the band apart、トリビュート盤リリース記念! 盟友・FRONTIER BACKYARD、ASPARAGUSを迎えた座談会インタビュー!

the band apart、トリビュート盤リリース記念! 盟友・FRONTIER BACKYARD、ASPARAGUSを迎えた座談会インタビュー!

俺たちはバカの最後の世代ですね(笑)(ASPARAGUS・渡邊)


――トリビュートに入ってる他のアーティストのカバーに関しては、どう思いましたか?KEYTALK、ゲスの極み乙女。、tricotとか、実力のある若手も参加してますよね。

川崎 tricotとは付き合いが古いんですけど、選んだ曲が結構マニアックで(“泳ぐ針”)。このあいだ、ドラマーのやつと、たまたまフェスのバックヤードで会って。「なんで、あんなマニアックな曲にしたの?」って聞いたら、「メンバー全員一致したのが、あの曲だったんですよ」って言ってたから、変なやつらだなと思いました(笑)。結構年は離れてるのに、こんなところまで聴いててくれてるんだと思いましたね。

荒井 KEYTALKは、一度、ライブに呼んでくれたんですよね。その時に、聴いてくれてたみたいな話をしてくれて。単純にそのことが嬉しいんですよ。僕もフェスの時に(小野)武正くんに会って、「好きな曲をやらせてもらって良かったです」って言われたんですけど、逆にこちらこそ「ありがとうございます」っていう気持ちです。

川崎 俺は八十八ヶ所巡礼にカバーをしてもらったのが嬉しかったですね。前、一緒にライブをやった時に、いきなり「今日、the band apartのカバーをやりますから」って言ってくれたのに、まったく何の曲なのかわからなくて。そういうのを期待して聴いたら、今回はどストレートなのがきたから、改めてかっこいいなって感動しました。

一瀬 何の曲かわからないって面白いね(笑)。

――若い世代のバンドが、これだけ熱量をもってカバーをしてるのを聴くと、やっぱりバンアパが今の世代に与えた影響は大きいなと思いますよね。若いバンドのインタビューをしてても、「バンアパの影響を受けてます」っていう声は多いですし。

渡邊 ふたりギターがいる、このスタイルを流行らせたのはバンアパですよ。

木暮 まあ、でも……俺、18 歳の時に、スキャフルと、キャプヘジ(CAPTAIN HEDGE HOG)とpopcatcherのデモテープを集めてたんです。(トリビュートに入ってるのは)全員そういう知ってるやつですからね。それが、すごい嬉しい。

一瀬 お前、popcatcherは嘘だろ?(popcatcherは、一瀬が所属していたバンド)

木暮 本当ですって(笑)。その頃、俺とまーちゃんで、かっこいいバンドがいるからって観に行って、「すごい! 面白い!」って言ってたから。

渡邊 そんなバンドが、今は若い子に影響を与えてるわけですよ。

木暮 ここ(フロンティアとアスパラ)を通って、ここ(バンアパ)を通って、また新しいバンドが出てきてるっていうのは面白いですよね。

――ええ。直接的にも、間接的にも、フロンティア、アスパラ、バンアパの音楽が、確実に新しい世代に受け継がれていく感じがしますよね。

TGMX 印税がほしいですね。

――若手に「影響を受けてます」って言われたら、お金が入る仕組み(笑)。

TGMX 影響印税(笑)。

全員 あはははは!

一瀬 やっぱりバンアパは、ひとつの時代を作ったっていうと変かもしれないけど、そういう存在だと思います。「バンアパ以降」っていう言い方をしますよね。フォーマットなのか、アレンジの仕方なのか、うまく説明はできないけど。こういうスタイルでロックをやってるバンドのなかでは、エポックメイキングだと思いますね。

――最近の日本のロックシーンに対して思うことはありますか? 若手の台頭を見て、自分たちが出てきた時とは「ここが違うな」とか。

原(昌) 考え方が全然違いますよね。まず俺らの時は配信がなかったし。そこで、どういうふうに音楽を盤にしていくかっていう考え方が全然違うんじゃないですかね。最初にストリーミングが始まった時は、すごく怖かったんですよ。

――音楽業界全体がビビッてましたよね。反対も多かったし。

原(昌) でも、結局、俺もApple Musicとか聴きまくっちゃってますからね。俺がいちばん使ってるんじゃないかってぐらい。だから、受け入れていくしかないんじゃないですかね。結局、若い子に粋がったって、ぶっ殺されますから(笑)。

渡邊 たしかに(笑)。

原(昌) どうやって若い子に媚びへつらっていくか。

全員 あははははは!

