電気グルーヴ@Zepp Tokyo

電気グルーヴ@Zepp Tokyo
電気グルーヴの結成25周年を記念するツアー、その名も「塗糞祭」(読み:とふんさい)。10/29のZepp Namba、翌10/30のZepp Nagoyaと繰り広げられて来たステージは、Zepp Tokyo2デイズ(11/7・8)におけるファイナルを迎えていた。オーディエンスがツアー・グッズの刷毛(石野卓球は「マルセル・デュシャンとかと一緒でしょ。現代アートだから!」と豪語していた)を手に、笑って歌って踊るアニヴァーサリーの奇祭である。その東京・2日目の模様をレポートしたい。文末に載せたセット・リストをご覧頂ければ分かるように、アンコール無しの全34曲、3時間の超濃密なパフォーマンスであった。

電気グルーヴ@Zepp Tokyo
電気グルーヴ@Zepp Tokyo
電気グルーヴ@Zepp Tokyo
影アナがツアー・タイトルを読み上げると笑い声の漏れる場内に『荒野の七人』のテーマ曲が鳴り響き、ステージの幕が開くと同時に目に飛び込んでくるのは、階段状のステージ・セットでポーズを決めている石野卓球とピエール瀧だ。階段状セットは、全面がプロジェクション・マッピングのプロジェクターになっており、初っ端から視覚効果も凄まじい。重いシンセ・フレーズがベンドしまくるオープニング曲は、ツアー開始と同時にリリースされたミニ・アルバム『25』収録の“電気グルーヴ25周年の歌(駅前で先に待っとるばい)”。歴代の爆笑アーティスト写真シリーズを背景に、衰え知らずの悪意と悪態と悪戯心を歌に乗せて撒き散らす卓球&瀧である。中央のブースでトラックをコントロールしているのは、お馴染みagraphこと牛尾憲輔だ。

そこから急転直下、“Twist of the world”を手始めに、90年代前半の電気ナンバーを華々しい現代進行形サウンドで放つ展開に驚かされる。トロピカルなエレクトロに乗せてボンボンをバッシングする“MUD EBIS”、凶悪なビートが襲い来る“B.B.E.”、そしてレトロ・ゲーム風のCGアニメーションを背景にした“Hi-score”では、瀧がゲームのキャラクターになりきってベルトコンベアーを逆走する演出も楽しい。男性の頭髪事情を歌う“ザ・ケトルマン”をフィニッシュすると、「友達ならあたりまえ~!」と懐かしいアルシンドの台詞であらためて挨拶を切り出す卓球。「今日がファイナルなんで、塗り残しのないようお願いします!」と告げながら、ビートたけしや仮面ノリダーの物真似も絡めて猛スピードの無軌道MCが炸裂する。この辺りはいつもどおりなのだが、一応はしっかり聞いているものの適当にあしらいつつ、半分諦めながらもノるところはノる。今回はそんな瀧の、まるで約束組手のような「受け流しの達人」ぶりがまた凄かった。

電気グルーヴ@Zepp Tokyo
さて、「塗糞祭」では、電気の25年に深く関わって来たアーティストたちのゲスト出演も大きなトピックである。「最初の挑戦者は!」と呼び込まれたのは初期メンバー・CMJK。「やめた人だからね。裏切り者だから」「儲かってると思いますよ、この2人はね(CMJKと瀧を指しながら)」といったふうに卓球の洗礼を浴びつつ、CMJKによってアグレッシヴかつキャッチーなダブステップにアレンジされた“ビコーズ”以降、デビュー・アルバム『FLASH PAPA』の楽曲群が披露される。“マイアミ天国”で卓球は「新宿LOFTのメンバー募集が、まさかこんな付き合いになるとは思いませんでしたー!」と笑顔で言い放ち、ラテン・パーカッションが効いた“Bingo!”では景気良くホイッスルを吹き鳴らすのだった。

電気グルーヴ@Zepp Tokyo
「今日は、掴んだら投げてきますからね(瀧)」「投糞。ストレスゴリラ(卓球)」といった調子で隙あらば無駄トークを挟み込んで来るわけだが、続いてはDJ TASAKAが登場。『VOXXX』のツアー時に、当時のツアー・メンバーの間で勝手にバッグの中に絵本を入れておく遊びが流行ったそうなのだが、その当時の絵本がTASAKAのブースに置いてある、というシチュエーションから今回のコラボがスタートだ。TASAKAが鼓&三味線ブレイクビーツを打ちまくる“浪曲インベダー”、そして“ドリルキング社歌”は“インベーダーのテーマ”や“フラッシュバックJ-popカウントダウン”で用いられていたジングルをミックスしたヴァージョンである。

