【インタビュー】そのグルーヴに踊らされる人が急増中! 結成からわずか1年でメジャーデビューを果たした現役大学生バンド・luvの全貌を解き明かす

【インタビュー】そのグルーヴに踊らされる人が急増中! 結成からわずか1年でメジャーデビューを果たした現役大学生バンド・luvの全貌を解き明かす

“Fuwa Fuwa”は「スローライフ的なノリで行こう」ということを押し出したくて。「愛はあとから追いかければいい」「ゆっくり行こうよ」ということを、メンバーにこの曲で伝えたかった(Hiyn)

──ここまでの話を聞くと、メジャーデビュー曲“Fuwa Fuwa”はみんなの覚悟と気合の入った一曲であり──。

Hiyn 本当にそうですね。それまで宅録、セルフミックスでやっていたので、今回初めてスタジオで録って、僕にはできない音の広がり方が作れたと思います。とりあえず録り音がきれい。ベース、ドラムがいちばん変わったな。

Sho 今までは宅録だったので打ち込みが多くて。ドラムだけレコーディングさせてもらったこともあったんですけど、それも別にめちゃくちゃお金をかけたわけではなくて。今回、ベースとドラムを一緒に録ったんですよ。だから息の合い加減とかも、今までとは違う気持ちよさがあるなと思います。だからこの曲を聴いていたら、めちゃくちゃ嬉しくなるんです。録り終わった直後にラフミックスの音源をもらったんですけど、帰り道でもみんなでずっと聴いてて、「これはいつまで聴いていても飽きへんな」って。毎回自分で感動を味わえる曲になりました。

──それは、曲ができた時の最高の状態ですよね。

Hiyn この曲はナチュラルにできた感じがあるんですよね。スタジオに5人で入って、ポロッて出たメロディにみんなが「おお!」ってなって、それをサビにして広げていって。

──そうやってセッションから曲ができるのは、これまでもやっていたやり方ですか?

Hiyn ちょろちょろあったんですけど、実際曲になったのは初めてで。今までは僕がデモを作って、という感じだったんですけど、これができてからはこのスタイルにしてます。しかもこの曲が唯一、サビから作ったもので。今までは、曲全体の雰囲気を大事にしたいし、ひとつの作品として見た時に滑らかであればあるほどいいから、ずっと「A、B、サビ」の順番で作っていて。僕自身、サビから作ってしまうと、ボコボコでツギハギみたいになっちゃう感じが無理だったんです。これに関してはスタジオのノリで強いサビができて、そこからあとづけしていったので、それもいいなと気づいた一曲でもありますね。


──Hiynさんのボーカルの日本語がはっきりと聴こえてくるところも含めて、luvのディスコグラフィの中でも変化の大きい一曲だと思うんですけど、自分たちとしてはluvにとってどういう一曲にしたくて、どういうサウンドを目指したと言えますか。

Hiyn 僕がミックスする時はボーカルがナチュラルに聴こえるように、「ボーカルもひとつの楽器」というノリで他の楽器と一緒くらいのレベルの抜け具合でやっていたんですけど、この曲はもうがっつりボーカルが出ていて。それは日本で音楽をやるうえで大事だと思ったので。発音もしっかり日本語にしましたし、歌詞自体も、僕史上いちばんしっかり考えました。いろんな人に聴いてもらうという意味で、いろいろ変えたところはありますね。

──luvの曲は、歌詞が何層にもなっているところが面白いところのひとつだなと思います。日本語を英語っぽく歌っていて、それが音として面白いんだけど、ひとつの言葉がダブルミーニングになっていたり、全体的に伝えたいテーマや意味がしっかり込められているという。

Hiyn 何を言っているかわからないなりには、それぞれの曲に意味がありますね。“Fuwa Fuwa”も、意味まみれなところがあって。この曲は、「スローライフ的なノリで行こう」ということを押し出したくて。というのも、ちょうどメジャーデビューで、メンバーも「就活どうする?」という時期でもあったし、この1年でバーッときて、遠出して遊ぶこととかもできなかったくらいせかせかしていて。だから「愛はあとから追いかければいい」「ゆっくり行こうよ」ということを、とりあえずメンバーにこの曲で伝えたくて。

──メンバーへの語りであり、バンド内で共通認識を保つための一曲であり。でもそれが聴き手それぞれへの優しいメッセージになっていると思います。今は音楽業界に限らず、すぐに結果とか成功を追い求めがちな時代ですからね。

Hiyn 過程をちゃんとしといたらいいんじゃないかなと思ってはいるものの、結果は結果でもちろん大事やし、結果がないとご飯は食べられないですけど……でも過程を大事にしたいなと思います。

──結果でご飯が食べられたり、次の新しいことをもたらしてくれたりはするけど、いちばん時間を費やす「過程」に豊かさを感じられるかどうかはとても大事だし、自分で自分のことを結果だけで評価しないほうがいいとは思う。

Hiyn そうですね。傍から見れば「メジャーデビューしました」がひとつの結果なのかもしれないですけど、5人としては全然、スタートラインの前の前の前くらいなノリなので。

【インタビュー】そのグルーヴに踊らされる人が急増中! 結成からわずか1年でメジャーデビューを果たした現役大学生バンド・luvの全貌を解き明かす

こんなにふざけすぎてないのは、やっぱり僕らが小中高の時にSuchmos、SANABAGUN.、Yogee New Waves、cero、D.A.N.とかがクールにきめていて、それにイメージとして憧れるということが多分デカいですね(Hiyn)


