all pics by 石井亜希全編がハイライト、それも、ステージ上だけでなく会場全体が片時も収まることのない熱狂を描き出してしまう、凄まじいライヴだった。9/10にEP『TIMELESS ROOKIE』でメジャー・デビューを果たし、11月から仙台、広島、高松、福岡、名古屋、大阪、そして東京とスケジュールされたワンマン・ツアー「TOUR2014 ROOKIE’S HIGH」を全公演即日ソールド・アウトさせたBLUE ENCOUNTの、そのファイナルとなる東京・TSUTAYA O-EASTである(2015年1月28日・シングル『もっと光を』リリース日には、LIQUIDROOM ebisuで追加公演も行われる予定)。客電が落ちた瞬間、みっちみちに埋まったフロアからは肌を震わせるような大歓声が上がり、いよいよパフォーマンスが始まる。
田邊駿一(Vo・G)は、今か今かと弾けそうな空気を撹拌するようにじっくりギターを爪弾き、「渋谷、はじめるよー!!」と第一声を投げ掛ける。その次の刹那、閃光のようなギター・フレーズが駆け抜け、“マキャベリズム”が瞬く間にフロアを揉みくちゃにしてしまった。クリスピー、というよりも小爆発を繰り返すような田邊の節回しは、叫ぶような歌声に高まるほど男臭さを増す。早々の“HALO”では紅のライティングに染まりながらゴリゴリと爆走し、クリアで美しいアンサンブルと轟音との間を行き来しながら、辻村勇太(B)と江口雄也(G)はステージの縁に身を乗り出し、両翼からうねるフロアを更に煽り立てていた。江口の、神経に直接刺激的な信号を送り込むようなギター・フレーズから切り出されたのは“T.K”。英語・日本語お構いなしに歌詞をオーディエンスの胸元ど真ん中へと投げ込む田邊は、バンド史上最大規模のワンマン・ツアーについて、声を昂らせながら語る。
「いいツアーだった! 熱いヤツらばっかだし! 俺、MC長くなるし! でも、その全部のパワーが合わさるとするじゃないですか。今日はそれを越えるつもりで楽しみたいんでヨロシクー!!」と、そこから4ピースのハードコア性を剥き出しにする“DESTINATION”に繋ぎ、更にはシンガロングにまみれて感謝の思いをまっすぐフロアと伝え合う“THANKS”、はたまたレゲエのイントロから快速メロディック・パンクに飛び込む“NOBODY”と、ハイブリッドで高性能な表現スタイルを解き放ってゆく。いや、確かに高性能なデザインのサウンドではあるのだけれど、重要なのはそれを追い越す勢いで伝えられるブルエンのひたむきさ、心意気だ。高村佳秀(Dr)のカウントから衝動の激流を生み出す“声”は、歌のメッセージ性もさることながら、4人の雄弁なフレーズがそれぞれ「俺にも言わせろ」とばかりに主張しつつデッド・ヒートを繰り広げてしまう。
2階席からは父親も見守っているというステージで、田邊は「せっかく同じアーティストを観に来てるんだから……アーティスト(笑)」と自分で言っておいて照れたりしつつ、最後まで誰一人として欠けて欲しくない、という思いで「自由にやっていいときほど、あんたの愛が試されるときだと思う」と狂騒のフロアに呼び掛けていた。彼がオーディエンス一人一人に「あんた」と二人称単数で語りかける姿勢は、とても印象深い。そして、フロアに無数の掌が翳されると「絶対、その手を守り続けるから!」と“HANDS”に向かう。ここでもがっつりとオーディエンスに歌メロを委ね、バンド・ロゴの脇に「THIS PLACE IS YOURS!」の文字が記されたバックドロップを背に「ここがあんたの居場所ですよ」と切り出されるのは“PLACE”。ときにラウドで、ときに静謐な楽器のトーン。そしてときに雄々しく、ときに嗚咽混じりに昂った声のトーン。それらをフル稼働させ、ブルエンは率直に、強烈な説得力の表現を生み出してしまう。江口と高村による夢見心地なインタールードに導かれた“YOU”は、光の帯が降り注ぐような照明効果の中、田邊が彼自身の呼吸で、一言一句を噛み締めるように披露される名演になった。


