スーパーファミコンがいちばん好きだった。センセイはセガボーイだからメガドライブだけど(サイボーグジョー)
――“さよならロックスター”は、エディ・ヴァン・ヘイレンが好きな人には堪らない曲だと思います。アイキッド ヴァン・ヘイレンはハードロックとシンセサイザーの融合地点、原初にして到達地点ですから追悼の意を表すのは当然なのかなと。私、シンセサイザーが好きなんですけど、それと同時にハードロックも好きなんです。それをうまくブレンドしたのがザ・リーサルウェポンズなんです。
―― “昇龍拳が出ない”はカプコンから公認もいただいて、コラボもしましたね。
アイキッド はい。これは私が小学校5、6年生の時に歌っていた替え歌です。それをまさか大人になってから出すことになるとは。
サイボーグジョー すごい人生だねえ。『ストII(ストリートファイターII)』は、私のジェネレーションのアメリカ人もみんなやってた。スーパーファミコンがいちばん好きだった。センセイはセガボーイだからメガドライブだけど。
――去年のシンセウェイヴ3部作“ねこねこヘヴン feat.上坂すみれ”、“サムライディスコ feat.眉村ちあき”、“シューティングスターレディオ feat. 宇多丸、スーパー・ササダンゴ・マシン”は、コラボの人選も素晴らしかったですね。
アイキッド 上坂さんは私が楽曲提供をしたのが縁で、コラボをしていただけることになったんです。お互いに猫が好きなので“ねこねこヘヴン”を作りました。
――眉村ちあきさんは、ものすごく才能に溢れた人ですよね。
アイキッド 彼女はすごいです。あの人がアイドルグループをやめてギター片手に活動を始めた瞬間くらいからずっと注目していて、「めっちゃ上手い!」と思って。
――作る曲のセンスも素晴らしいです。
アイキッド そうなんです。“インドのりんご屋さん”が大好きで、ライブに行きたかったんです。でも、ポンズの準備を始めていた時期で行けなかったんですけど。
――RHYMESTERの宇多丸さん、覆面レスラーのスーパー・ササダンゴ・マシンさんとコラボをした“シューティングスターレディオ”は、MVもかっこよかったです。段ボールのデロリアンでドライブしていたじゃないですか。
アイキッド はい。あのデロリアンは、いろんなMVで登場します。
サイボーグジョー 段ボールデロリアン、いちばん最高!
我々は偽物ですから(笑)。でも、本気で本物を目指してる偽物ではなくて、偽物を目指してる本物なので(アイキッド)
――昨年は「サマソニ」などのフェスにも出たり、活動の規模がどんどん大きくなっていますが、ご近所付き合いの延長でザ・リーサルウェポンズを始めた頃は、ここまでの状況になることをイメージしていましたか?アイキッド どこまで本音で言っていいのかわからないですけど、私は……1000%いけると思っていました。でも、基本的には土日でやろうとしてたので、ちょっと広がりすぎかなあとは思ってますけど(笑)。
――(笑)。コロナ禍でも面白いことをいろいろやってきましたよね。2021年11月13日に新宿FACEで開催した「新宿バトルロイヤル」とか。
アイキッド あれは大変でしたねえ。
――格闘技のリング上で著名人、スタッフさん、お友達が登場して乱闘するプロレス的なライブでしたね。
アイキッド はい。演出、脚本、セリフとか、全部を自分でやって、ライブ前に私、ヘロヘロだったんですよ。もう二度としたくないなあと思いつつも、またやるんですけど。
――今年の11月11日に開催するスペシャルライブ「地獄の国技館バトルロイヤル」ですね。
アイキッド そうです。前回と違って、当日を迎える前に制作休みをくださいという話をしているので、今回は大丈夫だと思います。
――7月5日、6日はZepp Shinjuku(TOKYO)公演。9月20日にはアルバム『OKシンセサイザー』をリリースする予定ですが、レディオヘッドの『OKコンピューター』を思い浮かべずにはいられないタイトルです。
アイキッド タイトルは何も考えずにつけました(笑)。まあ、シンセっぽいものにしたかったっていうのもあるんですけど。『OKシンセサイザー』は、シンセの要素が少し強めになると思います。
――現在制作中?
アイキッド はい。今、頑張ってるところです。
――先日、アルバムリリースを発表した際に仮想通貨に関する曲が収録される旨のコメントも出していましたが。
アイキッド ジョーくんが去年、仮想通貨を高値掴みしちゃって、そこから毎日チャートを見てるんですよ。仕事中もずっとチャートを見てて、どんどん歌のクオリティが落ちてくんです。だから「これはもう歌わせよう」と。「ちゃんと本業頑張りなさい」っていう歌ですね。
サイボーグジョー そうね。はあ……歌うかあ……。
――今年も充実した活動になるんじゃないですか?
アイキッド まあそうですね。ミュージシャンっぽくなくてすみません。「俺たちはさあ!」とか、そういうのがないので。フェスとかも決まったら決まったで、そこに行って30分とか40分頑張る。帰ってきたら焼きとん、ホッピーっていうだけなので。
――フェスきっかけで好きになってもらえることも多いですよね?
アイキッド はい。無党派層を集めるための要員でもあるので。ジョーくん、無党派層わかります?
サイボーグジョー わかんない。
アイキッド (ジェスチャーで)世間。マス。引っ張る。きみ。ホールドする。私。そういうこと。
サイボーグジョー はいはいはい。
――普段からそういう感じでいろいろ伝えているんですか?
アイキッド はい。単語をゆっくり喋って、「おおー!」ってなるんです。ライブのMCもこれにしようか?
サイボーグジョー うん。いいコミュニケーション!
アイキッド ライブのMCは私がボケようが何も返ってこないので、いつも台本で決め打ちだったんですけど。
サイボーグジョー 台本好きです。
――このインタビューは、いろいろなロックバンドたちの記事と並んで掲載されるんですけど、ジョーさん、何かアピールしておきたいことはありますか?
サイボーグジョー アピール? センセイ、どうしよう?
アイキッド そうねえ。なにしろ載ってるラインナップがちゃんとした人たちばかりだから。
――ザ・リーサルウェポンズもちゃんとしているじゃないですか。
アイキッド いやいや。我々は偽物ですから(笑)。でも、本気で本物を目指してる偽物ではなくて、偽物を目指してる本物なので。
――かっこいいB級映画に通ずる姿勢ですね。
アイキッド そうです。
ザ・リーサルウェポンズのインタビューは、現在発売中の『ROCKIN'ON JAPAN』6月号にも掲載!