電気グルーヴ@Zepp Tokyo
そしてここに登場して喝采を浴びるのはスチャダラパーの3人だ。TASAKAとSHINCOがスイッチし、電気グルーヴ×スチャダラパーによるシングル曲“聖☆おじさん”を披露しつつBoseが電気の25周年を祝福する。ANIが瀧のポケットから千円札を盗んだ、いや濡れ衣だ冤罪だ、とやりあう寸劇を挟み、決着は“ANI VS 瀧”、“瀧 VS ANI”のラップ・バトルに委ねられる。そしてコラボの締め括りはなんと“今夜はブギー・バック(smooth rap)”。同じ時代を潜り抜けてきたアーティスト同士の、名曲パフォーマンスになった。ANIは《キミらこそスゲーぜ 電気マイメーン》とフロウし、サビのメロディを堂々歌い上げるのは卓球。《心変わりの相手は僕に決めなよ》のパートは、agraphが歌うというまさかの展開であった。

電気グルーヴ@Zepp Tokyo
“完璧に無くして”では、瀧の足踏みで階段が崩壊するCGアニメーションも用いられ、プロジェクション・マッピングの演出が目一杯発揮される。そして“FLASHBACK DISCO”から新作曲“Baby's on Fire”の哀愁メロといったリレーが繰り広げられるのだが、この日限りのゲストとして迎えられた天久聖一は、胴体に大きなポリバケツ、靴の代わりにティッシュの空箱といった前衛的でシュールなヴィジュアル(本人曰く「レディー・ぱみゅぱみゅ」)で姿を見せ、“21世紀もモテたくて…”で爆笑必至の共演を果たすのだった。卓球は「終電とか気になる人、帰ってもいいですよ。帰れって言ってるんじゃなくて、我慢してまで観るもんじゃないから」と言いながら、ここで瀧に物真似のリクエストを要求したりしている。

電気グルーヴ@Zepp Tokyo
いやしかし、ここで帰るわけにはいかない。最後のゲストとしてステージに迎えられたのは勿論、砂原良徳 a.k.a. まりんである。彼の新アレンジ曲によるパフォーマンスなのだが、選曲の切り口がまた素晴らしくて、人生“俺が畳だ! 殿様だ!”を筆頭に、瀧の作曲/ヴォーカル曲をメドレーでプレイしてゆくのだ。華があって、その実繊細に編み込まれた、惚れ惚れするほどに美しい轟音エレクトロで生まれ変わった楽曲たち。正直に言えば、「まりんがいる電気」という物語性すら忘れてしまうほど、サウンドそのものに感動する一幕だった。良く見れば、この時間帯はマッピングの演出もほぼ用いられていなかった。効果的なライティングだけで、ひたすら音に染まる時間だったのだ。ソリッドなブレイクビーツが決まる“ママケーキ”では3人が並んでマイクを握り、締め括りは2009リモデル音源ベースの“Shangri-La”。完璧である。

電気グルーヴ@Zepp Tokyo
電気グルーヴ@Zepp Tokyo
「皆さんのおかげで、25周年を迎えることができました。なんか、インフォメーションあったっけ?(瀧)」「今回、おかげさまで儲かりました! これからもよろしくお願いします!(卓球)」といったふうに傾れ込む終盤は、新旧の必殺ナンバーが乱れ撃ちになってゆく。“Upside Down”でエア・ヴァイオリンを弾いていた卓球は、“Fake It!”のブレイク・パートで「今後も30年40年……80年90年、死んでるっつーの!(笑)」と声を上げる。クライマックスは、“N.O.”をオリジナルの歌詞で披露する“無能の人”と、こちらもインディーズ時代のヴァージョンに近い“電気ビリビリ”で沸騰したままフィニッシュ。卓球と瀧がステージ中央でガッチリと互いの手を握り、彼らはステージを後にした。(小池宏和)

■セットリスト

01.電気グルーヴ25周年の歌(駅前で先に待っとるばい)
02.Twist of the world
03.MUD EBIS
04.B.B.E.
05.Hi-score
06.ザ・ケトルマン

Featuring Guest CMJK
07.ビコーズ
08.マイアミ天国
09.Bingo!

Featuring Guest DJ TASAKA
10.浪曲インベダー
11.ドリルキング社歌

Featuring Guest スチャダラパー
12.聖☆おじさん
13.ANI VS 瀧
14.瀧 VS ANI
15.今夜はブギー・バック(smooth rap)

16.完璧に無くして
17.FLASHBACK DISCO
18.Baby's on Fire

Featuring Guest 天久聖一
19.21世紀もモテたくて…

Featuring Gueat 砂原良徳
20.俺が畳だ! 殿様だ!
21.ポパイポパイ
22.ちょうちょ
23.お正月
24.富士山
25.ママケーキ
26.Shangri-La

27.モノノケダンス
28.Upside Down
29.Fake It!
30.スマイルレス スマイル
31.ジャンボタニシ
32.カメライフ
33.無能の人
34.電気ビリビリ
公式SNSアカウントをフォローする

人気記事

最新ブログ

フォローする