AK-69、5度目の武道館公演を控えた今、自身の人生を刻んだ配信シングル“Break through the wall”に込めた想いを語る

AK-69、5度目の武道館公演を控えた今、自身の人生を刻んだ配信シングル“Break through the wall”に込めた想いを語る

俺は悔しさ、恥ずかしい想いとかが燃料になるタイプ。闘ってる人って、そういうタイプの方が多いんじゃないかなと

――この曲は、サウンドも心を鼓舞してくれるものがすごくあります。

「こういう物悲しい感じがある曲をタイアップで作るっていうのは、なかなかないと思うんです。アスリートブランドの曲はもっとファンファーレ感のある、『行くぞ!』っていう感じで、スタジアムでみんなで大合唱するようなものになりがちなので。プロデューサーも最初、そういうトラックを候補で出してきたんですけど、俺の頭の中にイメージがはっきりあったので、『絶対に違う』って言ってこれを作り始めてました。それを尊重してくれたUNDER ARMOURは、まじでイケてるブランドだと思いましたね」

――この曲に表れているギラギラした負けん気のようなものは、やはり大事ですよね。

「気持ちよかった感情とかってご褒美みたいなものなので、『それによって頑張れるのか?』ってなると、自分は頑張れないのかなと。俺は悔しさ、恥ずかしい想いとかが燃料になるタイプなので。闘ってる人って、そういうタイプの方が多いんじゃないかなと思います」

――《なりたい・・・ なりたい・・・ 誰でもねぇ“俺”に成りたい》という表現も、はっとさせられるものがありました。理想って「この人みたいになりたい」という憧れから始まることが多いのかもしれないですけど、突き詰めていくと「自分として行けるところまで行きたい」というものになっていくように感じるので。

「『誰かになりたい』って言ってる時点で、矢印が自分に向いてない人生ですよね。『矢印が自分に向いてない人生って納得できるのかな?』って俺は思います」

――音楽は誰かに憧れてコピーしたりするところから始まることが多いですけど、どこかの段階で自分のスタイルの追求になっていきますよね?

「そうですね。俺の場合はUSのヒップホップから入って、ほとんど日本語ラップを聴かずにずっとやってたんですけど。そのわりにめっちゃダサかった(笑)。USのヒップホップみたいなことをやりたいけど、やれなかったんですよ。で、結果的にオリジナリティのあるフロウとかになっちゃったところがあります。誰かになりたかったんですけど、なれなかった。それが研ぎ澄まされていって、『これがAK-69だ』っていう感じになっていきました。だから俺のメロディや譜割りとかは独特なんですよ。歌が上手い人が歌っても上手に歌えないって、音楽をわかっている人からするとあるみたいです。でも、それが誰でもない俺だったんです。やっぱり自分を研ぎ澄ませるための努力は厭わないほうがいいんだなと。憧れの誰かになるための努力って、あんまり報われないんじゃないですかね。それは音楽に限ったことではなくて、『この人だ』っていう人のほうが世の中に出ていくように思います」

メッセージを放てる人間として、日本人としてのあり方を考えるきっかけ、気づきのきっかけくらいにはしたい

――有観客のライブがなかなかできない状況が続いていましたけど、2020年8月に名古屋城、今年の1月に鈴鹿サーキットで配信ライブをしましたね。

「名古屋城の時は1回目の緊急事態宣言を経て、配信ライブの需要が高まっていた時期だったんです。『リアルライブではできない会場を選ぼう』っていうことで名古屋城でやったんですよね。鈴鹿の時は人数とかの制約はあるものの、リアルライブもできるようになってたので、『配信でしか公開できないライブ』っていうのは状況に逆らった挑戦でもありました。でも、そういう時だからこそ安牌ではなく、エンターテインメントの基本に立ち還ったワクワクするものをやりたい一心だったんです。鈴鹿はまじで大赤字なんですけど、それでよかったと思います。商業的に失敗だったとしても、そういうことをやるっていうのは、『AK-69、コロナ禍にとんでもないことやってたな』って人の記憶に刻まれるものなので。それがショーマンとしての誇りと言いますか。武道館とかでの大きいライブもそうなんです。自分がワクワクすることを、金額がいくらかかろうがやりますから。一銭も事務所やアーティストに入らないことをやるのはよく言えば気持ちいいし、悪く言うとバカ(笑)。そうやってエンターテインメントを突き詰めるから、俺は今でもやれてるんだと思います」

――4月23日(土)に5度目の武道館公演がありますね。

「はい。今度の武道館は自分のベスト的なライブになるのはもちろんなんですけど、コロナ禍を経て国自体が本当にやばいっていうのを俺は感じていて。国を変えるとか大それたことを言うつもりはないですけど、影響力を持った人間として、メッセージを放てる人間として、日本人としてのあり方を考えるきっかけ、気づきのきっかけくらいにはしたいなと思ってますね。大きく言うならばみんなの意識を変えたいってことなんですけど。それが音楽でできると思うんです。俺は音楽っていう方法を神様から授かってるので、それを使った演説みたいな、今日本人として必要な演説になるようなライブにしたいと思ってます」

――先日、全国の児童養護施設へ音楽機材を寄贈するチャリティーオークションをやっていましたが、「世の中に何ができるのか?」という姿勢を、AK-69さんの様々な活動から感じます。

「チャリティーに関しては『言うもんでもないな』って、水面下でずっとやってたんです。でも、俺がこういうことをやってるって若い子たちとかが知ることで、『こういうことをしたらいいんだ?』って気づいてほしいという想いもあって、表立ってやるようになりました。今回の武道館も企業さんが協力してくれて、児童養護施設の子たちの招待枠とかを作ったりしてます。ライブになかなか行けない状況になっちゃったじゃないですか。そういう中でも音楽の力、エンタメの力を直に感じてほしいんですよね。役所とかに寄付してもどれだけ必要な人に行き渡るのかわからないので、俺は直接物に替えて子どもたちの夢に繋がるようなことをしたいんです。この前の楽器の寄贈もそういうことです。俺はもう十分成功したんで、きれいごと抜きであとは社会貢献と音楽シーンのためのことをやるのが今のフェーズなのかなと思ってます」

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