Mr.Children/東京国際フォーラム ホール A

Mr.Children/東京国際フォーラム ホール A - All photo by Osami Yabuta(W)All photo by Osami Yabuta(W)
●セットリスト
1.お伽話
2.いつでも微笑みを
3.メインストリートに行こう
4.You make me happy
5.PIANO MAN
6.Another Story
7.クラスメイト
8.桜井和寿 弾き語り(水上バス〜ファイト![中島みゆきカバー]〜横断歩道を渡る人たち)
9.口笛
10.掌
11.マシンガンをぶっ放せ
12.fantasy
13.蒼
14.こころ
15.ヒカリノアトリエ
16.Any
17.跳べ
18.擬態
19.終わりなき旅

EN1.one two three
EN2.花の匂い
EN3.足音 〜Be Strong

Mr.Children/東京国際フォーラム ホール A
「ホールは何がいいかって、まずみなさんとすごく近いんですね。で、さらにいいことは、ホールは音がいいんですよ」と満場の客席に語りかけ、「今回はステージ上にいる8人が、すべて生で演奏をお聴かせするので」と朗らかに告げる桜井和寿(Vo・G)の言葉が、5000人のオーディエンスの惜しみない拍手喝采を呼び起こしていく――。

昨年のホールツアー「虹」に続き、3月から計14公演にわたって開催されてきたホールツアー「Mr.Children Hall Tour 2017 ヒカリノアトリエ」の終盤、このツアー中では最大キャパシティとなる東京国際フォーラム ホールA公演。
桜井和寿の喉の不調によりツアー序盤の3/16・名古屋、3/18・三重の2公演が延期(振替公演を名古屋:5/10、三重:5/12に開催)となったため、ここ東京国際フォーラムでツアーファイナルを迎えることは叶わなかったが、「虹」〜「ヒカリノアトリエ」の2本のツアーを通じて磨き上げてきたアンサンブルの集大成的な豊潤さと力強さが、この日のステージには確かにあった。
Mr.Children/東京国際フォーラム ホール A
舞台にはまず桜井和寿/田原健一(G)/中川敬輔(B)/鈴木英哉(Dr・Cho)の4人と、SUNNY(Key・Cho)、小春(Accordion/チャラン・ポ・ランタン)が登場、「虹」ツアーからライブの最初に披露されてきた新曲“お伽話”へ。ピアノとアコーディオンをフィーチャーした静謐なアンサンブルと桜井の歌声がホールの空間の隅々まで広がり、至福の音楽体験の幕開けを改めて実感させる。
そこへ、山本拓夫(Sax・Flute)&icchie(Trumpet)が加わった8人編成で“いつでも微笑みを”の晴れやかなメロディを響かせて一面のクラップを誘い、「いい感じだよ東京! 行くよ!」の桜井のコールとともに“メインストリートに行こう”へ流れ込み、会場の熱気と歓喜を刻一刻と高めていく。
Mr.Children/東京国際フォーラム ホール A
今回のツアーが昨年の「虹」と大きく異なる点は、Mr.Childrenの4人とSUNNY・山本拓夫・icchie・小春が「“8人バンド”=ヒカリノアトリエ」としてツアーを回っていることだ。
アリーナ/スタジアムでの大規模公演を「主戦場」としてライブ活動を繰り広げてきたバンドであり、実際6月からはデビュー25周年記念のドーム&スタジアムツアー「Thanksgiving 25」の開催も決定しているMr.Children。だが、そんな壮大なポップスペクタクルの原動力となっている「音楽という魔法」の豊かさと色彩感を、同期の要素を使わずすべて生演奏で体現していくという一連のホールツアーのコンセプトは、Mr.Children自身にとっても実に大きな果実をもたらしたことが、そのサウンドスケープからも十分に窺える。
Mr.Children/東京国際フォーラム ホール A
“掌”“マシンガンをぶっ放せ”“Any”といった歴代シングル曲はもちろん、最新アルバム『REFLECTION』からの“You make me happy”、『HOME』(2007年)から“PIANO MAN”“Another Story”、といったアルバム曲も多く演奏されてきた今回のホールツアー。
中盤に用意された桜井が楽曲の生まれた背景をアコギ弾き語りを交えて明かすコーナーでは“水上バス”を披露。「『一体このメロディは、どういうふうにして、何を訴えたがって俺の中から出てきたものか?』というのを、夢占いをするように言葉をつける」「『2番まではいいのに、なんでロマンチックなままで終わってくれないのか?』って言われます。でも、僕がそうしたかったわけじゃなくて、メロディがそうなんです」と言いながら、2コーラス直後の哀愁漂うコードを奏でて「……ほら(笑)」と会場を沸かせる桜井。誰にも解けない楽曲というマジックを(ツアーを通してさらに軽妙さを増した語り口で)桜井本人が次々に種明かししていく図は、それ自体が胸躍るエンターテインメントそのものだった。
Mr.Children/東京国際フォーラム ホール A
山本のフルートの音色がホールの空間に踊った“口笛”で高らかなシンガロングを誘い、桜井の熱いシャウトとともに突入した“fantasy”が場内の熱気を震わせ――と1曲また1曲と珠玉の名場面が続いていったこの日のアクト。
昨年からのツアーを通して歌い奏でてきたもうひとつの新曲“こころ”をひときわ優しく美しく響かせた後、「去年、立て続けに近しい、とても大事な人が亡くなって。悲しくて、寂しかったんですけど……でも、自分の心の中にはあの人は確実に生きてるなって思えた」と“こころ”の背景を桜井が静かに語っていく。
「大事な人がいて、大事に思ってくれる誰かがいて。『自分がこんなことを言ったら、あの人はどんな顔をするかな?』って考える思考回路そのものが“こころ”ではないかと思って」「みなさんの存在が、僕らの“こころ”になってます。僕らの音楽が同じように、みなさんの“こころ”になってもらえたらいいなあって」――そんな言葉のひとつひとつが、静かな感動を呼び起こしていった。

「一緒にやりましょう!」という桜井の呼びかけに応えて、ホール中に観客の口笛が広がった“ヒカリノアトリエ”、一面のコール&レスポンスが巻き起こった“擬態”など、終盤に向けて刻一刻と高揚感を増す国際フォーラムの本編ラストに演奏されたのは“終わりなき旅”。4人+SUNNYのソリッドな音像の中、日本のポップミュージック史を彩る名曲を熱唱する桜井の歌声が、どこまでも伸びやかに響き渡っていった。
Mr.Children/東京国際フォーラム ホール A
鈴木のコールに応えて満場の「1、2、3、ダー!」のシャウトが弾け回った “one two three”、麗しの旋律が観客の多幸感と共鳴し合ったピアノバラード“花の匂い”、とアンコールも色鮮やかな音空間が展開されたこの日のステージ。
そのラストを飾ったのは“足音 〜Be Strong”。《時には灯りのない/寂しい夜が来たって/この足音を聞いてる 誰かがきっといる》という切実な想いに満ちた歌が、今この瞬間を生きる鼓動そのもののように確かに胸に響いた。

昨年4月から約1年間に及んだホールツアーの日々を終え、Mr.Childrenは6月からいよいよドーム&スタジアムツアー「Thanksgiving 25」をスタートさせる。デビュー25周年を迎えてなお進化を続けるポップモンスターが描き出す「その先」の音楽の風景が、今から楽しみで仕方がない。(高橋智樹)
Mr.Children/東京国際フォーラム ホール A

終演後ブログはこちら↓
【速報】Mr.Children、ツアー「ヒカリノアトリエ」@国際フォーラムでその核心を観た
http://ro69.jp/blog/ro69plus/159392
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