音楽でいうと僕と雄大くんは、ほんとに真逆のところにいるけど混ざり合える──そういうのを音楽で表現したくて（花村）
──今回はどういうテーマで曲を書いていこうと？花村「最初に先方からいただいたリファレンスが、『“CITRUS”の要素を持った“スターマイン”』っていうことで」
──わー。真逆のものを同時にという。なかなか難しそうな。
花村「すごく難しくて。疾走感はほしいしダンサブルにもしてほしいということだったので、とにかくメロディラインは“CITRUS”みたいな昭和テイストを意識して。あとモーニング娘。さんみたいな方向というか、ほんとに昔ながらのダンサブルな方向性でのスタートで。MEG.MEさん、Louisさん的にはトラックは“スターマイン”の方向性っていうのがあったみたいで、だから2A・Bはラテン調なんだなって、さっき気づきました（笑）」
──歌詞はどのように？
花村「お互いがお互いをうらやむ姿というか、ドラマの内容とリンクするんですけど、まったく違うふたりが対立しているからこそ、自分に足りないものとか、自分が持っていないものをほしがる様を、逆に書いてみようというところからスタートしました。音楽でいうと僕と雄大くんは、ほんとに真逆のところにいるけど混ざり合える──そういうのを音楽で表現したくて」
──まさに。
花村「僕の良さって、どちらかというとキレのある、一発でパンパンパンって持っていける軽い感じだと思うんですけど、雄大くんは重みがあって深みがあって、ゆったりと流れていくっていう良さを持っている。その良さを合わせてみたいというところで、掛け合いの多い曲になっています」
──想太さんの相方が雄大さんじゃなかったら、雄大さんの相手が想太さんじゃなかったら、絶対この表現にはたどりつけない気がします。
花村「想像できないですね」
大野「そうだね。AメロBメロ、1番2番でもめまぐるしく場面が変わっていく曲なので、ふたりのボーカルで面白く、なおかつキャッチーに表現できたと思います。でも歌ってみたら予想以上にむずい（笑）。今回は歌割りも特殊で、普通だったらここでボーカル代わるでしょっていうタイミングでは代わらず、もう一節いったりもするので、そういうところでテンション感を作ったりとか、実はかなり難しいです」
──サビ始まりで、まず想太さんのハイトーンで耳を掴まれるわけですが。
花村「ここは高いですね。キーは下がるかなと思ったんですけどね（笑）」
大野「譜面だけ見たらたいして高い曲じゃないんですよ。でも発声のポジションでいくとミックス（ボイス）じゃなくて地声で張ったところで出さなきゃいけないっていう、結構ギリギリのところが連発で続くんで。歌い手としてはいちばん体力使うから、体感やばい（笑）」
──パフォーマーの皆さんは“ナイモノネダリ”はどう感じましたか？
工藤「キャッチーですよね。展開も多いですし、振り付けが決まる前からダンス映えするだろうなという想像はできていたし、結果的に振り付けもすごく面白いものができて。もちろんボーカル映えもすごいし」
岩岡「どこか懐かしさを感じる曲だし、そういった良さもありつつ展開も多かったり、それが振り付けにも反映されていて、あっという間の3分ちょい。短い中にすごく凝縮された1曲になったと思います」
──振り付けは、今回は和田さんが総指揮をとりつつ、3名のコレオグラファーと1曲を作り上げていくという方法で。こうした手法はあまり見ないなと思うのですが、このアイデアはどういうところから生まれてきたんですか？
和田「まず曲を聴いて2番からガラッと曲調が変わったりして、これはダンス自体のジャンルを曲の中で変えていっても面白いんじゃないかという話をメンバーとしていたんですよ。それで振り付け師はそれぞれのジャンルに特化した人を入れてみるのも面白いよねっていうことになって。それで今回3人の方たちにお願いしたという感じですね」
颯が振り付けを完成させた次の日くらいに、『今回マジでヤバいです。すみません』っていうメッセージを入れてきて、自分も覚悟は決めていた（大野）
──KAZtheFIREさん、Miyuさん、そしてKENZO（DA PUMP）さんといった方たちによるコレオグラフィ。驚きました。和田「最初に作ったのがMiyuちゃんとの2Aパートでした。ここをまず構成こみで先に作っちゃおうと。それからKENZOさんとはロック（ダンス）だったんですけど、そこは振りだけ先に考えて構成は一旦置いておいて。それで最後に全体の振り付けをKAZさんと。3人いるのでアイデアがどんどん出てくるんですよ。もし1曲全体を誰かとふたりでやるってなってたら、途中で僕の頭がパンクしてたと思います（笑）。そういうこともなく、パンパン決まっていったのですごい楽しかったですね」
