人受けを」とかいうことも考えずに、でももちろんいい意味での「いろんな人に聴いてもらえる曲」っていうものは考えて作ってはいるんですけど。それよりも、テレビで流れた時とか、街でパッと聴いた時に「何あれ?」みたいに思われる方がいいかなと思ってたので、サウンドも攻めてますし、歌詞も問いかけてるし、最後は「お前らさあどうする?」ってリスナーに問いかけて終わるっていう。映画のシリアスな部分とか、人間の内面の――何かに依存しやすかったりとか、誰かのひと言ですぐに人生が変わってしまったりとか、そういう毒々しい心の裏側の面も、サウンドとか歌詞で表現できたと思います。

音楽的に自分たちで何か新しい挑戦をした曲ではない(亀本)


――歌詞もそうだし、ギターのサウンドも挑みかかってくるような感覚がありますよね。イントロの印象的なフレーズも効いてるし。

松尾 あのフレーズは、迫ってくる感というか――ちょっと違うんですけど、たとえば『ゴジラ』のテーマ曲みたいな、ちょっと怪しい、怖い感じを出したくて。マイナー音階だけど強い、みたいな感じのリフを作って、それがうまくいったので。

――ロックンロールの常道とか手癖から出てくるフレーズではないですよね。

松尾 あれは亀田(誠治)さんのスタジオで――最初はあのフレーズだけなかったんですよ。あの後の、カメ(亀本)が弾いてるまた違うメロディがあるんですけど、その状態で映画サイドに出したら、「始まりにもうちょっとインパクトが欲しい」って返ってきて、いろんな方法を試したんですよ。亀田さんからもいろんなアイデアをもらったんですけど、しっくりこなくて。「ちょっと休憩しよう」っていうことで、亀田さんちのトイレで「ああ、どうしようかなあ」ってずっと考えて、手を洗いながらひらめいたフレーズが、あのリフだったんですよ。ギターを弾きながら作ってなくて、脳の中で歌いながら作ったので。「手癖で出てくるものじゃない」っていうのは、まさにそうでしたね。

――この“愚か者たち”もそうですけど、あのツアーファイナルでの亀本さんは、今まで以上にギターヒーロー感がありましたよね。

亀本 ありましたか? 特に意識はしてないんですけど(笑)。特にこの曲とかは、音的にもストレートなので、より曲に合ったステージングをした方がいいなって思ってますし、それは他の曲もそうなんですけど。ただやっぱり、この曲は僕ら的には、アルバムの前に作った曲なんで、どうしても「過去にやりたかったこと」というか……映画的に「こういう音が合うでしょう」っていうところで、自分たちのストックの中から作っていったものなんで、音楽的に自分たちで何か新しい挑戦をしたっていう曲ではないんですよね。もし映画の主題歌とかじゃなかったら、「次どんな曲を作ろう?」っていう時に、ばりばりのディストーションの曲とかはたぶんやらないはずなんですけど。でも、そういう音ってキャッチーだし、ストレートだし。観てる人からしたら、「ハードだけどよりキャッチーなものをさらに作った」みたいな見え方もしてるんだろう、っていうのも考えながらライブでもやってる――みたいな(笑)。そういう感覚も、ステージングとかに影響してるのかもしれないですね。

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