しかし、開演予定の19時をまわっても、未だライヴがはじまる気配はない。どうやら、こういう日だから友人知人の来訪も多かったようで、後のMCでRYUICHI(Vo)は「リストにない人もたくさん来てくれて時間が押したんです」とぶっちゃけ(さらに、「決してこれはクレームではなくて、25周年を祝いに当然来たよっていう人たちがたくさんいるってことは、俺たちの25年間ってすごく幸せだったなって思います」と、しっかり付け加えていた)。たくさんの人の愛されてきたバンドらしい。そんな理由を、開演前の時点では知る術もないものの、じっと待ち続けるオーディエンス。いよいよ19時30分になろうとした頃、やっと客電が落とされた。
「1989年5月29日、我ら5人は町田プレイハウスでライヴを行い、一つになりました。それから25年の時が過ぎ、今日バースディを迎えました」とRYUICHIが最初のMCを行うと、温かい拍手が起こる。そう、思えば彼ら、25年間メンバーチェンジを行っていないのだ。「嵐を呼ぶバンド」と言われるほど、ライヴの日に天候が乱れたりと話題を掻っ攫うことはあったけれど、5人全員が事件も事故もなく生きていることは(しかもカッコいいままで)、何にも代えがたい奇跡である。メンバー自身もそれを噛み締めているのか、本当に笑顔が多かった。“DESIRE”ではINORANとJが向き合いながらプレイしていたが、メンバー同士の和やかなコミュニケーションも増え、どんどんバンドらしくなっていると思う。そういったところも関わってか、“TRUE BLUE”の青から“Rouge”で赤に染まった対比が美しかった照明や、LEDやセットがあったとはいえ、ショウというよりはライヴとして魅せるに十分なステージになっていた。RYUICHIのMCも炸裂していて「25年でアルバム8枚ってどれだけ怠けてるんだって話ですが(笑)。恐竜が進むみたいだけど、その一歩はデカいぞ!」、「俺たちは空を飛んでいるんだ。離陸した途端に宇宙」、「来年はアルバム3枚出します……冗談ですけど(笑)」と、舌好調だった。
瞬時に熱狂に火を点けた“Déjàvu”、一転してじっくりと聴かせた“I for You”と畳み掛け、RYUICHIが「LUNA SEAは全員がメンバーだからよ!」と叫んではじまったのは、『A WILL』から“Metamorphosis”。これが、やっぱり今の彼らが最高なんだな、参った!と言いたくなるくらい痺れた。メタルなフレーヴァーとキラーリフは殺傷力抜群。ツアーでの進化が、最も楽しみな楽曲だ。さらに、INORANやJが思いっきり客席に近付いていた姿が印象的だった“The End Of The Dream”、SUGIZOのギターソロでRYUICHIが肩を組んで応戦した“STORM”、25年前と今を繋いだ“TIME IS DEAD”と駆け抜けていき、“ROSIER”で激しく美しいエンディングを迎えた。
メンバーも客席も手を繋ぐ恒例のジャンプの後、それぞれが手を振ったりしながらステージを去る中、LUNA SEAのライヴでは殆ど喋ることがないINORANが「25年なんて信じられないけど、これからもよろしくな」と口を開くという、トドメのサプライズまで。あくまで「これまで」に囚われず「これから」を体現したライヴだった。6月から来年3月までは、久々の全国ホールツアー『LUNA SEA 25th ANNIVERSARY LIVE TOUR THE LUNATIC -A Liberated Will-』もはじまるし、『黒服限定GIG 2014』なども予定されている。今日のセットリストは『A WILL』とみんなのアンセムが中心の綺麗な流れだったが、今後は彼らのことだから隠し玉も飛び出してくるだろう。現在進行形のロックバンドとして、もっともっとドキドキさせてくれることに期待が高まった夜だった。(高橋美穂)
■セットリスト
01.Anthem Of Light
02.TONIGHT
03.DESIRE
04.TRUE BLUE
05.Rouge
06.乱
07.gravity
08.Glowing
09.Providence
10.MOON
11.Déjàvu
12.I for You
13.Metamorphosis
14.The End Of The Dream
15.STORM
16.TIME IS DEAD
17.ROSIER
(encore1)
18.Thoughts
19.IN MY DREAM (WITH SHIVER)
20.BELIEVE
21.WISH
(encore2)
22.MOTHER