LEGO BIG MORL@渋谷TSUTAYA O-EAST

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「僕らの新しい『NEW WORLD』っていう音と、この『YOU t OUR』っていうライヴに気づいてくれて、共鳴してくれて……みなさんを本当に誇りに思います。ありがとうございます。センスいいですね、みなさん!」と語りかけるタナカヒロキ(G)の言葉に、熱気あふれるフロアがさらに歓喜に沸き返っていく。約3年ぶりのオリジナル・アルバムとなる最新作『NEW WORLD』を携えて計19都市を巡る、LEGO BIG MORLの全国ツアー「LEGO BIG MORL TOUR 2014 『YOU t OUR』」のファイナル:12月6日、東京・渋谷TSUTAYA O-EAST公演。タナカの負傷による1年間の活動休止をバンド自体の転機と捉え、作曲スタイルを大きく変化させることによってサウンド全体を進化させるに至ったレゴ(その過程とアルバムの詳細については特集記事 http://ro69.jp/feat/legobigmorl_201409 をご参照ください)。前半:対バン形式/後半:ワンマンという形で開催されてきた『YOU t OUR』の集大成となるこの日のステージは、その充実した「今」の躍動感と、「これから」の進歩への想いが結実した、至上のアクトだった。[台風による天候不良のため順延となった10月13日・神戸公演の振替公演(12月23日、w/BLUE ENCOUNT)が控えていますが、以下セットリストおよび演奏内容について記述があります]

LEGO BIG MORL@渋谷TSUTAYA O-EAST
アルバム『NEW WORLD』のオープニングを飾る“Pause (intro)”に合わせて、アルファベットのグラフィックがひとつひとつ「LEGO BIG MORL」の文字を描き出していく。舞台に勢揃いしたカナタタケヒロ(Vo・G)/タナカヒロキ/ヤマモトシンタロウ(B)/アサカワヒロ(Dr)の4人が呼吸を合わせて響かせた“RAINBOW”の、ハイパーな高揚感に満ちたソリッド&タイトなサウンドスケープ! 開幕早々フロア一面にシンガロングを巻き起こしたところで、ヤマモトの奏でるグルーヴィーな極太ベースラインを経て“Wait?”のスリリングなアンサンブルへ。さらに、エッジィなギター・リフから流れ込んだ“Hybrid”のミステリアスなダンス・ロック・ビートで、熱いジャンプと♪Higher Higherのシンガロングを呼び起こしていく――レゴが当初から備えていた洋楽的なメロディ・センスを、フレーズのループを多用したソングライティングでもって妖しく鮮烈に開花させることで、文字通り「他ならぬバンドそのものの中にあったNEW WORLD」への扉を開け放ってみせた進化作『NEW WORLD』。「ワンマンなので、古い曲から、もちろん『NEW WORLD』の世界まで、すべてを表現していきたいと思っております」というカナタの言葉通り、『NEW WORLD』の12曲を本編トータル18曲の中に全曲盛り込んだこの日のセットリストは、バンドが迎えた変化と進化を、彼ら自身が今まさに確かな手応えをもって謳歌していることをリアルに物語っていた。

LEGO BIG MORL@渋谷TSUTAYA O-EAST
ディレイを駆使したタナカのギターが織り成す、シンプルにして陶酔必至の悦楽に満ちた音世界。リズム・メーカーとしての卓越した安定感と疾走感に満ちたヤマモト&アサカワのビート。そして、その研ぎ澄まされた音像によって格段に輝度と色彩感を増して広がる、カナタの豊潤なヴォーカリゼーション……この日も披露されていた、活動休止直前のライヴ会場限定シングル収録曲=“knock to me”“LION”からも「今」のテイストは窺えるが、やはりバンドの危機に直面して以降の『NEW WORLD』曲が放つクリアな美しさと訴求力には改めて感激を禁じ得ない。さらに、そんなバンドの覚醒モードのおかげだろうか、それこそ彼らの1stシングル曲“Ray”をはじめ“ドリルドリル”“バランス”などこれまでの楽曲群までもが、さらなるスケール感と奥行きをもって鳴り渡っていたのも印象的だった。

