自分が一番本領を発揮できるのが歌だと思うので、そういう瞬間に自分のバトルモードが発動する

――活動を重ねる中で、ロックファンにも支持されるようになりましたよね。作曲がMY FIRST STORYで、ナノ feat. MY FIRST STORYという名義でリリースされた“SAVIOR OF SONG”も、ロックとしてとてもかっこいいです。

「この曲がかっこいいのは、曲を書いてくれた人のおかげですね（笑）。今でもライブで歌うと、ものすごく熱を感じます」

――「熱」って、ナノさんの歌を語る上で重要なキーワードだと思います。「歌いながら戦ってる！」っていう印象がありますから。

「自分が一番本領を発揮できるのが歌だと思うので、そういう瞬間に自分のバトルモードが発動するというか。『ここが自分の居場所だ』ってわかるからこそ、力が湧いてくるんですよね」

――僕は特に“MY LIBERATION”を聴くと、すごくナノさんの姿が浮かぶんですよ。

「そうなんですね。この曲の歌詞は、自分自身へのメッセージみたいな感覚があります」

――今までの取材で同様のことを何度か言った記憶がありますが、《何度燃え尽くされ　その灰から立ち上がる人生》って、僕が思うナノさんのイメージそのものです。

「そこの部分、何度も言ってくれますよね（笑）」

――聴く度に印象的ですから。

「自分は、人生の中であと何度燃え尽きて、また何度灰から立ち上がるんですかね？（笑）。昔に比べると燃え尽きる寸前で済むようになってきてる感覚はあるんですけど、今後、何度燃え尽きたとしても、絶対に立ち上がりますよ」

――新曲の“INSIDE MY CORE”も、不屈の闘志と熱いエネルギーを感じる曲です。

「『とにかく自分の中にあるものを外に出す！』という気持ちの曲なので、レコーディングの時も、ただただ魂の底から叫ぶような感じでしたね」

目指してるものには遠いけど、自信を持てるようになったし、過去も含めて「これがナノです」って言えるようになりました

――アニメの曲をたくさん歌ってきましたけど、それぞれの作品を踏まえて歌詞を書いたりすることによって、表現の幅も広げてきましたよね。

「そうですね。『作品を踏まえる』というのは難しさもあるんですけど、『誰かを満足させたい』というのは、『自分を満たしたい』ということよりもやりがいがあるし、熱もこもるんです。喜んでもらいたいというのがなかったら、多分、ミュージシャンってできないと思います。趣味だけで満足できるのだったら続かないです。『届けたい』っていう気持ちがなかったら、『生み出そう』っていうきっかけにもならないでしょうね。ミュージシャンによって社交的かどうかとか、MCが苦手とかはありますけど、根っこのところでは、なにかしらの『発信したい』『他人のために生み出したい』っていうのがあるんだと思います」

――その姿勢は、特定のジャンルに縛られないことにも繋がっていきますよね？

「そうなんだと思います。自分はアニメソングも歌ってきたし、ニコニコ動画でもやっていましたけど、本質的な部分ではジャンルにこだわらずにやってたんですよね」

――そういう姿勢で生み出してきた様々な曲と向き合って、「自分のここは変わったのかな？」って感じる部分はあります？

「一番変わったのが、『自分自身を前より好きになれた』っていうことです。『好きになる』っていうのは、『これがナノです』っていうのが言えるようになってきてるっていうことなんですかね？　まだまだ目指してるものには遠いんですけど、自信を持てるようになったし、過去も含めて『これがナノです』って言えるようになりました」

――変わっていないところは？

「心はずっと子供のままだというのは、変わってないですね。子供のままでなかったらハングリー精神もなくなると思うし、新しいものを作る意欲も湧かないでしょうし。だから、年を重ねる毎に子供の部分が出てきてもいいのかなと思ってます。いろんな尊敬するアーティストさんを見ていても、作り上げていく部分ではなくて、生々しい部分が魅力的に感じられるので、自分もどれだけ長い月日が経っても、そこは忘れちゃいけないと思ってます」

――ナノさんの「子供」としての部分って、やはり「歌いたい」「表現したい」っていう根源的な欲求でしょうか？

「そうですね。『やりたいことを仕事にできてる』っていうのが、そういう部分を保てている一番の理由なのかなと。だから音楽の仕事と出会えて自分はラッキーだったし、一生手放したくないと思ってます」