何を掛け合わせて新しいものを作るかとか、世界にまだないものを提示できる面白さとか、そういうところに音楽の自由さがある(Yuno)
──このEPを引っ提げて、Zepp DiverCityワンマンに向かうわけですが、公演の約1ヶ月半前にチケットが売り切れたことがまずは素晴らしいなと思っていて。そういう状況のDannie Mayから発信される作品だからこそ、さらに説得力を感じるんですよね。歌詞からも鋭さをすごく感じて、これまで7年半活動してきた中でバカにしてきたやつらを見返してやるんだ、というギラギラ感にも拍車がかかっています。Zepp DiverCityを売り切った今なら、それを言う権利があるじゃないですか。Yuno (笑)。マジでその通りなんですよ!
マサ 「マジでその通りなんですよ」はヤバい(笑)。
Yuno いや、ただただ俺はずっと悔しかったんです。何を言うにしても、ある程度のところまでいかないと説得力がないっていうのはずっと思っていて。僕らが言うことに説得力がつくようになってくるタイミングがこのツアーだなって。
タリラ 俺もそれはマジで思う。
──Yunoさんが作詞作曲された“鴉と狐”は、全方面に牙が向いていますよね(笑)。Yuno 味方はいないですね、すべてを敵に回してます(笑)。この曲は僕がずっとイライラしていたことをすべて詰め込みました。自分たちに説得力が出てくるタイミングが来たら絶対にこのテーマはやろうと決めていたので。
──バンドマン視点の歌詞でもありつつ、《ロックは蚊帳の外》というフレーズには、いち音楽リスナーとしての感覚や、今のロックシーンに対する俯瞰した視点も含まれているように感じました。Yuno まさしくそうです。僕はシンセやピアノサウンドが入っているバンドの楽曲も好きだし、みんなで手を上げているライブがロックなライブじゃないとも思わないし。アンコールやるバンドの是非が問われることもありますけど、僕はやるもやらないもどっちも正解だと思うから、何も思わない。何を掛け合わせて新しいものを作るかとか、世界にまだないものを提示できる面白さとか、そういうところに音楽の自由さがあると思うから、「ロック」をレッテルだけで判断されることが、僕は腹立たしくて、その思いを曲に込めました。
──“鴉と狐”もそうですし、『YOKAI』に収録された4曲すべてを通して感じたのが、常識や当たり前と思われているものと違うことをすると、爪弾きにされてしまう世の中に対する怒りのようなもので。特に、“どうなったっていい”は《バンドじゃねえとかベースいねえとか》──。マサ 《あーだのこーだのまじうっせぇ》(笑)。
Yuno うるせえよな?
マサ うるせえから!(笑)
──(笑)。これに関しては以前からずっとおっしゃっていましたよね。活動をしていく中で、ベースがいないというだけで色物扱いされたこともあったという。マサ 逆にそれをギターのない曲、バンドっぽくない曲で言いたかったんです。繰り返し聴いたときに飽きないメロディかどうかを僕はいつも大事にしているんですけど、この曲がそのルールからは外れていて、本来なら飽きるくらいめちゃくちゃリフレインしています。弾き語りと考え方が近いというか、少ないトラックの中で、声のカサカサ具合だったりとかでずっと聴ける曲にすることを目指しました。この曲はライブも(サポートメンバーを入れずに)3人だけでやれたらいいなと思ってます。俺が通して歌うのが曲的にはハマりはいいんだろうなと思ってたんですけど、3人でリードボーカルを回すことに絶対意味を持たせたかったんです。タリラのパートなんて、普通に悪口ですからね(笑)。
Yuno 《大人子供関係ないな/頭のおかしな奴ってだけ》(笑)。
マサ でも、《どうしようもない分からずや》《アホンダラ》っていうのは意外と自分に向けて言ってます。結成8年目で自分が頑固なことに少し気づいてきたので。
Yuno 遅いけどな。
マサ 最近言われるようになった。
タリラ 他の人にってこと?
マサ いやいや、このふたりに⋯⋯⋯⋯ずっと言ってた?
タリラ うん。ずっと言ってたよ。
Yuno 言ってたよ。
マサ じゃあ、あんまり耳に入ってなかったです(笑)。
バンドとしてどれだけ進んでも(Zeppは)遠くに感じていた。他のバンドが「次のツアーファイナルはZeppでやります」って言うのとは違って、本当に地道にやってきた(タリラ)
──では最後に、7年半かけて辿り着いたZepp DiverCity公演を間近に控えた、今の心境を改めて聞かせてください。タリラ 初めて「Zepp」っていう言葉を口にしたのは、たぶんお客さんが0人のときで、軽く言ってみただけというか、まったく現実味がなかったよね?
マサ あのときの俺らはそうだよね。
タリラ それが、ファンが5人になり10人になり、だんだんと増えていって。WWWや(渋谷クラブ)クアトロを初めてソールドアウトできたときに、すごいなって思うと同時に、「Zeppってこの何倍だ?」って、バンドとしてどれだけ進んでも遠くに感じていたんです。でもそう思いながら70曲くらい作ってきたし、他のバンドが「次のツアーファイナルはZeppでやります」って言うのとは本当にまったく違うくらい、地道にやってきたので。そういう意味のありすぎるZeppはどうか楽しみにしていてほしいし、その先ももちろん見据えているので、まだまだこれからもよろしくお願いします、って思ってます。
Yuno 東京のZeppに立つまでが僕らにとっての第1章だと前から決めていたんです。将来、Dannie Mayの歴史を振り返ったときに、『YOKAI』ツアーのZepp以前と以後に分かれるくらい、明確にここからがスタートだと思ってます。ここまで歩んできた軌跡を固めて次に行くための起爆剤になるライブなので、お客さんにも「ここから始まるんだ」と思って観に来てほしいです。
マサ 僕はもう「これはソールドするな」とわかった日から、MCで何を喋ろうかって毎週考えてるんですけど、僕らは気張ったときにいいライブはできないんですよ(笑)。ここで呑まれているようでは話にならないので、会場を隅から隅までハックするようなライブにしたいですね。
──私は初めてクアトロがソールドアウトする前からDannie Mayを観ているので、Zeppワンマンが実現したらさぞ大感動のライブになるんじゃないかと当時は思っていたんですが、いざその日が迫ってくるとそういうわけでもないというか。マサ そうなんです。もちろん感極まる瞬間は自分たちの中であると思うんですけど、そこがバンドとしてのピークにならないようにしたくて。今まではよく「俺たちみたいな、なんでもないやつらが⋯⋯」って言ってたんですけど、もうそれもやめようと思っていて。気持ち的にはいつまでもみんなの隣で、背中を叩くような気持ちで音楽をやってますけど、自分たちに発破をかける意味でも、「隣にいるだけのあんちゃんじゃねえぞ」っていうところを、今回のZeppではしっかり見せつけないといけない。めちゃくちゃいい気合の入り方をしてますね。
Yuno だから、ようやく掴んだZepp、しかもソールドアウトっていう状況を考えると、たぶんお客さんの中で想定してるセトリがあると思うんですよ。でも、今回のセトリはそれを裏切る自信があります。ここがゴールになってしまったら話にならないので、っていうセトリです。
──rockinon.comでライブレポートも書かせてもらうので、本当に楽しみにしています。こういう話をしておきながら、当日感動して泣いたらどうしよう(笑)。Yuno 今回のセトリで号泣してる瞬間があったら「どうやって!?」って思うかもしれない(笑)。
マサ はははは! 楽しみにしていてください!