X JAPAN@横浜アリーナ

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「今まで何回コンサート、ライヴをやってきたか数えられないけれども……今日が一番熱いような気がするな。湧き上がるエネルギーを感じるぜ! なかなかやるじゃねえか!!」。アンコールで飛び出したToshi(Vo)のそんな言葉が、この日の熱狂空間の凄味を最も明快に象徴していた。2007年の活動再開後では初、「DAHLIA TOUR 1995-1996」以来約20年ぶりとなるX JAPANの全国ツアー「X JAPAN JAPAN TOUR」の4本目にして、横浜アリーナ4DAYSの3日目。音楽史に深々と爪痕を残してきた唯一無二のロックバンドとしてのスケール感と、YOSHIKI&Toshiのパーソナルな想いが、壮大な景色の中で渦巻く、感動的な一夜だった。

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開演前から「We are X!!」のコール&レスポンスが巻き起こり、ペンライトの「X」サインや巨大ウェーブが客席を埋め尽くしたところへ“Miracle”のSEが流れ、海外公演の模様を映し出すヴィジョンをバックにYOSHIKI(Dr・Piano)がドラムスローンに立ち上がった瞬間、会場は割れんばかりの大歓声に包まれる。そして、Toshi/PATA(G)/HEATH(B)/SUGIZO(G・Violin)とともに繰り広げる“JADE”のヘヴィなサウンドスケープと、舞台狭しと湧き上がる火の玉やCO2スモークが渾然一体となって、広大な空間を一気に狂騒の絶頂へと導いていく。

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さらにそのまま“WEEK END”のアグレッシヴな疾走感で横アリを激しく揺らし、「今日はお前たちの、すんげえ気迫を感じるぜ! なかなかいいぞ横浜!!」とToshiが呼びかけた後で聞かせたのは、来年3月発売予定のニューアルバムから響かせた新曲“Beneath The Skin”。Toshiが歌い上げる壮麗なメロディと、ヘヴィ&インダストリアルな質感の「X JAPAN新次元」の音像が、オーディエンスの情熱を刻一刻と高ぶらせていく。そんな熾烈な演奏とは一転、「YOSHIKIの声が聞きたいの?」とマイクを手にYOSHIKIのもとへ近づくToshiや、「あ、Toshiの靴光ってる。俺も今度、光るギブス欲しいんだけど(笑)」というYOSHIKIの佇まいからは、メンバー自身もこの瞬間を全身で謳歌していることが窺える。

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そこからもう1曲、新作アルバムから披露した“Kiss The Sky”では、なんと観客の歌声のライヴレコーディングを敢行。YOSHIKIのピアノに合わせて鳴り渡る高らかな大合唱を受けて「上手いね、みんな!」と満足げなYOSHIKI。「いいなあ、みんな。僕なんか一回も言われたことないんだけど(笑)」とToshi。そんな微笑ましい場面の次の瞬間、Toshiは「腹から声出せよ!!」と硬派なロックヴォーカリストの表情に戻ってみせる。その音楽性に直結する獰猛なまでの衝動と、そこに表裏一体で存在するナイーヴな虚飾なき感情――そのスリリングなまでのコントラストが、この日のライヴでは随所に垣間見えた。

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PATA/HEATH/SUGIZOのソロパートを挟みつつ“HERO”“DRAIN”を轟かせたところで、Toshiのアコギ弾き語りスタイルで“Tears”。思わず感極まって声を詰まらせながらもToshiは、ラストには圧巻のロングトーンでアリーナの空気を震わせてみせた。ピアノソロから流れ込んだYOSHIKIのドラムソロではドラムセットが高々と持ち上げられ、ドラマチックな爆裂ドラミングを見せつけた後でドラムスローンに立ち上がる姿に、熱い拍手喝采が広がっていく……途方もない存在感に満ちたメンバー個人の表現のポテンシャルが、“Forever Love”の麗しのアンサンブルや“紅”のカオティックな躍動感に惜しげもなく注ぎ込まれ、怒濤の熱量を生み出していく。

