関ジャニ∞/「METROCK2017」2日目(新木場・若洲公園)

関ジャニ∞/「METROCK2017」2日目(新木場・若洲公園) - ©Metrock 2017
Photo by 深野輝美©Metrock 2017 Photo by 深野輝美
●セットリスト
1 High Spirits
2 ズッコケ男道
3 言ったじゃないか
4 NOROSHI
5 宇宙に行ったライオン
6 象
 ジャムセッション(丸山Solo~)
7 侍唄(さむらいソング)
8 Tokyoholic
9 勝手に仕上がれ
10 LIFE 〜目の前の向こうへ〜

「METROCK2017」の東京2日目。WINDMILL FIELDを埋めたオーディエンスのほぼ全員が、関ジャニ∞というグループについて知っていたはずだ。でも、関ジャニ∞という「バンド」について、お茶の間で親しまれているアイドルである彼らのもうひとつの顔について、ちゃんと理解していた人は多くなかったはずだ。そしてだからこそ、アイドルでありバンドでもあるエイトのふたつの顔がぴったり重なり、多くの人の胸に鮮烈な記憶として刻まれた「METROCK」のステージは、エイトにとっても、あの場に居合わせたオーディエンスにとっても、あまりにもメモリアルな体験になったのだと言えるだろう。
関ジャニ∞/「METROCK2017」2日目(新木場・若洲公園) - ©Metrock 2017
Photo by 深野輝美©Metrock 2017 Photo by 深野輝美
もちろん「野外ステージでのバンド形態でのフルセット」はエイトにとって未知の領域で、会場でちらほら見かけた熱心なファンの期待と不安、そして「有名な曲もやるだろうし、ちょっと観てみるか」というニュートラルな温度感で開演を待つ大半のオーディエンスの好奇心が入り交じる中、ステージに7人がひょこっと登場(ジャニーズのコンサートでの劇的なオープニング演出と比較すると、本当にあっさりした登場だったのだ)。歓声を掻き分けるようにオープナーの“High Spirits”が始まる。インスト主体のこのナンバーは言わば「メンバー紹介」の役割を果たしていて、プレイヤーであり、シンガーである7人がひとりずつ見せ場を作り、関ジャニ∞というバンドのフォーメーションを明らかにしていく。歌番組や『関ジャム』でのセッション映像を観る機会もあって、バンドとしての認知も上がりつつあるエイトだが、それでもたとえば村上や横山は世間的にはトーク番組やバラエティでのイメージのほうが強いわけで、だからこそ新鮮だったのだろう。キーボードを弾く村上、トランペットを吹く横山の姿がスクリーンに大きく抜かれるたびに、フィールドからはどよめきのような歓声が上がる。
関ジャニ∞/「METROCK2017」2日目(新木場・若洲公園) - ©Metrock 2017
Photo by 本田裕二©Metrock 2017 Photo by 本田裕二
続く“ズッコケ男道”はイントロで瞬間沸騰! 会場は見事に縦ノリ、コール&レスポンスもばっちり決まり、まさに掴みはオッケー状態だ。ハーメルンの笛吹きよろしく先頭で煽り立てる渋谷のブルースハープも含め、彼らの演奏自体もつんのめり気味で、ほとんどサイコビリーみたいなことになっている。8ビートのシンプルなパンク・チューン“言ったじゃないか”も加速を緩めることなく走りきったところで、「いつもはテレビでバカなことをやったり、ふざけてばっかりですけど、今日の今日だけは純粋に、みんなに音楽を届けにきました。俺たちの音楽を聴いてくれー!!」と村上が叫び、“NOROSHI”へと雪崩れ込む。和のメロディとファンクのグルーヴを融合させたアッパーな一撃で、直前までの縦ノリから横揺れへとオーディエンスのモードが移り変わっていく。この辺りで、フィールドの空気が明らかに変わったのを感じた。のんびり観ていた後方のオーディエンスもたまらず踊り始め、「有名人を見る」から「ライブに参加する」へと次々にモード・チェンジしていく。

