11月10日に大阪城ホールで開催されるフジファブリック主催のライブイベント「フジファブリック20th anniversary 3マンSPECIAL LIVE at OSAKA-JO HALL 2024 『ノンフィクション』」で、ゲストアーティストとしてくるり/ASIAN KUNG-FU GENERATIONを迎えた3マンライブが実現!というニュースを、驚きと感激をもって受け止めた方も多いことと思う。
この3組のラインナップを見て、山内総一郎がサポートギタリストを務めていたくるり「〜言葉にならしまへん、笑顔を見しとくれやしまへんやろか〜」ツアー、あるいは金澤ダイスケがサポートキーボーディストとして参加したASIAN KUNG-FU GENERATION「VIBRATION OF THE MUSIC」ツアーを思い出した方も少なくないだろう。そして、それらの活動が行われていたのが2010年〜2011年、バンド新体制始動までの期間であったことに想いを馳せる方もいるだろう。
いずれにしても、2004年のメジャーデビューから20周年を迎えたフジファブリックにとって、そしてその活動を追い続けたファンにとって、「ノンフィクション」は00年代以降のロックシーンの高揚感ごと抱きしめるような、この上ない最高の祝祭の場となることは間違いない。同イベント開催に至るまでの経緯と時系列については、フジファブリック20周年特設サイトに寄せられたFM802・今江元紀プロデューサーのコメントに詳しく記されているので、そちらも併せてご覧いただきたいと思う。
だが、上記3バンド共演の情報を初めて知った時、思わず抑え難く胸躍ってしまったのは、そんなバンド同士の個別の関係性による期待感だけではなかった。フジファブリックというバンドの、日本のロックシーン/バンドシーンにおける位置づけを2024年の「今」に示す一夜であると同時に、今やシーンの象徴的存在となったくるり/ASIAN KUNG-FU GENERATIONの両バンドとも異なるロックとポップの個性を確立してきたバンドであるという事実を、改めて浮き彫りにしてくれる舞台になる──という予感からだ。
1998年のデビュー以降くるりが発揮し続けている、多彩な音楽性を取り込む実験性と、エバーグリーンな名曲志向。2003年デビューのASIAN KUNG-FU GENERATIONが現在もなお体現する、エモーショナルなダイナミズムとシビアな批評性を表裏一体に併せ持つロックの訴求力、そこから生まれる無上のポップ感。両バンドと同じ時代を駆け抜けてきたフジファブリックの楽曲は、どちらのバンドにもリンクする要素を持っている。が、それはあくまでフジファブリックの音楽と、くるり/ASIAN KUNG-FU GENERATION両バンドとのベン図が重なるほんの一部分の話でしかない。