「3年もお待たせしまして、アルバム『NEW WORLD』がやっとできて。全国ツアーを、遠い方から回ってきまして、北海道行ったら『4年間待ってました』とかいう声があって。正直、全箇所ソールドしてるわけでもないし……お前ら友達連れて来えへんからやろ? 『ぼっち参戦です』とか知るか!(笑)」とオーディエンスにSっ気たっぷりに語りかけるタナカに、フロアがどっと沸く。続けて「それでも19本、自分たちで精査して、本数と場所を考えて、19本やりまして。本当にツアー回ってよかったなと思うし、今日もこんだけ集まってくれて……」と感謝を伝えるタナカ、「『NEW WORLD』聴いてるんでしょ? ハイセンス軍団やな!」と意気揚々と呼びかけて、熱い拍手喝采を巻き起こしていく。そして、“絶望は希望よりも美しい”から“スイッチ”“夢中夢の羊”“Rise and Set”“Spark in the end”“LAIKA”“a day in the live”と『NEW WORLD』の楽曲を織り重ねて、凛としたクライマックスの風景を描き出してみせたライヴ後半の展開。「共感」や「一体感」越しの快楽ではなく、抑え難く「共鳴」せずにいられないメランコリックで切実なギター・ロックの魔術的な魅力を、この日の彼らの歌とサウンドは濃密に備えていた。

LEGO BIG MORL@渋谷TSUTAYA O-EAST
そんなストイックな本編の空気感とは一転、アンコールでは「本編はセンスいいやつをやったから。若手に負けてられへん、(アンコールは)ああいうのもできまっせ!っていうところを見せつけてます(笑)」とタナカ自身も言っていたように、“テキーラグッバイ”“溢れる”連射でエモーショナルに攻めまくって、フロア一面ジャンプの嵐へと叩き込んでみせる4人。ここで「ほんまにどこでもやってない、新曲を持ってきてます!」というカナタの言葉から、この日がライヴ初演奏となる新曲へ。ミドル・テンポのビート、目映くきらめく高音アルペジオのタペストリー、決然としたメロディを歌い上げるカナタの穏やかで晴れやかな歌声……自分たちの現在地を自ら照らし出すようなアンサンブルが、ひときわ清冽に、力強く響いていた。1stアルバム『Quartette Parade』からの“その時のこと”でライヴ終了……と思いきや、鳴り止まない手拍子に応えて三たび4人がオン・ステージ、最後にもう1曲新曲を披露。一切の虚飾を排した音像とともに「その先」の旅路への決意を歌ったその楽曲が、オーディエンス一丸のクラップを巻き起こし、熱演の終わりを美しく彩っていった。

ヤマモトは「今日、キャメラが入ってるということは……いずれ作品になるということなので」と告知していたし、来春には恒例の自主企画2マン・イベント『Thanks Giving』を東京&大阪で開催することも発表していたレゴ。「振替公演あるけど、とりあえずひと区切りで落ち着くなあと思ったら……手帳見たら、今月残り10本ライヴありました(笑)」とタナカも話していたが、そんなLEGO BIG MORLの前のめりなヴァイタリティが、さらなる「その先」の世界を見せてくれるに違いない――と思わせてくれるのに十分すぎる輝きが、この日のステージには確かにあった。LEGO BIG MORLは『COUNTDOWN JAPAN 14/15』には2日目・12月29日に出演!(高橋智樹)

■セットリスト

01.Pause (intro)
02.RAINBOW
03.Wait?
04.Hybrid
05.worlds end traffic
06.ドリルドリル
07.knock to me
08.LION
09.Ray
10.fin.
11.バランス
12.絶望は希望よりも美しい
13.スイッチ
14.夢中夢の羊
15.Rise and Set
16.Spark in the end
17.LAIKA
18.a day in the live

(encore1)
19.テキーラグッバイ
20.溢れる
21.新曲1
22.その時のこと

(encore2)
23.新曲2
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