原(昌) 勉強しないといけないなと思いますね。

川崎 今は情報が入り過ぎるからね。昔は曲が先行してて、人が見えない状況で「すごいな」と思ってたけど、出会ったら、こういう感じの人なんだっていう……ざっくばらんで全然偉そうな感じじゃなくて……そういうのが好きだった。でも、今は最初から人が見えてるからね。

木暮 若い子たちのバンドは、僕らの時代よりも大変だと思いますよ。僕らは音楽だけで勝負をして、それ以外は何も考えてなくてよかったんですけど、今の子たちはいろいろな情報が簡単に手に入るから、バンドを始める前から、ライブのパフォーマンスとか見た目を、自分たちでプロデュースしてないといけない。どんなふうに売り出すかを最初から考えなきゃいけないぶん、それをちょっと変えたらブレたって言われたりとか。

原(昌) ああ。

木暮 俺らなんて、ずーっと少しずついろいろなスタイルに変わってるけど、関係ねえやって思ってやってきたから。最初から位置づけられてしまうぶん、いきなりガーンって人気が出たら、そこから逃れられないんですよね。そういう苦労があるのかなって感じますね。それこそ昔は音源を聴いて、ライブを見るまで、どんな人がやってるのかわからなかったりしたけど。今は、みんな名前も知ってるじゃないですか。

川崎 俺、最初は忍さん、ベースだと思ってましたもん。CAPTAIN HEDGE HOGの。たしかあの頃、角刈りだったじゃないですか。

渡邊 角刈り=ベースって、マジで偏見だぞ!

全員 あはははは!

一瀬 俺、持ってた(バンアパの)デモで、川崎が写真の真ん中で写ってたから、ボーカルだと思ってた。あと、テーブルの前に焼酎の瓶を置いてるアー写もあって。

原(直) 鍋みたいなのがあった。

一瀬 それ1枚しか情報がないから、「こんなバンドなの!?」と思って、ライブに行ったら全然違った。だから情報がないほうが面白いんですよ。

TGMX 面白い。どんなやつかわからないからね。

渡邊 今はそれぞれのツイッターとかSNSのアカウントを掘っていくと、全部バレちゃうからね。あと僕らの世代は、音楽って何もわからなくても、楽しいから闇雲にやってたんですよ。根性論とか熱さでいくこともできたけど、今は根性論だけではできない。パッションだけじゃダメなのかな?っていうのが見えちゃってるんですよね。そのぶん、みんなしっかりしてる。簡単に言えば、バカがいない。

TGMX ああ(笑)。

渡邊 おかしなやつはいるけど。「俺たちは、何でもいいぜ」っていうのは、あんまりいない気がするんですよ。俺たちはバカの最後の世代ですね(笑)。

――フェス文化も20年を経て定着しましたし、それこそ先輩たちが作ってくれた道筋があるから、そのうえでクレバーに闘えるバンドが増えてる感じはしますよね。

渡邊 それができなかった最後の世代なんですよ。バンアパなんて、アホばっかり(笑)。やり方が上手いなと思ったことはないですもん。不器用だと思いますよ。自分たちを良く見せる、売る才能はそんなにないというか、純朴なやつら。

一瀬 純朴なやつらって(笑)。

全員 あははははは!

