SCANDAL@横浜アリーナ

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ライヴの冒頭にはド派手な演出を用意する。基本的にヘッドセットマイクを使用し、ステージの端から端まで練り歩く。大声でオーディエンスを煽って会場を盛り上げる――広い会場の奥までしっかり見渡しながら笑顔で演奏するメンバーの姿を見ていたら、これら全て「オーディエンスを楽しませたい」「オーディエンスとコミュニケーションを取りたい」という想いによるものに思えてしょうがなかった。その上でギターが歪み、リズム隊が前のめりに曲をドライヴさせていくような痛快なロックが炸裂すれば、オーディエンスは即大盛り上がりである。『SCANDAL ARENA LIVE 2014 「FESTIVAL」』はそんなライヴだった。1週間前に大阪城ホールでの公演『SCANDAL ARENA LIVE 2014 「360°」』を成功させたタイミングでの横浜アリーナ2デイズ公演だが、この横アリ2デイズというのは、プリンセス プリンセス以来ガールズバンドとしては23年ぶり、史上2組目の快挙とのこと。6月28日、29日と2日間続けて開催されたうち、本レポートでは最終日=29日の模様をお届けしようと思う。

開場BGMが徐々に大きくなっていくと、それに気づいた会場からは歓声や拍手が起こり、オーディエンスは続々と席から立ちあがる。BGMが完全に途切れると、ステージ後方に設置されたスクリーンには夜景のアニメーション映像。夜の街のなかの看板や飛行機、ヘリポートなどに「10」「9」「8」といった数字が描かれ、カウントダウンが始まる。「0(ゼロ)」の形をした花火が画面上に咲き、本公演のロゴが映し出されたところで、ビビッドカラーの衣装を纏ったHARUNA(Vo・G)、MAMI(G・Vo)、TOMOMI(B・Vo)、RINA(Dr・Vo)が登場。そしてステージ前方から炎がドーンと大きな音を立て打ち上がり、“SCANDAL IN THE HOUSE”からスタート。SCANDAL流の自己紹介ナンバーであり、メンバー4人が交互にヴォーカルをとるこの曲では、4人が楽器を持たずにステージを練り歩きながら唄い繋ぐ。全員が唄えるこのバンドだからこそできるスタイルだ。「フェスティバル」にふさわしい派手な演出や、この横アリ2デイズで初披露だというレア曲からのスタートに、会場のテンションもいきなり最高潮の1曲目。「横アリ行くぞー!」というHARUNAのアジテーションに続けて“会わないつもりの、元気でね”、そして“SCANDAL BABY”が投下される。HARUNA、MAMI、TOMOMIはヘッドセットマイクを装着し、ステージ前方や左右に伸びた花道まで行って演奏したりオーディエンスを煽ったりしている。フロント3人のように動き回ることはできないものの、その後ろで頼もしいリズムを刻むRINAも心からこのライヴを楽しんでいるであろうことが、スクリーンに度々映し出される満面の笑みから察せられた。この“会わないつもりの、元気でね”からバンドスタイルでの演奏だったのだが、それにしても楽器を持って4人揃ったその佇まいがとても画になるし華がある。「今日曇りのち雨の予報だったけど、ピーカンだね! 今日持ってきた熱を出してさ、たくさん唄って、笑って、踊って、ここにいるみんなで最高の夜にしようね!」。最初のMCでHARUNAがそう言うと、HARUNAの真っ直ぐな歌声とTOMOMIのキュートな歌声の掛け合いが特徴的な“サティスファクション”からTOMOMIが高音でシャウトしていた“STANDARD”まで、アッパーチューンを連発する。長い髪を振り乱しながら歪んだ音でロックを鳴らしまくる4人は最高に色っぽい。「男前」ならぬ「女前」といったところだろうか。オーディエンスもタオル回しやコール&レスポンスなどで大盛り上がりのリアクションを見せた。