工藤「作詞や作曲もコライトという概念があるんだから、振り付けを分けることも特別なことじゃないと思うんですよね。実際、韓国なんかではコンペで集めていいところを切り貼りするという作り方もあって。でもやっぱりダンサーへのリスペクトがすごくあるので、そういう切り貼りをやるっていうのは、僕らのスタンス的にはどうなんだろうっていうのがありつつ。今回はロッキンパートはロッキンの王者の方に、ハウスパートはハウスの王者の方、そして、ここぞというときに頼りにしている人にも入ってもらって──という、僕らの中ではそこに明確な理由があったので、そこに対しての違和感は一切なかったですね」
和田「曲の中でジャンルが変わっていくから、振り付けも変化しているんだけど、実際これまでの曲でもs**t kingzにお願いしているときは、結局こういうことですもんね」
工藤「そうだね」
和田「4人にお願いしているということだから。そう考えたら特に変わったことをしているわけじゃないんだけど、この曲はまた、すごく世界が広がった感はありますね」
工藤「でもそれは僕らが長年やってきて、楽曲を聴いて、ボーカルも聴いて、これならこういうパフォーマンスができるなあとわかったうえで、やってみようと思えるわけだから。手前味噌かもしれないですけど、一朝一夕で実現できるアイデアではないと思います」
岩岡「今回の曲は1曲の中で全然ジャンルが違うダンスが展開していくので、面白さもあるし大変さもあるんですけど、視覚的にもすごく楽しめる、また見たくなるような楽曲になったんじゃないかなと思います」
大野「颯が振り付けを完成させた次の日くらいに、『今回マジでヤバいです。すみません』っていうメッセージを入れてきて、自分も覚悟は決めていたんですけど、かなり久しぶりに振り入れのときは緊張しましたね。1曲で何曲も踊っているような感覚。ひとりの方の振り付けだとその人のバイブスで統一されているから、なんとなく次はこうくるなとか想像できなくもないんですけど、今回はまったく想像できないものがボンボンくるので、1日に何曲もやったような感覚でした。達成感ありますね。障害物リレー、じゃなくて、なんだろな」
工藤「トライアスロン？」
大野「ああ、それだ。えっと、はい。（ドヤ顔で）トライアスロンです。パフォーマンスっていうよりはスポーツしている感覚ですね」
和田「（笑）。マジずっと走ってるもんね」
花村「やっぱりパフォーマンスまでしっかりできて、初めてDa-iCEになったなあという感じがする。今回はなぜかわかんないんですけど、颯が振り付けに入りそうだなと思ってたんですよ。曲を作ってるときから。だからトラックができたときもすぐ颯に聴いてもらったりしていて」
──おお。楽曲の制作段階でそういう予感がすでに。
花村「なんかわかんないんですけど、颯が入ってくれたらいいなと思っていたので、自分的には願ったり叶ったりで」
和田「僕も振りがすごいイメージしやすかった。サビがこう行き始めたら、ここはこう行きたいとか、箇所箇所でイメージがバンバン出てきたので。まず自分がすごくこの曲が好きだっていうのもあるし、相性がすごくよかったんだなと思います。やれてよかった。いろんな人に踊ってみてほしいですね」
花村「ロックとかハウスを専門にやってきた人とかの、本気のダンスを見てみたいですね」
和田「KENZOさんいわく、このロックダンスはダンス＆ボーカルの曲の中でいちばん難しいらしい。あくまでKENZOさんいわく、ですけどね」
──楽しみです。改めて楽曲もダンスも完成して、今どういう曲になったと感じていますか？
大野「振りが入ってさらに、曲が始まった瞬間から一気に『おっ！』と思わせる作品になったと思います。街中でパフォーマンスしていたとしても、みんなが立ち止まってくれるような。想太のソロから入って、サウンドが入ってガッと勢いがついて、曲の始まった感がすごく強いので、ライブのセトリに入ってくると、またキュッと引き締めてくれるような、そんな1曲になったんじゃないかなと思います」
工藤「パフォーマンスは大変ですけど、今ちょうど学園祭シーズンだったりもして、テレビサイズの短いバージョンをやってるんですよね。テレビ収録もあったりするので。それはそれできついんですけど、これからフル尺になってどうなるかなあって、楽しみにしているところです。ライブとかでバンドが入るとまた輝く曲だとも思うし」
花村「ホーンとかも入れてみたいよね」
──年末にはまたCOUNTDOWN JAPANにも出演が決まっていて。“ナイモノネダリ”含め、夏フェスとはまた違ったセトリを楽しみにしていますが。
工藤「28日ですよね。楽しみです」
花村「“スターマイン”で最高の夏を過ごさせてもらえたので、それ以上のものを見せられるようにしたいですね」
和田「年内ラストのフェスなので、心残りのないよう楽しみたいです」
岩岡「素敵な年末の締めくくりのひとつとして、しっかりパフォーマンスしたいですね」
──雄大さんはどうです？
大野「やー！ パワーです（笑）」
──ありがとうございます（笑）。
工藤「（笑）。ちなみに“スターマイン”って、実は『夏』という言葉は使っていないんですよ。だから夏曲ではないんですよね」
花村「おお。年末の花火でもいいわけや」
工藤「そう。年中いける」
──年末にあがるDa-iCEの花火、楽しみにしています。
花村「ありがとうございます。頑張ります」