渡邊 そこがみんな好きなのかもしれないですよね。


この2バンドがいてくれたから、僕らは20周年を迎えられたと思います(the band apart・川崎)


――たとえば、これからバンドを始める中高生たちに期待したいことってありますか? こういうことをやってくれたら面白いよね、みたいな。

一瀬 最近、上手くないといけないみたいなのがあるじゃないですか。クオリティが高い音楽が増えちゃってますよね。なのに、ドラムの生音を知らないこともある。あんなにバカみたいに上手い(打ち込みの)音源ばっかり聴いてたら、叩けるわけがないんですよ。それで実際にバンドを組んで、心が折れちゃう人が多いような気がして。英才教育で上手い人ばっかりになっちゃってるけど、バンドをやるって、そういうことじゃないから。バンドが好きだったら、下手でもいいから胸を張ってほしい。そんなに上手くなくたって、かっこいいことは表現できる。練習したり、ライブをやれば、だんだん上手くなるから。

原(昌) バンドって上手くやるっていう以前に、特殊部隊的な要素がありますよね。そういうところにバンドの面白さがある。

渡邊 (川崎は)俺よりも全然ギターを始めるのが遅かったけど、上手いからね。

川崎 いやいや(笑)。

渡邊 まあ、速さは俺のほうがハンパないですけど。

一瀬 何を競い合ってるんだよ(笑)

原(昌) 大事だよ。たとえば、「どんなギタリストなの?」って聞かれて、「うーん、繊細なこともできるし……」とか言われても、面白くないじゃないですか。でも、「ヤバいくらい速い」っていうほうがかっこいい。

木暮 あとは今の時代にバンドをやるなら、面白い友だちとやったほうが楽しいと思います。ひとりで何でもできるじゃないですか、今の人たちって。世界的にもバンドは減ってきてるし、みんなラッパーになりそうだけど。バンドをやるんだったら、同級生とか自分の周りにいる面白い人たちとやったほうがいいんじゃないかなって思いますね。自分の体験でしかないけど。

渡邊 俺らって同級生だったり、偶然の出会いに運命を感じて一緒にバンドをやってるけど、最近の子たちって、何個もバンドをやってるでしょ?

川崎 ああ、そうですね。

渡邊 股かけすぎなんですよ!

全員 あはははは!

渡邊 そうなると面白くないですよね。保険をかけてるみたいで。1個のバンドに命をかけて、おら、みたいな、そういうやつらが俺は好きです。高校もいけないようなバカなやつが、夢見てやったるぞっていうバンドが出てきてほしいですね。

川崎 苦言を呈してる(笑)。

渡邊 苦言じゃない!

一瀬 おじさんがモノ申したよ、横浜のヤンキーがモノ申した!

渡邊 やめよっ! もうやめよ、これ。

――(笑)。バンドっていうものに運命とかロマンを感じてるからこそ、ここまで続けてきた3バンドですからね。まだまだ音楽をやめる姿なんて全然想像できないし、これからも演奏できる限りはずっと続けていくんだろうなと思いますけど。

一瀬 わからないですよ、それは。やり続けなければいけないわけじゃないから。ただ、好きだからやってるだけだから。やりたくなくなったら、やめる。

渡邊 でもねえ、好きなんだよねえ(笑)

荒井 俺らはずーっと年下だから、続けられるのかなと思いますね。

木暮 それは本当に思う。先輩たちが本当にがんばってるから、何を甘いことを言ってるんだよって、自分たちに言い聞かせてる。

川崎 だから、どっちかが解散したら、うちらも危ないなって思うよね。

荒井 逆に何があっても続けてるっていうのを見てるから、自分たちも続けていけるなっていうのはありますよね。

――運命共同体じゃないですか、ある意味。

川崎 本当にこの2バンドがいてくれたから、僕らは20周年を迎えられたと思います。さっき田上さんは、僕らが走り出す前から、僕らのライブを観にきてくれてたって言ってたし、忍さんも、最初レーベルを決める時に、無理やりKOGA(RECORDS)に引きずり込もうとしてくれたし。ずっと支えてくれてる2バンドだなっていうのを、20周年で痛感しました。

――わかりました。素敵な締めの言葉をもらえたところで、座談会を終わります。

一瀬 20周年、おめでとうございます!


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