モノブライト@渋谷CLUB QUATTRO

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「あけましておめでとうございます! モノブライトです! 非常に久しぶりですね!」。渋谷CLUB QUATTROのフロアに呼びかける桃野陽介(Vo・G)は、桃野いわく「40年前の親父の髪型とまったく一緒」な七三ヘアーに長袖シャツ、というスタイル。その両サイドに陣取った松下省伍(G)と出口博之(B)も、昨年6月の「MONOBRIGHT TOUR 2015『旅立ちと瀧谷』」時の全員白ポロ姿とはまったく異なる出で立ちである。

モノブライト@渋谷CLUB QUATTRO
その「旅立ちと瀧谷」のステージを最後にドラマー=瀧谷翼が脱退、その後は各メンバーのソロ活動に専念していたモノブライト。「COUNTDOWN JAPAN 15/16」での復活ライヴに続き、昨年10月の活動再開後では初のワンマンライヴとして大阪&東京で開催されたのが、今回の「モノブライト LIVE 2016 bright eyes」。1月11日:大阪・梅田CLUB QUATTRO公演に続いて開催されたこの日のアクトは、その楽曲に満載されたポップなねじれを、衝動や蒼さではなく「大人のバンド」としての訴求力をもってタフに響かせる、まったく新しいモノブライト像を提示するものだった。

モノブライト@渋谷CLUB QUATTRO
サポートメンバー=KENSUKE.A(Dr/SISTER JET)&村上奈津子(Key/WONDERVER)を擁した5人編成で舞台に登場した桃野/松下/出口、いきなりピアノポップスとジャズとパンクが入り乱れたような新曲“HELLO”を気迫十分に響かせたところから、「久しぶり、クアトロ! 最後まで楽しんでいってくれよ!」という桃野のコールから“デイドリームネイション”へと雪崩れ込んで、会場の空気をパワフルに震わせていく。

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「まあね、編成やら何やら、気になるところはいろいろあると思うんですけど、それは後々話します!(笑)」というMCでフロアの空気をほぐした後、12月に配信リリースされた新曲“冬、今日、タワー”を「初めての冬の歌。モノブライトは北海道出身なのに冬の歌がなかったんですよ」と紹介しながら、 “旅立ちと少年2”“夏メロマンティック”“雨にうたえば”から“冬、今日、タワー”へと4つの楽曲で四季の移ろいを体現する「春夏秋冬コーナー」へ。“夏メロマンティック”で巻き起こった熱いシンガロングを経て、“冬、今日、タワー”で響かせたWギターの音のタペストリーが、ひときわ美しく広がった。

モノブライト@渋谷CLUB QUATTRO
揃いの白ポロといったかつての「戦闘服」も、ブレーキの壊れたハイテンションな無軌道MCもなかったが、この日のモノブライトは全員30代なりのリアルな世代感で鳴らすロックとして、己の楽曲世界を改めて再構築してみせていた。「上京してすぐに作った曲なんです。ずっとデモで作ってはアレンジがしっくりこなくて、年1で試行錯誤していた」と話していた新曲“こころ”のタフなポップ感や“スロウダイヴ”“孤独の太陽”でのスケール感あふれるオルタナロックぶりには、思わず驚きと感激を禁じ得なかった。

モノブライト@渋谷CLUB QUATTRO
モノブライト@渋谷CLUB QUATTRO
本編後半ではカルメラのホーンセクション=小林洋介(Trumpet)/辻本美博(Sax)/たなせゆうや(Trombone)を招いた8人編成へ。それまでのオルタナサウンドから一転、“頭の中のSOS”や“踊る脳”“JOYJOYエクスペリエンス”といったモノブライト・アンセムが晴れやかなブラスロックとして炸裂! フロア激震の熱狂空間を描き出してみせる。終盤で披露したミドルナンバー“MOTHER”も含め、計5曲の新曲を盛り込んだセットリストでこの日の舞台に臨んだモノブライト。「新年から、こういう最高の時間をいただいてます!」という桃野の言葉にも、この復活公演への充実感があふれている。

モノブライト@渋谷CLUB QUATTRO
「モノブライトの活動自体、実にヘンテコというか、普通と違うんですよ。音楽のジャンルもそうだし、やることもめちゃくちゃだし。ポロシャツも着たり脱いだり、ヒダカトオルが入ったり抜けたり……」という桃野のMCに、満場のオーディエンスがどっと沸く。「モノブライトって毎回毎回、今までやったことないことをやろうやろうって、いろんな挑戦を……今年で実は結成10年目なんで。本当に、ついてきてくれてありがとう!」「これからも、おとなしく『モノブライトの路線はこれです』っていうことはやりません! ずっと新しいことをやっていこうと思ってますんで」と続ける桃野の言葉に、拍手喝采が湧き起こる。

モノブライト@渋谷CLUB QUATTRO
再び5人編成で本編ラストに響かせたのは新曲“ビューティフルモーニング(Wake Up!)”。ウィーザーあたりを彷彿とさせるオルタナ/パワーポップな骨太ロックアンサンブルが、モノブライトの「その先」を力強く指し示していた。アンコールではその“ビューティフルモーニング(Wake Up!)”を2月12日に配信リリースすること、さらに6月には札幌/大阪/東京を巡るワンマンツアーを開催することを発表しつつ、5人編成の“あの透明感と少年”→8人フルセットでの“アナタMAGIC”で爆裂大団円! ラストのキメでのクアトロ一丸大ジャンプも、8人手を取り合ってのカーテンコールも、すべてが爽快な高揚感に満ちた名場面として胸に残った。

モノブライト@渋谷CLUB QUATTRO
「去年はライヴが5本だけだったんですよ。その間、新曲をしこたま作ってたんです、156万曲!(笑)。豊作の年! やったー!」と笑いを誘いつつも、モノブライトの「これから」への予感を滲ませていた桃野。「バンドっていう形を考えずに、音楽としてやりたいことをやっていく、っていう形になります。だから、今日は8人編成だけど、次は96人編成、最終的にはクアトロより多い人数がここ(舞台)にのってるっていう……いいでしょ? ちょっとイギー・ポップみたいな感じで(笑)」――そんな言葉で冗談めかして語る桃野の佇まいからも「新生モノブライト」への確信が伝わってくる、胸躍る一夜だった。(高橋智樹)

●セットリスト

01.HELLO (新曲)
02.デイドリームネイション
03.旅立ちと少年2
04.夏メロマンティック
05.雨にうたえば
06.冬、今日、タワー (新曲)
07.こころ (新曲)
08.スロウダイヴ
09.孤独の太陽
10.FUNKTOPIA
11.頭の中のSOS
12.MOTHER (新曲)
13.踊る脳
14.JOYJOYエクスペリエンス
15.ビューティフルモーニング(Wake Up!) (新曲)
(encore)
16.あの透明感と少年
17.アナタMAGIC
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