ONE OK ROCKの疾風怒濤の新曲“Renegades”、そして全開のロックモードをTakaが遂に語った!

ONE OK ROCKの疾風怒濤の新曲“Renegades”、そして全開のロックモードをTakaが遂に語った!

自分がこの1年半とかで見てきた景色、ロック以外に当てはまらない。だから確信を持って今、ロックに向き合ってるって感じ


――早速、今回の新曲の話に行きたいんだけど、これは2月にイギリスでレコーディングしたっていうことで。

「はい」

――制作そのものはいつ頃から始まっていたんですか?

「これがたぶんアルバム用に作ったものの中で、いちばん最初のセッションだったかな」

――曲そのもののイメージはどうやって出来上がっていったんですか?

「基本的にこれ、エド(・シーラン)との共作なんですよ。coldrainのMasato(Vo)も入ってるんですけど。3人、プラスToru(G)ももちろんいたし、いろんなプロデューサーが入ってますけど。元々エドとのセッションは決まってたんですね。映画(『るろうに剣心』)の話とかはしてなくて。僕の中で、不思議なんですけどコロナが始まる前から、強い怒りみたいなものがふつふつと湧き出てたタイミングだったんです。それはもう、ほんとにこの歌詞の通りなんですけど。ツアーを回っている最中ですね、自分の中で芽生えた感情があって。それにフォーカスを当てていくと、結局今の自分たちがいる場所に辿り着いてるんです。まさに独立も含めてですね。何かこう、使命感をすごく感じた瞬間があって。あとは映画のテーマとか、そういうものが一気にリンクしたんですよ。ちなみに次のアルバムは、テーマを持って作るっていうことをやってたんです。今までは曲をとりあえず作って、アルバムタイトルを決めるみたいな感じだったんですけど、今回はアルバムタイトルが決まってないにしても、アルバムのテーマは決めていくっていう」

――新しい作り方だね。

「そうですね。それもたまたま、今プロデューサーをやっているロブ(・カヴァロ。グリーン・デイマイ・ケミカル・ロマンスなどのプロデュースで有名)が、レコーディングをする時やプロデュースする時に使う手法だったらしくて。要は音楽からではなくて、精神面から作っていくっていう。今、どういうことを思っていて、どういうことをやりたいのか、どこに行きたいのか、どういうバンドになりたいのか、そこから紐解いてこういう作品を作るっていう。それも(ロブが)インタビューしていくんですけど。で、映画もあってっていうことで、Masatoがエドにそれを英語で説明したんですよね。映画の内容を。エドも『るろうに剣心』をちょっと知ってて。そしたら一気に舵がこっちに動いて、『じゃあその映画の曲を作ろう』って感じですね」

――これまでエド・シーランとはライブで共演したことがあったと思うんだけど、一緒に曲を制作してみて、改めて音楽家としてどうでした?

「いやもう、すごすぎますよね。超早いし、作るの。ついていけないぐらい早い。でもそれ以上に、人として素晴らしすぎるので」

――それはもう、いろんなところから伝わってくるよね。

「もう、ほんっとに素晴らしすぎて。脱帽です」

――彼のどういうところがいちばん愛せるポイント?

「もうね、痛みを知ってるんですよね。人の痛みを知ってるから、絶対に横柄じゃないし。常に平等であるべきだっていう。で、すごく愛のある人で。あそこまで売れて、あの感覚を保ちながら生きていけるのは、ほんとにそれを超えるつらい経験をしてるんだろうなっていう感じですね」

エド(・シーラン)からの提案が最初からもうロックだった。それは僕らも一緒の気持ち。ちょっとでもポップにしようとすると、逆にエドが「いや、ロックでいこうよ」って


――ただ、エド・シーランという巨大な存在を前にして、彼とバチバチやらないと、ONE OK ROCKの曲にはならないわけじゃないですか。

「ああ、そうですね。でも、エドが出してくれることって、さっきの話に戻りますけど、結局痛みを知ってるので、『自分!』じゃないんですよね。バンドとして何をやるべきかっていう。それこそロブみたいな精神論というか。彼は純粋にロックバンドが大好きなので、僕らのこともすごい気に入ってくれてるし。僕らのライブも観に来てるんですよ。で、ライブにも飛び入りで参加してくれて。僕らが“Shape of You”を演奏して、彼が歌って。で、“Wherever you are”を彼が歌って、とか。そういうやり取りの中で彼もお客さんを見てるんで、ONE OK ROCKのオーディエンスがどういう人で、どういう曲を作ったら盛り上がるかも、絶対にわかってるんですよ」

――すごい(笑)。

「だから(エドからの)提案が最初からもうロックって感じ。それは僕らも一緒の気持ち。変な話、ちょっとでもポップにしようとすると、逆にエドが、『いや、ロックでいこうよ』みたいな感じで返してくるっていう」

――いい話だなあ! ちなみにロブがインタビューしてくれて、引き出してくれたっていうことなんだけど、具体的にどういう話をしたの?

