開演時刻の19時、ふらりとステージに現れたのは、ゲストの小河原良太(JIGHEAD / ex. THE POGO)。中央の椅子に腰掛けると、トレードマークの赤いテレキャスターを掻き鳴らして“DEAD FISH BLUES”“セキセイインコ”などのJIGHEADのナンバーを届けていく。バンド編成でも十分に訴求力のある楽曲が、弾き語りで披露されることにより、グッと生々しさを湛えて胸に迫ってくる。中でも小河原のしゃがれ気味のボーカルは、ブルースの真髄を剥き出しで伝えているようだった。「BRAHMAN、20周年おめでとう。そういえば俺がやってるJIGHEADっていうバンドも今年で20周年なんだよ」と同じ時代を生き抜いた仲間だからこそのアプローチでBRAHMANの20周年を祝いつつ、熱のこもった演奏で超満員のオーディエンスを惹きつけたアクトだった。
その後も楽曲を重ねるごとに場内はヒートアップ。イントロが鳴るたびに驚きの声が上がるフロアでは、興奮を抑えられないといった様子のオーディエンスによるモッシュとダイヴが激しさを増していく。それを牽引するバンドの演奏も、みるみる凄まじいものに。前のめりなビート、眩いギターフレーズ、パワフルな歌声を全力で叩きつける4人の姿は、まるで結成当初の、初期衝動にあふれたバンドの姿を体現しているようだ。……と思いきや、なんと中盤では普段めったに喋ることのないMAKOTOによるMCが! 「明後日は下北沢Club251で、その次の日は新宿ANTIKNOCKでライヴします」と今後の告知をした後にTOSHI-LOWが「20年前のMCの完コピでした」と付け加えると、フロアから大きな拍手が沸き起こったのだった。
この後、11日の下北沢club251/12日の新宿ANTIKNOCKで「尽未来際 ~開闢」を終えると、9月29日からは20周年記念ライヴ第2弾となる全国ツアー「尽未来際 ~畏友~」がスタート。初日からこれだけ衝撃的なライヴを展開した彼らのことだから、今後もたくさんのドラマを全国で刻んでくれることだろう。ちなみに、この日は20周年記念ライヴ最終章として11月14・15日に幕張メッセで開催される「尽未来際 ~尽未来祭~」の第1弾出演アーティストも発表。BRAHMANだからこそ集められたと思える豪華メンツに胸が躍るとともに、ここからさらに加速度を上げて疾走していくであろうBRAHMANから目が離せない。(齋藤美穂)