片平里菜@Zepp DiverCity

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セカンドアルバム『最高の仕打ち』をリリースし、その直後から全国10公演を巡った、片平里菜「3rdワンマンツアー2016 ”そんなふうに愛することができる?”」のファイナル。舞台は、キャリア最大キャパのZepp DiverCityである。会場前の影アナでは、「……申し遅れましたが私、片平里菜の父でございます」という挨拶にどよめきが走る。続いては、彼女のお母さんが公演中の注意事項についてアナウンス。地元・福島から車を飛ばして駆けつけたそうだ。

片平里菜@Zepp DiverCity
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今回は、『amazing sky』のツアー同様の凄腕ミュージシャンが揃ったバンドセットである。メンバーは、佐々木“コジロー”貴之(G)、伊藤大地(Dr)、田村玄一(G/ペダルスティール/スティールパン/ティプル)、そしてバンマス=tatsu(B)という顔ぶれだ。オープニングを飾る昨年のシングル曲“誰にだってシンデレラストーリー”は、思いをロックサウンドが後押しし、スティールパンの柔らかく美しい音色も寄り添う。ニューアルバム曲の“大人になれなくて”は、寂しさや不安を乗せた率直な歌詞を、明瞭に伝えるソングライティングが素晴らしい。

片平里菜@Zepp DiverCity
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“女の子は泣かない”でオーディエンスの歌声を誘うと、あらためて挨拶をしつつ、両親の影アナ登場について「聞いてないんだけど!」と照れくさそうな素振りを見せている。“あの頃、わたしたちは”は、ノスタルジーを喚起するペダルスティールや、アップライトベースが用いられた演奏だ。片平里菜がゆったりとアコギをストロークさせて志の強さを滲ませる“舟漕ぐ人”の後には、情景や女の子心をつぶさに描き出してゆく名曲“煙たい”へ。この曲がリリースされたときも、彼女のソングライターとしての底知れなさに驚かされたものだ。

片平里菜@Zepp DiverCity
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「早くもなんかね、あちこちツアーで行ってると、おうち帰りたい、って思うときもあって。東京に馴染みつつあります。温かく迎えてください」と語って、豊かなカントリーテイストで“Come Back Home”を披露してゆく。「きのう、原宿行ったんだけど……え、行かなそう? なんかパレードやってたよね。アイルランドの人が」といったふうに、いつでも飾り気がない片平里菜の語り口は、だからこそ特別な親しみやすさに満ちている。バンドと共にツアーの思い出話に花を咲かせ、「普段はソロでやってるので、みんなでいると笑ってることが多かったです」と語るのだった。

片平里菜@Zepp DiverCity
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今年1月にリリースされた“この涙を知らない”は、恋人との思いのすれ違いを描き、メロディが強烈な切なさや健気さまでを伝える。手首に付けた「東北ライブハウス大作戦」ラバーバンドを指し示すと、故郷・福島でPAチーム・SPCやBRAHMANのTOSHI-LOW、the HIATUS/MONOEYESの細美武士らと出会ったことを語り、「そういう、見た目はちょっと怖そうな、世間から煙たがれるようなお兄さんたちについていきたいと思って、この曲を作りました」と、未音源化の一曲“ロックバンドがやってきた”を披露する。タイトルそのままの体験が綴られたロックソングだが、めちゃめちゃ感動してしまった。ぜひ音源化して欲しいナンバーだ。

片平里菜@Zepp DiverCity
片平里菜@Zepp DiverCity
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そして、受け継いだスピリットをハンドマイクでぶち撒けるかのような“BAD GIRL”や、恋の反骨精神を燃やす“Party”は、ヴォーカルに専念した片平里菜の凄さを知らしめる一幕であった。再びアコギを携え、「親の愛を受けて育って、親の愛から育っていく歌」と紹介されたツアータイトル曲“そんなふうに愛することができる?”は、彼女が「愛とは何なのか」を会場のひとりひとりに問いかけるように届けられる。バンドメンバーを見送った後、本編の最後には「自分らしく生きようとすると、むかつくこともあるし、悔しいこともあるけれど、そういう人は美しいです。自分にとって最高の仕打ちが出来るように、歌い続けていきたいと思います」と告げ、“最高の仕打ち”を凛とした歌声で弾き語りするのだった。

片平里菜@Zepp DiverCity
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様々な片平里菜コールが上がっていたフロアへ再登場すると、「いろいろ試してくれてありがとう(笑)。付き合いはじめのカップルみたいな、まだ呼び方が定まらないみたいで、すごくキュンとしました」と笑わせ、新作の冒頭でグッとリスナーを引き込んでいた“この空を上手に飛ぶには”や、“誰もが”を歌う。新たに決定した弾き語りツアー(ニュース記事はこちら→http://ro69.jp/news/detail/140702)や、4月27日リリースのニューシングル『結露』、さらには楽曲を題材にした映画『最高の仕打ち』主演について告知すると、再会に思いを馳せるラブソング“Love takes time”でオーディエンスの歌声が広がるのだった。これで、新作曲は全曲を披露。とても濃密で、一曲一曲が充実したステージであった。(小池宏和)

片平里菜@Zepp DiverCity
●セットリスト

01. 誰にだってシンデレラストーリー
02. Oh JANE
03. 大人になれなくて
04. スターター
05. 女の子は泣かない
06. あの頃、わたしたちは
07. 舟漕ぐ人
08. 煙たい
09. CROSS ROAD
10. Come Back Home
11. この涙を知らない
12. ロックバンドがやってきた
13. BAD GIRL
14. Party
15. そんなふうに愛することができる?
16. 最高の仕打ち
(encore)
17. この空を上手に飛ぶには
18. 誰もが
19. Love takes time
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