Da-iCEが明かす“スターマイン”制作秘話。さらなるヒットを生むために、5人が立てた戦略とは?

Da-iCEが明かす“スターマイン”制作秘話。さらなるヒットを生むために、5人が立てた戦略とは?

リーダー(工藤)が緻密にいろいろ計算して作った曲なんですよね。切り取りやすいようにサビを15秒ぴったりにしたり……(大野)
彼の頭の中のクリエイティブをそのまま展開したことが、いい方向に転がった(岩岡)
選曲コンペでどうしてもこの曲が頭から離れなくなっちゃって(和田)

――ロングヒット中の“スターマイン”。歌詞が数え歌になっているというギミックもさることながら、「“CITRUS”一発のヒットじゃ足りない」という熱い思いも感じる楽曲でした。工藤さんはどのような着想から制作をスタートさせたのでしょう?

工藤大輝(Performer) もともと夏曲を作ろうという話から始まりました。と同時に、“CITRUS”に追随するような結果をもう一度出さないといけないなというのは、チーム全体で思っていたことではあって。それでTikTokで結果が出せる夏曲を突き詰めていった結果生まれたのが“スターマイン”です。

大野雄大(Vo・Performer) TikTokで結果を出すために、リーダー(工藤)が緻密にいろいろ計算して作った曲なんですよね。切り取りやすいようにサビを15秒ぴったりにしたり、サビ頭の「ああ~」という唸りも15秒の中に入るようにBPMも130から131にしたり……狙ったことがすべて結果として出ている。彼の思惑通りに一連の流れができあがっているので、すごいですよね。

岩岡徹(Performer) すごくリーダーらしい曲の作り方ですね。誰かが変に介入したりせずに、彼の頭の中のクリエイティブをそのまま展開したことが、いい方向に転がったんだと思います。

花村想太(Vo・Performer) でもDa-iCEにとっては変化球の楽曲ではあると思いますね。歌唱力やダンス力が必要な楽曲ではあるんだけど、ネタ曲に聴こえると言えば聴こえるじゃないですか。それでも「やっぱりこの曲がいちばん耳に残るよね」という結論に着地したんです。

和田颯(Performer) 選曲コンペの最後に流れたのが“スターマイン”だったんです。いい曲たくさんあったけど、最後にこれ聴いちゃうとどうしてもこの曲が頭から離れなくなっちゃって(笑)。

工藤 最後だったのは、俺がいちばん提出遅かったからだろうね(苦笑)。

和田 でもその時すぐにチーム全員が「この曲でいこう。これをヒットさせよう」とひとつにまとまったのがよかったと思いますね。

花村 スタッフ陣も「この曲に懸けたい」という思いから、予定になかったMVの制作を急遽決めてくれて。あの時にみんなが動いてくれたおかげでYouTubeの数字につながったし、TikTokの外にも広がっていったと思いますね。

――その結果“スターマイン”は、これまでのDa-iCEの楽曲にはない音楽性になったのではないでしょうか。

工藤 “CITRUS”がミドルテンポだったのと、なおかつ夏曲なのでアップテンポにしたくて、レゲトンのビートを使ったんです。そのアイデアはs**t kingzさんのワークショップから着想を得ましたね。じつは普段から曲を作るうえで、踊っているs**t kingzさんからインスピレーションを得ることは多くて。

―― “スターマイン”の振り付けはs**t kingzのshojiさんの手によるものですよね。

工藤 『ブラックパンサー』のサウンドトラックに収録されている、ザカリの“Redemption (with Babes Wodumo)”で踊っているshojiくんがめっちゃ好きだったんですよね。だからshojiくんにレゲエの振り付けを考えてほしいなと思いながら作っていきました。でもアップテンポの楽曲は、おもしろの意味合いが付随したものでないとヒットしにくい印象があって。だから僕らが普段やらなそうなジャンル、いわゆるVOCALOIDの文脈に刺さるような楽曲でないといけないなと思ったんです。

――様々なアイデアがアイデアを呼んで生まれた楽曲であると。

工藤 ひとつアイデアが浮かんだらそこに付随して完成形を固めていくタイプなので、この曲もそうでしたね。「“CITRUS”の一発屋で終わるのは嫌だな」と思っていたので「一発」や「一回」といった数字を入れたかったし、TikTokでダンスの流行りが終わったら使われなくなっちゃうとかではなく、ロングヒットするためにはどうしたらいいかを考えた結果、数え歌になりました。

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ファンの方々が「なぜDa-iCEがこういう曲を出すのか」と納得できる曲にはしたかった(工藤)

――歌詞はダブルミーニング、箇所によってはトリプルミーニングになっているのも秀逸です。サビはさらなるヒットを狙うDa-iCEの野心やストイックさの表れでもあり、花火そのものにも、ひと夏のアバンチュールにも受け取れます。

工藤 様々な場面で使ってもらえたらなと思ったんですよね。雄大がカラオケに行くと毎回“CITRUS”を歌ってと頼まれることも聞いていたので、「雄大がカラオケでアップテンポの曲を歌うならどんな歌詞がいいのかな」とかも考えて。飲みソングにも使えたらなと思ったんです。

大野 リーダーの思惑通り、「一杯じゃ足りないのかい、二杯目をおかわりしたい」って替え歌させられてるよ(笑)。

花村 オリックスの試合では球場のビジョンに、試合の映像と一緒に“スターマイン”の音と歌詞を流してくれてたんです。《一発じゃ足りないのかい/二発目をおかわりしたい》は確かに野球にも当てはまるし、飲みの席で「四の五の言うなよロクデモナ~イ!」って言えば無礼講にもなるだろうし(笑)。

工藤 くれぐれもお酒は正しく飲んでいただいて(笑)。でもそういう使われ方してもいいよね、ぐらいの気持ちで作ってます。昔はもう少しかっこつけてたところがあったかもしれないけど、最近はメンバーのパーソナルな部分を出せる機会も増えているし、Da-iCEにももっとおちゃらけた曲があってもいいかもなとは思ってたんですよね。ちょっとハメを外す感じは夏っぽいし、タイミングもよかったと思います。

――とはいえそれだけこの曲で果敢に挑戦できるのも、Da-iCEの「さらなるヒットを生みたい」という熱い思いが軸にあるからではないでしょうか?

工藤 そうですね。受け手にどんなふうに遊んでもらっても構わないけど、作る側がただのおふざけソングのつもりでいるのは違うと思う。ファンの方々が「なぜDa-iCEがこういう曲を出すのか」と納得できる曲にはしたかったんです。自分がファンだったら、「表面的にはこういう歌詞に思えるかもしれないけど、実はこういう意味が込められてるんだよ」ってドヤ顔で言えたらすごくいいなと思うんですよね。

花村 《露出ばかり増えるんじゃ意味無いね》のラインは、マジ天才ですよね。

――そう思います。アーティストならばメディアでよく顔を見掛けるだけではなく、楽曲で結果を出してこそだという気高さが伝わってきました。

工藤 やっぱり下ネタと受け取られる懸念はあったので、ちょっとビビって《一発》《二発》のところを「一回」「二回」に書き換えたんですよね。でもみんなが「《一発》でいこうよ。響きもいいし」「花火だって一発、二発と数えるんだし」と後押ししてくれたのでアクセルを踏み切れましたね。日本には裏読みや深読みをする文化があって、それが言葉の美学だとも思うんです。花火を題材に、日本ならではの表現をできたのもよかったですね。

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