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「昔、東京ドームのカウントダウンで……何だっけ? 騙したんだっけ?」(YOSHIKI) 「騙したんじゃなくて、YOSHIKIが『俺が時間だ』とか『俺が時計だ』とか言って、12時になる前に『おめでとう!』って言っちゃったんだよね」(Toshi)とふたりで昔を振り返りながら、「そういえば、今年は『紅白』に出るらしいですねYOSHIKIさん」(Toshi) 「楽しみだね。『ぶちかます』って言っちゃったけど、何しよう?(笑)」(YOSHIKI)と和気藹々と語るYOSHIKI&Toshi。「やべえ、ちょっと疲れてる」(YOSHIKI) 「水かけてあげようか?」(Toshi) 「まだ早いって(笑)……いや、今やっちゃおうか!」(YOSHIKI)とドリンクの水をばしゃばしゃと全身に浴びたYOSHIKIの「気合い入れていくぞ!!」の絶叫から、11月にリリースされたばかりの最新デジタルシングル曲“BORN TO BE FREE”を火の玉の特効とともにひときわダイナミックに炸裂させ、本編ラストの“X”で巻き起こった満場のXジャンプを、「飛べ飛べ飛べ飛べ!! 屋根をぶち破っちまえ!!」というHIDEの煽りを叫び上げるYOSHIKIの気迫がさらに煽り立てていった。

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暗転した場内に、2016年公開予定のX JAPANドキュメンタリー映画のトレーラー映像が流れた後、“WORLD ANTHEM”のSEとともに再びメンバーが舞台に登場、“Rusty Nail”の性急な加速感がオーディエンスの高揚感をなおも激しく沸き立たせていく。そして、「Toshiと僕は、4歳の時に出会ったの。ほんと、近所にたまたまいたんだよね。で、ふたりでバンドを組み始めて……最初は俺がヴォーカルだったんだよね」とバンドの足跡をToshiとふたりで回想するYOSHIKI。天体望遠鏡をマイクスタンド代わりにして歌っていた少年時代のこと。上京してPATA/HIDE/TAIJIと出会ったこと。今回のツアー初日に行った石巻BLUE RESISTANCEのような遠方のライヴハウスまで、壊れた機材車で(公園に泊まったりしながら)日本中を駆け巡ったこと。「その時の思い出っていうのは、本当に……かけがえのない思い出で」と語るYOSHIKIの目に涙が浮かぶ。「その後、HIDEが旅立ち、TAIJIまで旅立ちました。でも、HEATHもいるし、SUGIZOもいるし、7人のXで頑張っていこうと思っています」……そんなYOSHIKIの真っ直ぐな言葉に、熱い拍手と歓声が湧き起こっていく。

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「感謝の気持ちをこめて、この曲をみんなに捧げたいと思います」(YOSHIKI)と奏でられた“ENDLESS RAIN”の旋律が麗しく響き、SUGIZOのヴァイオリンソロに続けて披露されたこの日のラストナンバー“ART OF LIFE”が、美と衝撃の爆風のようなアクトの終わりを鮮やかに彩っていた。すべての音が止み、終演後SEの“Tears”が流れる中、鳴り止まない大歓声に応えて、去り難そうにメンバーが場内の花道を行き来した後、「We are!!」「X!!」と最後に力強いコール&レスポンスを呼び起こしたYOSHIKIの「愛してるぜ!!」の絶叫が、濃密な余韻とともに熱く深く胸に残った。破滅的なロックの美しさを追い求め進化し続ける稀代のバンドが、毎回異なるセットリストで、文字通り1本1本完全燃焼で描き上げる凄絶なステージ。ツアーは横アリ4DAYSを経て、12月14・15日の日本ガイシホール公演まで続く!(高橋智樹)

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●セットリスト

[Opening SE:Miracle]
01.JADE
02.WEEK END
03.Beneath The Skin
04.Kiss The Sky
05.HERO
 〜guitar + bass solo
06.DRAIN
 〜violin solo
07.Tears
 〜piano solo
 〜drum solo
08.Forever Love
09.紅
10.BORN TO BE FREE
11.X
(Encore)
 〜『X JAPAN Film』トレーラー映像
[Opening SE:WORLD ANTHEM]
En1.Rusty Nail
En2.ENDLESS RAIN
 〜violin solo
En3.ART OF LIFE
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