──“好人紀行”は結成当初くらいからあった曲だそうですね。表面的にはラブソングだと言えるものだけど、やっぱりその中でしっかりと描きたいテーマがあるのだろうなと。

Hiyn “Motrr”の次、2曲目にできた曲ですね。これは唯一、僕がアコギの弾き語りでベースを作って、みんなに渡して作りました。ずっと出してなかったんですけど、出し時は今でしたね。これこそいろんな人に聴いてもらいたい感じではあります。とっつきやすいカップル像がありつつ、「日常の幸せ摘み取る系」の歌詞にしたくて。「愛してます」とかではない、「一緒に昼飯食べにいく」みたいな。プラトニックなノリの恋愛像ですね。

──日常の些細な喜びの豊かさを拾い上げる、というところですよね。だからやっぱりluvの音楽は、2000年代生まれならではの絶望や希望がちゃんと歌に出てるなと思います。

Hiyn みんながメロディを乗せやすいサウンドにしてくれてますね。ベースとか「先に歌メロを入れておいて」って言ってくれて、歌メロに沿う、いい塩梅のベースラインを入れてくれたりして。サウンドが第一なんですけど、ナチュラルにまとまっているのは、全体の歌詞展開をみんなが大事にしてくれているからですね。

──みんながクオリティの高いサウンドを築き上げてくれるし、そこにうまく歌詞を溶け込ますことができるからこそ、意味やメッセージのあることを音楽の中で言いやすいという。

Hiyn マジでそうですね。普段、キザな素振りとか全くしないですし。逆に、この中でふざけすぎてもと思って。luvの歌詞の塩梅としては、「こじゃれてる」「英語に聞こえる」かつ「意味のある日本語」みたいな、異文化ミックスのところが強みだなと思います。こんなにふざけすぎてないのは、やっぱり僕らが小中高の時にSuchmos、SANABAGUN.、Yogee New Waves、cero、D.A.N.とかがクールにきめていて、それにイメージとして憧れるということが多分デカいですね。ただ、僕のルーツは90’sの海外の音楽で、歌詞を無視してメロディとサウンド重視で聴いていたので、必然的に日本語バキバキの歌よりも英語のほうが自分にしっくりくるというか。


──それらのバンドは「日本でこれをポップスとして聴かせるんだ?」みたいな、ポップスシーンに革命を起こしてくれた人たちで。luvもこの先どんな革命を起こしてくれるのかが楽しみだなと思います。

Hiyn マジで勝負どころです。ちょうど昨日言っていたのは、70’sソウルを今日本でがっつりコテコテにやっている人はあまりいないんじゃないかということで。それとluvの今までをいい感じにしようかなと。

──「luvの今まで」、つまりluvらしさやこれまでやってきて手にしたものとは、どういうものであると自覚しているのでしょう。

Hiyn luvらしさを決めているのは──もちろん全員なんですけど、その中でも特徴的なのはここふたり(Ofeen、Rosa)だと思います。あれだけキャッチーなサンプルで、あれだけきれいでいかついキーボード。この上モノふたりは、だいぶluvらしいクセかなと。

──歌が表のキャッチーさだとしたら、裏のキャッチーさはOfeenさんのサンプリングが担ってる気がしますね。

Ofeen 曲にもうひと盛り上がり作るというか、もうひとつ覚えられるような、口ずさめるキャッチーなものが曲に入ることによって、さらに幅が広がるかなとは思ってます。曲を壊さずに、でもできるだけ主張できるように、後味をつけるみたいな感覚で選んでます。

Rosa 僕は、DJの素晴らしいサンプリングがあるから、上モノばかりを絡めてしまうと聴きづらくなるところがあるので、裏で華を持たせようかなという意識でやってます。クラシックがルーツにある中で、クラシックのモチーフを持ってくるとかではなく、緻密な作業で音楽を作っていくという姿勢自体をこのバンドに持ち込みたくて。全体を眺めながらどういうふうにしたら効果的な音楽ができるかを常に考えたり、流れに対して敏感にアンテナを張ったりしながら制作に関わってます。

──“Fuwa Fuwa”“好人紀行”もまさにですけど、luvはアウトロがいいですよね。

Hiyn アウトロ、いいんですよ!(笑)。やっぱりアウトロは大事。僕がアウトロフェチみたいなところがあって、「気づく人は気づいて」みたいなことを全曲でやってますね。ケツがよかったら全部いい、みたいに思ってるかもしれないです。

──どのバンドも試行錯誤があったうえでリスナーの意識を変える一曲やバンドの立ち位置が変わる一曲を生んでいるから、この先luvがどんなふうに歩んで、どういう音楽を作ってくれるのか、引き続き追いかけたいと思います。

全員 ありがとうございます!

Sho 道のりを楽しみます。

──今後、luvが目指すものとは?

Hiyn この5人の感じを保ちつつ、いろんな人にとってのグッドミュージックになれることと、自分らも楽しく生活できること……で、まあ、ちょろっとアジア進出(笑)。

──ちょろっとでいいんですか?

Hiyn がっつり(笑)。日本の良さを海外に伝えるという意味でも、アジア進出はマジでしたいですね。

──Hiynさんとしてはやっぱり色々やっている中でも、luvにかける想いがいちばん強い?

Hiyn もちろん。かなりがっつり。この5人やったらガチでマジでいけるなということを、この1年、ひしひしと感じてます。

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