MAN WITH A MISSION、『Break and Cross the Walls』二部作完結! ジャン・ケン・ジョニーが語る、ロックへの熱く揺るぎない想い

MAN WITH A MISSION、『Break and Cross the Walls』二部作完結! ジャン・ケン・ジョニーが語る、ロックへの熱く揺るぎない想い

コノ6ヶ月ノ間ニマタ世界デハトンデモナイコトガ起コッテシマッテ。コノアルバムガ放ッテイルメッセージノ意味ガ違ッテキタ

――『Ⅰ』とセットで聴いた時に、もちろん通じ合う部分もあるし、そこからさらに発展、変化している部分もあるなと思うんですが、ジャン・ケンさんとしては今回、どういうところが新たに加わってきたと思いますか?

「メッセージの部分は共鳴するところがあるんですけども、サウンド感においてはより深みのある音というか、もうちょっとアンセム的な部分が多い楽曲が増えました。1枚目以上にパンチの効いたサウンドにするっていうところに重きを置いたのかなと思います。でもいちばん大きかったのは、僕らも期せずしてですけど、この6ヶ月の間にまた世界ではとんでもないことが起こってしまって。我々が作った作品以上に、その作品が発しているメッセージというものが恐ろしいぐらいシンクロしてしまったという。決して喜ばしい話ではないですけれども、その事象によってまた、このアルバムが放っているメッセージの意味が違ってきたのかなという印象を受けますね」

――“Between fiction and friction Ⅱ”なんてまさにそうですし、“The Soldiers From The Start”もそうですけど、怒りにも近いエネルギーっていうのが今回の歌詞には出ている感じがしますね。

「まあ、何かにめちゃめちゃ怒ってるわけじゃないですけどね。でも言葉がより強くなっているんだとすれば、やっぱりメッセージを書く時にピントをものすごく絞ってるような気がします。“The Soldiers From The Start”に関しては、『FINAL FANTASY VII THE FIRST SOLDIER』というゲームの楽曲を書いてほしいということでしたので、そういった意味でものすごくフォーカスを絞って、兵隊の心情だったりを書いて。僕らが兵士に何を投影できるかと言えば、自分たちが生きている間の反抗心だったり、何かに立ち向かう力という。今の戦争もそうですけど……戦争って、何かしらの摩擦の最上級なので、それは絶対に起こしてはならないと思うんです。とはいえ、それに抗う力、ウクライナは自ら戦うということを選びましたけど、それは決して否定できるものではないし、それを忘れてしまったら人間として何かが少し欠落してしまってるのかなとも思うので。やっぱりロックミュージシャンとして何を表現するか、歌い上げるかというところで、その抗う力を忘れてはならないというメッセージを強く込めさせてもらってますね」

何回壁ヲ壊ソウガ、結局同ジ壁ガマタ出来上ガッテシマウ。ダカラ壊スダケジャナクテ、クロス、一緒ニ乗リ越エナキャイケナインジャナイ?ッテ

――“Tonight, Tonight”で《Take a step now》、「一歩踏み出せ」と歌ってますけれども、「もう一回始める、リスタートする」っていうニュアンスの言葉が多かった『Ⅰ』と比べても、まさに一歩踏み出して、踏み込んでいる感じがしますよね。

「ただ、戦争が起こってから生まれた楽曲はたった一曲しかないので。これはあくまでもここ数年の時代に対して抱いている不安だったり焦燥というものが具体化した言葉が綴られてるんだと思います。今まではあんまり、個々の楽曲が生まれた時代を象徴するような固有名詞になってほしくはないなという想いもあったんです。どんな時代でも当たり前に鳴っているのが理想だなと思っていたんですけれども、とはいえ、僕らやみなさんが食らっているこの状況というのは、自分たちが時代の当事者になるにはなかなかでかい出来事が起きてしまってるなという。今回の戦争にしてもそうですけれども、いち表現者としてそれについて歌うというのを今回はあえてやってみようかというか、自然とそういう気持ちにはなりましたね」

――“Between fiction and friction Ⅱ”ではファンの平和への願いをボイスメッセージで募集するっていうこともやりましたけど、これはどういう話の中でやろうということになったんですか?

「7曲目は、もともと1枚目でも収録されていたものを、バージョン違いで2枚目でも収録しましょうっていう話になって、で、歌詞をつけることになって。その真っ只中で戦争が勃発しまして。“Between fiction and friction”はもともと世界中で起きている摩擦について表現した楽曲でもあったので、その楽曲として今歌い上げるんであれば、まさに今起きている戦争のことを歌ってみようというのを作曲者のカミカゼ・ボーイが発案しまして。その中でひとつのアイディアとして、ああいった声を募集するのはどうかなと。『ちょっと政治的すぎるのかな』みたいな相談も受けましたけれども、それは表現者として素直にやりたいという気持ちがあるのであれば、何も恥じることはなくやったらいいんじゃないかなと」

――そのボイスメッセージですが、日本語だけじゃなくて、いろんな言語のメッセージが入っていますよね。あれに触れた時、ジャン・ケンさんはどういうふうに感じましたか?

「まずは本当に多くの方が応募してくれてありがたいのと同時に……そうですね、なんだろうなあ……悲痛ですよね、本当に。ロシアとウクライナから離れてる国の人の声も、本当にリアルで。実際それが曲に投影されるわけですから。その声以上に、今これを募集してしまっているってことに対しても、すごく重い気分になりました」

――ただ、その必然性というか、戦争云々と関係なく書かれた楽曲が、こうして並んだ時に同じメッセージを放っているように聴こえてくるというのは不思議ですよね。

「それはやっぱりアルバムタイトルに準じようと思って作った楽曲が多いからだと思います。それがたとえ闘争であれ、個人の葛藤であれ、どんなテーマを掲げるにしろ、このタイトルの何かしらの問題、壁というものを壊してそれを乗り越えていくっていう意志のもとで集った楽曲でもありますので。コロナ禍でそれが顕在化しましたけど、僕らはずっと同じことをしてるんだなと思うんですよね。何回も壁ができて、それをよりよい世界にするために刷新しようとずっと歴史を繰り返して……僕も含めて人間のみなさんはやっぱり壊すことにはものすごく長けてるんですよ。だけど、壊した瞬間にないがしろにされる奴もいるわけですよ。勝った側の価値観じゃない人たちは置いてけぼりにされている。それをずっと見逃してきたから、何回壁を壊そうが、結局同じ壁がまた出来上がってしまう。だからそれは壊すだけじゃなくて、クロス、一緒に乗り越えなきゃいけないんじゃない?っていう」

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