ATLANTIS AIRPORT@新代田FEVER

ATLANTIS AIRPORT@新代田FEVER
「RO69JACK 2014」の優勝アーティストであり、〈空港系マス・ポップバンド〉としてその斬新な音楽性が注目を集めている4人組、ATLANTIS AIRPORT。初の全国流通盤『a [ 360° ] Cosmic Flight』を引っさげたツアーのファイナルが新代田FEVERで行なわれた。対バンには、CICADA、uchuu,、fox capture planの3組を迎えたこの日のライヴ。まさに次世代ロックシーンの新たな潮流を予感させる濃密な共演が繰り広げられた。

冷たい雨の降る新代田FEVER。トップバッターは紅一点の女性ボーカルを擁する4人組バンド、CICADA(シケイダ)から。生音でループする演奏に透明感のある歌をのせたミニマルポップが、ゆるめのBPMでフロアを躍らせる。そのテンションを一気に爆発させたのがuchuu,だ。ダンスミュージックを肉体的なロックで体現する彼らの熱いパフォーマンスに大きなざわめきが起こった。そしてfox capture planによるノンストップのジャズロックが躍動感いっぱいに駆け抜けると、21時過ぎ、いよいよATLANTIS AIRPORTの出番だ。

ATLANTIS AIRPORT@新代田FEVER
「新代田発、宇宙行き。離陸いたします」と、sonezaki(Vo)がまるで飛行機の機内放送のようにテイクオフを告げた。オープニングは『a [ 360° ] Cosmic Flight』の1曲目でもある“光と影の間”。y0den(Key)のスピーディなピアノがステージから溢れ出し、BONO(B)のベースが低くうねりを上げると、テンポが速くなっては、遅くなる。そのオリジナルなアトランティスの予測不能な展開にはただ翻弄されるのみだ。

ATLANTIS AIRPORT@新代田FEVER
この日のステージはアトランティスの3人にサポートドラム、さらにスペシャルクルーとしてMarmalade butcherのJ氏(G)を加えて繰り広げられた。「本日はお祝い便ですので、機内サービスを充実しておもてなしさせていただきます」と切り出したsonezaki。フランスの映画『ベティ・ブルー』をモチーフにしたという“映画の中の出来事”では、冷たく、熱く、様々に変化する映画の世界へと誘っていく。sonezakiが「トルネードがやってきます。大きな揺れをお楽しみください」と、繰り出した“Over The Rainbow”では、膨大な情報量を持つ音と、言葉とが、一気に脳内に流れ込んでくる。しかし、その緻密な音の渦に呑まれながらも、大きく左右に腕を振って応えるフロアの盛り上がり。それはATLANTIS AIRPORTの音楽が実験的でありながら、決してひとりよがりではないことを物語っていた。

ATLANTIS AIRPORT@新代田FEVER
ライヴも残すところあと2曲となり、新たにROLLICKSOME SCHEMEのシオンオガミ(G)が参戦。より厚みの増した6人編成の“AnTi pOp ARt”では、さらに混沌のムードが加速していく。「みなさんの明日からが良いフライトになりますように」とsonezakiが静かに語りかけたラストナンバーは“アメノヒ”だった。メンバーが大きく身体を揺らしながらエモーショナルな演奏を聴かせると、会場は言いようのない多幸感に包まれた。

ATLANTIS AIRPORT@新代田FEVER
アンコールで再びステージに登場したメンバー。「人との繋がりでここまで来ることができた。本当に、本当に、全部の人に、ありがとうございます! 幸せです。後で泣きます……そんなキャラじゃないけど(笑)」とBONOが感慨深けに語ると、どこか涼やかな風を届ける夏のうた“なつめいろ”でツアーファイナルを締めくくった。実はバンドにとっては冒険的なハコでもあったという今回の新代田FEVER。蓋を開けてみれば大盛況だった。ATLANTIS AIRPORTはまだまだ上へゆく。今月から、いよいよカナダ遠征へ出発する彼らは、7月20日に凱旋ライヴで再びFEVERに帰ってくる。(秦理絵)

●セットリスト

1. 光と影の間
2. ナイト・オン・ザ・プラネット
3. 映画の中の出来事
4. Over The Rainbow
5. AnTi pOp Art
6. アメノヒ
(Encore)
7. なつめいろ
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