「ほんとにアメリカを狙っているのか?とか、どこのマーケットがいいのか?とか、どういうバンドが好きで、どういうアーティストになっていきたいのか? 何枚売りたいんだ?とか。そこからメモ取って、出てきた答えを自分たちでまた深く追求していくっていう。おもしろいですよね」

――ただ逆に言うと、そこまで引き出されてしまうと逃げ場がないよね。

「そうですね。ただ、ほんとに明確だったんで。ロブに『今までプロデュースしてきて、ここまで明確に自分のテーマを話せる奴はおまえぐらいだ』って言われた。だからそれは自分にとってすごい貴重な経験でしたね。おまえにはもうインタビューする必要はない。大丈夫。もうわかった』って感じだったんで。ロブもそっから結構火がついて、ガンガンやろうっていう」

――おそらくグリーン・デイにも同じことをしたんだろうね。

「って言ってました。僕はそれを聞くのが超好きで。レコーディング中に、マイケミの『ザ・ブラック・パレード』とか、グリーン・デイの『アメリカン・イディオット』とか、どういう状況であのアルバムが生まれたかっていうことも彼から全部聞いたんですよ。やっぱりねえ、表舞台からは絶対にわからない制作秘話っていうものがあって。むしろ苦しみしかないっていうか。ハッピーはどこにもないんですよね。彼はそれに寄り添って見てきたみたいなんですけど、その苦しみの中で生まれるものはすごく価値のあるものだっていう解釈。だから彼も今回のレコーディングで、みんながすごい前を向いてるから、どういうものができるか俺にもわからないってずっと言ってました。『初めてだ、こんなの』って」

――この曲に関してなんだけど、サウンド面で言うと、イントロは同期の音が少し入ってきて、徐々にサウンドの全貌がわかってくるんだけど、そこからは完全にロックモードですよね。

「そうですね、はい」

――前作の『Eye of the Storm』は脱ロック化がテーマとしてあったから、次もこの方向で来るのかなと思いきや、再びロックに戻ってきたという。

「そうです。前作はやっぱり、ロックを離すことによって自分たちがどういうモチベーションで音楽を鳴らせるのかとか、どれぐらいロックが好きなのかとか、やっぱ改めて認識する必要もあったし。同時に僕のボーカリストとしてのスキルの問題? 英語で歌ううえでの。滑らかさ含めて、声の出し方含めて、絶対にあれは経験しなきゃいけないことだったんですね。プラス、なぜアメリカのマーケットにいるのに、アメリカのマーケットというものを理解しないまま前に進むんだっていう。キャンプでここにテント張るのに、なんで何も道具も持ってこないでいるの?っていう感じだったんですよ。ちゃんと道具を持って、準備して、住んでみて、そこで理解を深めて、よし帰ろうかって。だから今ちょうどそのタイミングなんですよね。すべてのタイミングと順番が揃って、やっぱりロックだよな、っていう感じですかね」

――それは自分の中で、ストーンと落ちたっていう感じ?

「そうですね。ツアーやってる時から『あ、これやっぱロックだな』って」

――『Eye of the Storm』のサウンドをひっさげた、あのツアーの中で?

「そうですね。『もう絶対ロックだわ!』っていう。確信しましたね。なんかね、ロックが帰ってくる気がしてるんですよ。ただの僕の感覚ですけど」

――第六感ね。

「はい。ロックが帰ってくるってすごく思ってて。ロックしてやろうって、漠然とした思いに駆られたんですよ」

――ロックをもう1回やってやろうっていう思いが、そのまま音になってるっていう感じなんだ。

「そうですね。今、絶対この時代に必要なのはロックじゃん、って思うんですよね。それはね、純粋に分析してもそうなると思うんです。ま、別に分析してもしょうがないんで、自分ではそんなにいろいろ考えないですけど。ロブと会うこのタイミングも、エドとこういうタイミングでセッションできることもそうだし。あと、コロナが世界を止めたこともそうだし。人種の問題もそう。自分がこの1年半とかで見てきた景色、ロック以外に当てはまらないんですよね。ロック以外では何も打ち崩せないというか。だから、結構確信を持って今、ロックに向き合ってるって感じ。結局ロックって反骨精神じゃないですか。その『反』という字、それが今だと思うんですよ。この”Renegades”っていうのも反逆者ってことですけど、マイノリティとマジョリティが圧倒的に入れ替わろうとしてる瞬間が今なので。でも言ってもマイノリティの人たちは感情に身を任せてしまうと思うんですよ。だからマイノリティがマジョリティに変わっていく瞬間、どれだけちゃんとしたリーダーが舵を取るかっていうことが大事な気がしていて。『反』という字に対してすごく自信を持って、ポジティブな方向に牽引しながら、新しい時代をちゃんと切り拓ければいいなっていう、そういう気持ちですかね」

次のページ16年間バンドやってきて、こんだけいいファンに囲まれて、自分の人生としておそらく最後であろうこのビッグチャレンジをできるのが、幸せだなあと思う
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