Mrs. GREEN APPLE×SAKANAMON@渋谷CLUB QUATTRO

圧倒的に陽性のポップミュージックで集まったお客さんの心のバリアをたちどころに解放してしまうライブだった。Mrs. GREEN APPLEが今月13日から東名阪クアトロで開催してきた対バンツアー「Mrs. TWOMAN TOUR ~初夏とリンゴとロックバンド~」。大阪にキュウソネコカミ、名古屋に04 Limited Sazabys迎えて、全公演ソールドアウトとなったツーマンの最終日を飾った渋谷CLUB QUATTROは、若井滉斗(G)が「俺と元貴(大森元貴 / Vo・G)が中学生のときから聴いていた」というSAKANAMONを招いて行なわれた。トップバッターとして登場したSAKANAMONは剥き出しの感情をぶつける熱いステージだった。1曲目の“マジックアワー”では「愛してるよミセス~!」と歌詞を変えて叫び声をあげた藤森元生(Vo・G)。“幼気な少女”や“君の○○を××したい”など、スリーピースとは思えない重厚で独創的なバンドサウンドでフロアをしっかりと温めていった。「(ミセスとは)バンドとして面識がほぼないんですけど、去年の12月にJAPAN'S NEXT TURBOで初めて見させていただいて。今日呼んでもらえたってことは本当に僕らのことを好きで呼んでもらえたんだと思います」。馴れ合いではなく、お互いへのリスペクトによって成立した対バンであることを伝えると、最新アルバム『HOT ATE』からのナンバー“UTAGE”、「つまんねえ!」のコール&レスポンスで湧いた“TSUMANNE”まで全11曲を披露。MCで森野光晴(B)が「SAKANAMONを初めて見る人?」と聞いたときには、かなり大勢の手が挙がっていたが、ライブが終わる頃には全員がSAKANAMONのファンみたいな素敵な空間ができ上がっていた。●SAKANAMON セットリスト
1.マジックアワー
2.アリカナシカ
3.幼気な少女
4.ミュージックプランクトン
5.君の○○を××したい
6.PLAYER PRAYER
7.ぱらぱらり
8.スティッキーフィンガー
9.アイデアル
10.UTAGE
11.TSUMANNE
「会いたかったー!」という大森元貴(Vo・G)の第一声からミセスのステージが始まると、1曲目“愛情と矛先”から信じられないくらいの大歓声がフロアを包み込んだ。「一緒に歌ってくれますか?」(大森)。サビで大合唱を巻き起こした“我逢人”では、若井、髙野清宗(B)、藤澤涼架(Key)の3人がビシッと息の合ったコミカルな動きで演奏をする姿もおもしろい。煌めくミラーボールのなかで軽やかなシンガロングを誘った“アンゼンパイ”ではキーボードを弾く藤澤の横に大森がぴったり寄り添い、“キコリ時計”では若井と大森がじゃれ合いながら歌っていた。そのやんちゃな立ち居振る舞いはエンターテイナーであれというバンドの意識も当然あるのだろうが、5人で音を鳴らし合うことがただ楽しくて仕方がないのだと、そんなバンドの無邪気な衝動が溢れまくっていた。「昨日リリースだったね。ほっこりする曲があります」という紹介で披露されたのは最新シングル『サママ・フェスティバル!』のカップリングとして収録の春らしいポップソング“ノニサクウタ”だった。キラキラとした陽気なサウンドにのせて《大丈夫 この唄はあなたを 救いにきたヒーローさ》と紡ぐ瑞々しいメロディ。それは胸に抱えた悲しみを消すための歌ではなく、それを抱えたまま一緒に伴走してくれるような優しい歌だ。続く“VIP”ではグサグサと突き刺さるシニカルな歌詞を捲し立てながら、大森はベース髙野のソロを煽ると「見せ場はここしかありません(笑)!」と笑わせてくれた。コール&レスポンスにシンガロング、ハンドクラップと、曲ごとにお客さんを巻き込んでいくテーマパークみたいな楽しいライブのなかで、圧巻だったのは昨年末に新曲として披露された“うブ”だった。髙野がシンセベースを弾き、山中綾華(Dr)が繰り出すバスドラのキックに身体が反応せずにはいられない。明滅する照明がトランス感を掻き立てる攻撃型ダンスナンバー。ステージを彩るピンク色の照明も怪しげだ。とかく底抜けに明るい音像が多くを占めるミセスにあって、ダークサイドとも呼べるスリリングな1曲は、まだ底知れぬバンドの未知なる可能性を暗示するようでもあった。“StaRt”まで終えたところで「最後の曲になりました。夏は好きですか!?」と大森が問いかけて披露されたのが、最新シングルの“サママ・フェスティバル!”だった。灼熱の太陽、抜けるような青空、うだるような夏の熱気をクアトロに再現するような最高のサマーチューン。そこに負の感情は一切ない。藤澤がショルキーを弾き、大森が「オイ!オイ!」とハンドマイクでフロアを煽れば、誰もが無心で踊り、声をあげた。この楽しさはやがて終わるもの。でもだからこそこの瞬間を全力で楽しもうという最高のフィナーレだった。アンコールでは、「また会えるようにこの曲を歌いたいと思います」(大森)と、キーボードの藤澤がフルートを奏でながら届けた、朗らかなポップソング“庶幾の唄”でライブを締めくくったミセス。すべての演奏を終えて、それぞれツアーの感想を語り合ったメンバーは去り際にずいぶん長いことお客さんの歓声に応えていたのも印象的だった。わたしたちは大人になるにつれて、純粋な心で喜びや楽しさを表現するのがどんどん苦手になっていく。Mrs. GREEN APPLEの音楽はそんなわたしたちの心の防御壁を取っ払って、「楽しいものは楽しい!」と子供のように言える心に取り戻してくれるものだと思う。ライブを終えたとき、近くにいたお客さんが「楽しくて泣きそう」と言っていた。その手を取って「うん、わかるよ」と一緒にライブの余韻を分かち合いたい気分だった。(秦理絵)●Mrs. GREEN APPLE セットリスト
1.ノニサクウタ
2. 我逢人
3. アンゼンパイ
4. キコリ時計
5.L.P
6. ノニサクウタ
7. VIP
8.Speaking
9. うブ
10. StaRt
11.サママ・フェスティバル!
Encore
En1. 庶幾の唄
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