BUMP OF CHICKEN@京セラドーム大阪

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「20周年を迎えて、最初のツアーなわけですけども。ここ大阪で初日を迎えることができて、みんなの前でこうやって素敵なライヴができて、本当によかったです!」。万感の想いとともに呼びかける藤原基央(Vo・G)の言葉に、客席を埋め尽くした3万6千人のオーディエンスから熱い拍手喝采が巻き起こっていく――。今年2月11日に結成20周年を迎えたBUMP OF CHICKENにとって初のスタジアムツアー=「BUMP OF CHICKEN STADIUM TOUR 2016 "BFLY"」の幕開けを飾る、京セラドーム大阪2DAYS公演の1日目。これまでにもQVCマリンフィールド(2013年)、東京ドーム(2014年)とスタジアム会場でのライヴを行っているBUMP OF CHICKENだが、その歌とサウンドが持つ壮大なスケール感を、いとも自然に伸びやかに鳴らしてみせた、至上のステージだった。
BUMP OF CHICKEN@京セラドーム大阪
BUMPの全国ツアーとしては、前作アルバム『RAY』を携えて行った「WILLPOLIS 2014」(前述の東京ドーム公演がツアーファイナル)以来約2年ぶりとなる「STADIUM TOUR 2016 "BFLY"」。ツアーは7月の日産スタジアム公演まで続くため、ここではセットリストの掲載や演出の詳細についての記述は控えるが、ソールドアウト満場の中で開催されたこの日のライヴの大きなポイントはふたつ。通算8作目となる最新アルバム『Butterflies』の大半の楽曲が盛り込まれ、ハイパーなポップの覚醒感とアグレッシヴなロックモードの両面が鮮烈に弾けまくっていたアクトだったこと。そして、“Butterfly”のミュージックビデオも手掛けた東市篤憲がクリエイティヴディレクターを担当する今回のツアーでは、巨大なステージを彩るLEDスクリーンやレーザー光線を駆使して、『Butterflies』の世界観によりいっそう複層的な輝度と色彩感を与えていたことだ。
BUMP OF CHICKEN@京セラドーム大阪
アコースティックギターのストロークとEDM系のシンセのシーケンスが絡み合う“Butterfly”のハイブリッドな音像に、紛れもない「BUMPの歌」としてのヴァイブをみなぎらせていく藤原の歌の生命力。緻密なメロディと切実な詞世界が、増川弘明(G)/直井由文(B)/升秀夫(Dr)のアンサンブルとともにダイナミックな爆発力と躍動感を描き出していく“パレード”のスリル。今を生きる決意とBUMPの「その先」への闘志を凛としたロックマーチへと編み上げたような“GO”をはじめ、幾度となく会場一丸のシンガロングを呼び起こしてみせた旋律の高揚感……それらが渾然一体となって、格段に雄大な開放感に満ちた音楽空間を生み出していく。
BUMP OF CHICKEN@京セラドーム大阪
3万6千人のオーディエンスと「エアーハグ」を交わし、「こんなカッコいいお客さんがいて、こんな素晴らしい会場があるんだから、どうせだったらさ、今までで一番の、最高のライヴにしようぜ!」と開演早々から熱く呼びかけていた直井。「久しぶりに大阪でライヴができて、楽しくやらしてもらってます!」と語りかけていた藤原。「リハが始まった時、最初は不安もあったんだけど、やってるうちに『早く、早くやりたいな』って思い始めて……そして、ようやく今日できました。本当にありがとう!」と飾らない想いを伝えていた増川。この大会場の感激を身体いっぱいに表してみせた升。そんな4人の意気揚々とした佇まいは、この日のライヴが決して一夜限りの奇跡でも特殊な武装の結果でもなく、今のBUMPの「自然体」であることを如実に物語っていた。20年間の道程を経て、彼らがとんでもない次元に到達したことを、この場所にいた誰もがリアルに感じたことと思う。

「今までで一番楽しかった!」(直井)、「みんなのおかげで、すごく楽しく、最高に幸せな時間を過ごすことができました!」(藤原)という言葉の通り、終始高純度の多幸感に包まれていたツアー初日のステージ。すべての音が止んだ後、「これからも僕たち、音楽を続けていくんで。君の人生のどこかで、ぜひ聴いてやってください。よろしくお願いします!」……スタジアムツアーという初のトライアルの舞台でさらなる決意を真っ直ぐ語る藤原の言葉と、この日の最高のアクトの余韻が、《とても素晴らしい日になるよ 怖がりながらも選んだ未来》という“GO”のフレーズと重なり合って胸を震わせる、稀代の熱演だった。ツアーは今回の4月9日・10日の京セラドーム大阪2DAYSの後、5月8日:ナゴヤドーム、5月22日:福岡・ヤフオク!ドームを経て、7月16日・17日の神奈川・日産スタジアム2DAYS公演まで続く。BUMPの進化の「その先」に広がる風景が、今から楽しみで仕方がない。(高橋智樹)
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