SCANDAL@横浜アリーナ
ここで一旦メンバーがステージから捌けて、スクリーンにはメンバー4人それぞれがカメラに向かってポーズを決める映像が。その映像のなかで4人が肩を並べたところで、ステージ上にも4人が揃って再登場。HARUNAは赤と黒、MAMIは白とシルバー、TOMOMIは黒とミントグリーン、RINAは黒と青を基調としたドレッシーな衣装にチェンジしている。後半一発目は“Runners high”からスタート。終盤でステージ後方からスモークが漂った“LOVE SURVIVE”を終えると20の炎がステージを囲む形で揺らめく。足元に白いスモークが漂うなか、MAMI、TOMOMI、RINAによるセッションが始まる。向かい合う形でお互いを見ながら演奏し、どんどんグルーヴを高めていく3人を背に、HARUNAは「みんなの声聞かせてよ、OK!? Everybody say Yeah!!」「横浜もっともっと声出していこうぜ!」など、叫ぶようにコール&レスポンスを煽りまくる。そのコール&レスポンスの音量と、3人によるセッションの熱量が最高潮に達したところで“EVERYBODY SAY YEAH!”のイントロへ。感情も何もかも溢れまくっているバンドのサウンドやそれに乗って飛び跳ねるオーディエンスで満たされた横アリは絶景だったし、この瞬間は今日のハイライトのひとつだったといえるだろう。ゆれる炎と紫の照明を携えて“下弦の月”をしっとり響かせたあとのMCでは、今回のライヴに対する想いを4人が語る。最初に横アリでライヴをしたイベントでは小さなサブステージでの出演だったこと、そのときはまだ制服を着ていたこと、今はワンマンライヴでここにいること。TOMOMIが「ここから見える景色、最高なの。ありがとう」と目を輝かせれば、MAMIは「テンション上がって瞬きできないや。みんな焼きつけたくて」と笑う。「作ってきた曲が100曲を超えて、続けてきた年数を曲数とともに感じました。一部屋から生まれた曲が何千人にも届くライヴが大好きだなと思いました」とRINAが語ると、「来てくれてるみんなとこの瞬間を作れて最高です」とHARUNAが言う。そして“ビターチョコレート”と“ハルカ”が届けられたのだった。

SCANDAL@横浜アリーナ
そのあとは“太陽スキャンダラス”や“スペースレンジャー”など、ラストに向かってテンションが再加速。4人の演奏が、合唱やクラップなど、オーディエンスからあらゆるリアクションを引っ張り出したあとの“Departure”が本編ラストを飾った。
アンコールを求める声に応えてグッズのTシャツに着替えた4人が再びステージへ。「普通に生きていたら1日ってあっという間だけど、こういう時間をみんなと過ごせて幸せだし、すごく立派な横アリ記念日になりました」(HARUNA)、「本当にバンドって楽しいな、自分たちの音楽をやってきてよかったなと、みんなのおかげで思えてます」(RINA)、「何度でも横アリで(ライヴを)できるバンドでいたいし、そのときはみんなも来てくれるよね!?」(MAMI)など、この日の充実ぶりをメンバーが語ると、祝福するかのようにオーディエンスは拍手や歓声をステージへ飛ばす。そして「この夏たくさんの人に届けたい曲」として演奏されたのは、7月16日にリリースを控えたシングルから、映画『ポケモン・ザ・ムービーXY「破壊の繭とディアンシー」』の主題歌“夜明けの流星群”。アンコールラストを飾った“太陽と君が描くSTORY”ではタオル回しも発生するハッピーなムードの中、ゴールドとシルバーのテープキャノンが華々しく放たれた。

さて、会場を出たところで配られたチラシには早くも次のお知らせが。『SCANDAL LIVE HOUSE "10"DAYS 「急に来てもらってゴメン。2014 ~新曲やるから聴いてよ~」』開催決定!だそう(詳しくはSCANDALオフィシャルホームページをご覧ください)。確かに横アリ2デイズは記念すべきトピックになっただろうし、メンバー自身も感慨深そうだったが、どうやら既に先を見ているようだ。夏にはROCK IN JAPAN FESTIVAL 2014にも出演が決定しているSCANDAL(出演日は8月10日です)、今後の活躍からも目が離せない!(蜂須賀ちなみ)


■セットリスト
01.SCANDAL IN THE HOUSE
02.会わないつもりの、元気でね
03.SCANDAL BABY
04.サティスファクション
05.OVER DRIVE
06.DOLL
07.STANDARD
08.Runners high
09.LOVE SURVIVE
10.EVERYBODY SAY YEAH!
11.下弦の月
12.ビターチョコレート
13.ハルカ
14.Rainy
15.太陽スキャンダラス
16.スペースレンジャー
17.涙よ光れ
18.Departure

(encore)
19.夜明けの流星群
20.太陽と君が描くSTORY
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