NO NUKES 2014(1日目)@Zepp DiverCity

坂本龍一の呼びかけにより2012年にスタートした、脱原発を目指すフェス「NO NUKES」、3回目になる今年は東京・Zepp DiverCityで3日間連続の開催。初日である9月29日(月)は、斉藤和義とthe HIATUSが出演。周知のとおり、坂本龍一はガンの療養中のため参加できないが、ぜひ今年も行ってほしいという本人の強い希望にスタッフやミュージシャンが賛同して開催が決まった。

NO NUKES 2014(1日目)@Zepp DiverCity - all pics by TEPPEIall pics by TEPPEI
また坂本龍一から、脱原発を訴えて都知事選を戦った細川護熙・小泉純一郎の両氏をぜひ招きたいという希望があり、オファーをしたら本当に来場してくれることになった。そして呼び込みにより、細川・小泉両氏と、元首相補佐官の田中秀征氏、元内閣官房長官の中川秀直氏が登壇。毎晩坂本龍一の曲を聴きながら寝ているという小泉氏は「原発ゼロを目指さなくても原発がなくなっていた、という未来にしたい」と語り、細川氏は「私は原発ゼロの運動をやっているんですが、今日は若いみなさん元気をもらいにかけつけました」とコメントした。
なお、ロビーには、毎週金曜に首相官邸前で続いているデモへの参加や、川内原発再稼働反対を呼びかけるブースも設けられている。

<斉藤和義>
NO NUKES 2014(1日目)@Zepp DiverCity
3日間最初のアクトは、「NO NUKES」皆勤賞の斉藤和義。先々週に中村達也とのロック・ユニットMANNISH BOYSのニュー・アルバムが出たばかりで、先週そのツアーが始まったばかり、つまり本来ソロで稼働するタイミングではないはずだが出演を決めた、ということだ。昨年のツアーからのメンバー(ベース隅倉弘至とドラム玉田豊夢は以前からだが、キーボードがGRAPEVINE等のサポートも務める高野勲。ただしギターのフジイケンジと辻村豪文は不在のため、ギタリストは自分だけ、という編成)を率いてステージに登場。ひとしきりひとりでギターをかき鳴らし、“やさしくなりたい”からライヴはスタートした。
セットリストは以下。

01.やさしくなりたい
02.月光
03.ウサギとカメ
04.FIRE DOG
05.Happy Birthday to you!
06.オオカミ中年
07.猿の惑星
08.歩いて帰ろう
09.ベリーベリーストロング~アイネクライネ~
10.幸福な朝食 退屈な夕食

NO NUKES 2014(1日目)@Zepp DiverCity
曲によってエレキとアコギを持ち替えながら、ブルージーな2曲目あたりではハープも吹きながら、「小泉さん、あのあと楽屋を間違えてうちの楽屋に入ってきて(笑)。ああいう方が、ああいうことを言い出してくれると心強いですよね。(原発が)なくてやっていけるんならないほうがいいに決まってんだし、ちょうど1年くらい原発なしでやっていけてるわけだし。安倍ちゃんがなんか言ってますけど、ちっちゃい力だけどひっくり返していけたらいいんじゃないかと思います」というMCをはさんだりしながらの全10曲。

NO NUKES 2014(1日目)@Zepp DiverCity
“ずっと嘘だった”はやらなかったが、「絡み合う利権 後回しの人権 毒で作るエネルギー/今日も編集されたニュース 見えない恐怖の雨/言いたいことも言えないこの世の中/小さな声は今日も届かないまま」と歌われる“ウサギとカメ”、「NO NUKES!」と連呼する“オオカミ中年”、「停電 狂言 どう?今日の湯加減 サディスティックモンキー/あぐらかいてても儲かる村じゃ 責任逃れで右往左往」「低能 無能 NO! もう! 放射能! ロマンティックモンキー」とまくしたてる“猿の惑星”など、3・11以降に書いたシリアスな曲が中心のセットリスト。ただし、“FIRE DOG”のような昔の曲も、そこに違和感なく並んでいる。同じく昔の曲であるラスト・チューン“幸福な朝食 退屈な夕食”の「今歩いているこの道はいつか懐かしくなるだろう」「なればいい」「なるだろう」「なるはずだ」というリフレインは、まるでこの場にいる皆の思いをそのまま歌っているようだった。


<the HIATUS>
NO NUKES 2014(1日目)@Zepp DiverCity
4thアルバム『Keeper Of The Flame』のツアーをあと1本だけ残し(12月22日の日本武道館)、9月27日には岐阜県中津川で行われた「中津川 THE SOLAR BUDOKAN 2014」に出演、そしてこの日2年ぶり2度目の「NO NUKES」のステージに立ったthe HIATUS。オーディエンスと軽口を叩いたりしながら自身で機材セッティングを行った細美武士、いったんステージをはけてから再登場。「よしいこーかー!」の第一声で鳴らされるギター・イントロに、フロアから大きな歓声が上がる。
セットリストは以下。

01.Storm Racers
02.Monkeys
03.Thirst
04.Something Ever After
05.Horse Riding
06.Deerhounds
07.Unhurt
08.The Flare
09.Lone Train Running
10.Insomnia
11.紺碧の夜に
12.Silver Birch

(encore)
13.Waiting For The Sun

NO NUKES 2014(1日目)@Zepp DiverCity
4曲目と5曲目の間、7曲目と8曲目の間、11曲目と12曲目の間、あとアンコールの演奏前にはさまれたMCの時間以外は、1曲目“Storm Racers”が終わったら間髪入れずに次の“Monkeys”へ、それが終わっても音は途切れずそのまま3曲目“Thirst”へ──と切れ目なく続く、まさに「怒濤」という言葉がぴったりのステージだった。全部の楽器が、いや楽器だけじゃなく、打ち込みの電子音まで含めて今ここで鳴っている音すべてが、ものすごいエネルギーを放っている。精密なのに豪快極まりなく、猛り狂っているのにやさしく温かい、そんな矛盾の塊のような音。特に、エレキとアコギとスタンドマイクとハンドマイクを曲ごとに持ち替えながら放たれ続ける細美のヴォーカルがすさまじい。歌えば歌うほどどんどんすごくなる、というのが、このライヴ1本を通してという意味でも、ミュージシャンとしてのキャリア全体を通してという意味でも当てはまるような。何度もシンガロングとハンドクラップでバンドに応えるあっついオーディエンスは、「今日、小泉さんと細川さんと、政治家の先生4人来てくれたじゃん? あれ見てどう思った?」という言葉から始まった、それが我々にとってどういう意味を持つのかということについての話など、いつもすごく大事なことをさらっと言う細美のMCにも、曲の時と同じ集中力で耳を傾けている。

NO NUKES 2014(1日目)@Zepp DiverCity
本編ラスト、「川内原発、再稼働するしないで未来が大きく分かれるよ」という細美の言葉に続いて演奏された“Silver Birch”。この曲が始まった時の開放感は、他で味わったことのないものだった。そんなシビアな言葉のあとなのに、希望に満ちて響いている。アンコールで、小泉氏と細川氏に直接お礼を言ったという報告に続いて歌われた“Waiting For The Sun”も、やはり、同じように希望に満ちていた。

入場の際に配られる「NO NUKES 2014 参加者の皆さんへ」というフライヤーには、前述の川内原発再稼働の矛盾について、飯田哲也氏(認定NPO法人環境エネルギー政策研究所所長)が語るテキストが掲載されている。終演後、それを読みながら会場をあとにするオーディエンスの姿をあちこちで見かけた。(兵庫慎司)

最新ブログ

フォローする