●“無責任な肯定を” レビュー
跳ねたリズムや明るいコードとは対照的に、低音域に色気と錆を滲ませた小柴タケト(Vo・G)の歌唱にまず耳を奪われる。2025年夏の「RO JACK」優勝バンド・Cloudyがその優勝特典としてリリースするのが、この“無責任な肯定を”だ。彼らの魅力はまず潔く中央突破を図るロックサウンドであり、華美な上物やトリッキーな展開に頼ることのない無骨さは、今だからこそ眩い。同曲でもそこはしっかり発揮されており、中でもそこまでの展開とメロディを継承しながら、じわりと昇り詰めていくようなサビのメロディには唸らされた。おまけに歌詞はパンチラインだらけ。《隣人がいる故エレキに電気は無理》と憤りや野望を秘めながら、独り部屋でアンプに繋がれないエレキをかき鳴らす姿は若手バンドのリアルだし、《全員を愛すなんて正し過ぎて気味が悪い》けど《君の居場所になりたいな》と願うのは、不器用だけど偽りのない誠実さの表れだ。おかしいと感じたことに声を上げようとしても、顔の見えない誰かに寄ってたかって「じゃあおまえがやってみろよ」なんて封殺されがちな時代。無責任と言われたっていい、君が君らしく生きていくことを肯定する。その人生を照らしてくれる。それがCloudyのロックだ。(風間大洋)
作詞・作曲:小柴タケト 編曲:Cloudy
SNSを開いても嫌いなものばかり目に入り
ロックに心を奪われた僕が
ここに適す訳がないと
画面にロックをかけるのさ
上手くねーことをほざきながら
隣人がいる故エレキに電気は無理だ
代わりに衝動を
君の居場所になりたいな
君の居場所になりたいな
綺麗事が嫌いな僕が歌うそれは
美しくあるだろう
君の居場所になりたいな
君の居場所になりたいな
だって君が居場所をくれたから
知らねーよ? それでいいよ
ねえ、君は間違っていないよって歌いたいよ
間違った事をしてしまう君は
間違っていないのさ
全員を愛すなんて正し過ぎて気味が悪い
目の前の君だけ愛すから
ほら、無責任な肯定を
地下の暗いうるさい部屋で
僕等は初めて出会ったね
1人で心細く来たの?
ちなみに僕も今もそんな感じさ
君のお目当てのあの曲が
今日はお披露目出来なかった?
馬鹿の一つ覚えのよう歌うから
また会いに来ておくれよ
君の居場所になりたいな
君の居場所になりたいな
美しくあれない僕の唄よ
お前は清く美しくあれ
君の居場所になりたいな
君の居場所になりたいな
君を傷付ける奴が僕は嫌いだ
ほら、大人気ないだろ
ねえ、君はどんな事にもがき悩み
生きているの?
それどころか君の育ちや名前すら
僕は知らないけど
君が僕を見つめた時
浮かべてくれたあの笑顔で
それだけで孤独な夜の闇の中で
僕は笑えるんだよ
性食眠では無い以上
ロックが真の意味での必需品に
なることなんて無いのさ
それでもロックを名乗りたい
ロックがあの日くれたもの
鳴らしたいものは一つだけ
あまりに馬鹿げて尊い一つだけ
無責任な肯定を
ねえ、君は間違っていないよって今 歌うよ
間違った事をしてしまう君は
間違っていないのさ
気休めでも戯言でも
終わる夢も続く日々も
君に出会う為だったとはな
ほら、無責任な肯定を
目の前の君だけ愛してる
ほら、無責任な肯定を
Cloudyの特集は、2025年12月27日発売の『ROCKIN'ON JAPAN』2月号にも掲載!