あらためてメジャー・デビューに触れ、「嫌なこともいろいろあったけど、あんたのおかげで全部忘れられました」と語る田邊。そのメジャー・デビュー前夜、9月9日にO-Crestで行われた自主イベント「BLUE ENCOUNT presents LIVER’S HIGH vol.1」では、「ツジムラー!」と呼ぶ声に「バカヤロー」とやり返したりしつつ良い雰囲気で終演を迎えたものの、「ツジムラー!」の声の主が所属事務所の社長だったこと。またメジャー・デビュー当日、田邊に遠い親戚から電話があり、「じゃあ、今週末の横浜スタジアム2デイズがんばってね」「そりゃONE OK ROCKだよ!!」とやりあう(田邊はワンオクのTakaに似ていると言われることがあるらしい)といった爆笑エピソードも振り撒きつつ、「あんたのこと決めつける人もいるだろうし、いいこと嫌なこといろいろあるだろうけど、今日はそれを全部越えたいです!」と“JUST AWAKE”で再燃する。ところが、続く“D.N.K”の途中に、「今日からTanaにしようかな。お母さんから、似てないってお墨付きを貰いました。今日、おれ、それを断ち切るわ!」と告げるや否や、“完全感覚Dreamer”のカヴァー弾き語り(本気)でシンガロングを巻き起こしてしまう。
前線3人の背面ギター/ベース・プレイで歓声を誘う“ONE”を披露した後、本編終盤には辻村の力強いスラップ・ショットと江口の鮮烈なタッピングが衝突する“ロストジンクス”、盛大なシンガロングから始まる“NEVER ENDING STORY”、そして困難と苦痛を燃やし尽くすアンセム“MEMENTO”と『TIMELESS ROOKIE』収録曲群を繋いでゆく。そして田邊は、4年前に初めてイベント出演でO-EASTに立ったとき、お客さんは50人ほどで、終演後にイベントの主催者から「お前ら、変な曲やるなあ。お前らじゃ一生、O-EAST(ワンマン)無理だよ」と告げられたというエピソードを語った。「冗談半分だったのかも知れないけど、本っ当に悔しくて。今でも夢に出てきます。まあ、その次の日はいいライヴやるんだけど」「今日、(O-EASTが)小せえなと思った。いや、あんたがいてくれるからだよ。もっといい景色を見たいと思った」と続け、2015年6月12日にはZepp DiverCityでワンマン公演を行う(5月から名古屋・福岡・大阪・東京と巡るワンマン・ツアー「TOUR 2015 GRAB THE NIGHT」の一環)も発表して大喝采を浴びる。「死ぬ気でいい曲書くよ。来なかった奴、後悔させるよ。安心してついてきて。安心して、一緒に戦ってください、よろしくお願いします! 俺らとあんたらの歌です」と、本編最後を飾るのはニュー・シングル表題曲“もっと光を”。昂り、声を詰まらせながらもまっすぐに届く田邊のMCと同様、この歌もやはり、まっすぐ胸を射抜く力に満ち満ちていた。
アンコールに応えると、高村がハイ・ヴォルテージでグッズ紹介する一幕からそのまま、ドラム・セットに収まった田邊が刻むビートに乗せてフリースタイルの「タカムラップ」が盛り込まれるというサービス精神旺盛なステージだ。「今日一日分の力、もう一回出せるよな!」と2曲を披露して、笑顔と汗まみれのライヴは幕を閉じた。2015年の更なる飛躍を予感させて止まないブルエンだったが、彼らはこの12/30、COUNTDOWN JAPAN 14/15(ASTRO ARENA・13:05〜)にも出演を予定している。今の彼らの勢いと率直な思いを、ぜひ体感して欲しい。(小池宏和)
■セットリスト
01.マキャベリズム
02.HALO
03.T.K
04.DESTINATION
05.THANKS
06.NOBODY
07.声
08.HANDS
09.AWESOME
10.PLACE
11.YOU
12.JUST AWAKE
13.D.N.K
14.ONE
15.ロストジンクス
16.NEVER ENDING STORY
17.MEMENTO
18.もっと光を
(encore)
19.アンバランス
20.VOICE