この日のセットは全10曲、非常に練り込まれたセットリストだった。エイトは自分たちの通常コンサートにも演出としてバンド・セットを組み込んでいる。しかし、そのいつものセットをただ引っこ抜いて「METROCK」のステージに乗せただけでは、ロック・フェスでは戦えないということを彼らは充分に理解していたはずだし、実際、40分という限られた時間の中で起承転結を考え抜き、誰もが知っているヒット曲で盛り上げつつも、バンドとしての自分たちの実力を発揮&アピールできる楽曲を大胆に組み込んできた。フェスという未知の現場で学びつつも果敢に挑んでいく、そんなファイティング・スピリッツを感じさせるリストだったのだ。
関ジャニ∞/「METROCK2017」2日目(新木場・若洲公園) - ©Metrock 2017
Photo by 本田裕二©Metrock 2017 Photo by 本田裕二
“宇宙に行ったライオン”、“象”の2曲はまさにエイトのバンド・プレイヤヴィリティを見せつけるチャレンジの流れだった。分厚く激しく音を重ねるだけではなく、時に間引き、強弱を付け、余韻を持たせた空間を生み出していく“宇宙に行ったライオン”の浮遊感のあるグルーヴは白眉で、こういう曲では上物のアレンジが光る。トランペットに留まらず、ボンゴやティンパニと目をやるたびに違う楽器を操っている横山も、トークの手練にしてエイトの賑やかなツッコミ役というパブリック・イメージとは裏腹に、驚くほど繊細な指さばきで華麗な音色を重ねていく村上も要所要所で個性を発揮している。そしてバンドとしては大所帯な7人7色のカラーが最終的にぎゅっと纏まっていく、その道筋を1曲の中でやり遂げるのが“宇宙に行ったライオン”であり、“象”だったと思う。

それにしても、エイトがここまでフェスのステージにフィットしたセットとパフォーマンスを仕上げてくるとは正直予想外だった。彼らはバンド活動だけをやっているグループではない。ライブと並行してTVや舞台のほか、いくつもの過密スケジュールを抱えていて、「METROCK」のリハーサルに割ける時間は限られていたはずだからだ。しかしマルチタスクであることも、しかもそのすべてを100%の力でやりきっていくことも、シビアなエンターテイメントの世界で長年戦ってきた彼らにとっては常に当たり前のことであり、そんなエイトのタフネスが、今回のステージの随所で光っていたのも感動的だった。たとえどんなに綿密にリハーサルをやったとしても、馴染み薄い野外ライブでは想定外のアクシデントは多々起こる。風が吹けば音は流れるし、ヴォーカル・マイクは音を拾いづらくなる。それでも彼らは7人だけでステージに立ち、完全な生音で挑んでいった。

そう、一瞬一瞬の真剣勝負、そこに余裕なんてなかったはずだ。でも、彼らのバンド・アンサンブルは、ライブを楽しもう、楽しませようという気持ちは最後まで一瞬も揺らがなかった。自分たちのコンサートで常に数万人を熱狂させ、テレビの向こう側の世間と対峙し続けてきた彼らの経験値、エンターテイナーとしての実力が、バンドとして迎えた未知の現場を支えていたということかもしれない。ロック・バンドとしての関ジャニ∞の実力を知ることは、アイドルとしての関ジャニ∞の底力をも再認識することになる。この互換作用が、エイトが唯一無二のグループである所以なのだ。
関ジャニ∞/「METROCK2017」2日目(新木場・若洲公園) - ©Metrock 2017
Photo by 深野輝美©Metrock 2017 Photo by 深野輝美
“象”のエンディングと共に、ここでちょっとインターバルか?と思いきや、いきなり丸山がブリッブリにファンキーなスラップ・ベースを披露、そこに大倉のドラム、3人のギターが乗っかってのセッション状態へ。後にそれは丸山がベース・ソロのタイミングを間違えていたというオチに繋がるのだが、このちょっとした予想外の展開に誰も動じず、阿吽の呼吸でジャムり始めるのも7人の信頼関係があってこそだろう。そして「楽しんでますかー! 後ろのほうの遊具で遊んでる人たちも楽しんでってくださいね。でもこれから静かな曲やります(笑)。レキシが作ってくれた曲です」と、錦戸のコメントを挟んで“侍唄(さむらいソング)”へ。MCでの進行役を担っていた錦戸はこの日のムードメーカーで、メンバーのテンションを維持しながらも、オーディエンスとなごやかにコミュニケーションを取っていく。“侍唄(さむらいソング)”はエモーショナルな渋谷とナイーヴな錦戸の歌声のコンビネーションも絶品だった。
関ジャニ∞/「METROCK2017」2日目(新木場・若洲公園) - ©Metrock 2017
Photo by 本田裕二©Metrock 2017 Photo by 本田裕二
そして再度仕切り直しで丸山のベース・ソロから始まったのが“Tokyoholic”だ。これがまたヒプノティックなガレージ・サウンドでむちゃくちゃかっこいいナンバー! 7人の演奏力がここまでで最もビビッドに伝わってくる。そのおっとり柔和な佇まいを崩さずタフなベースを刻み続ける丸山は本当に達者なプレイヤーだし、達者と言えば、驚くのが安田のギターだ。小柄でベビーフェイスなその佇まいからは想像もできないくらい男臭くヘヴィなギター・ソロを弾くのだ。リズミックなリフ・ギターに味がある錦戸、歌と一体化して饒舌な渋谷のギターとの、三者三様のバランスも最高だ。
《I don’t like you Tokyo》、それでも《I can’t hate you Tokyo》だと歌われる、大阪から東京に乗り込んできたエイトの反骨精神が今なお健在であることをフルスロットルで打ち鳴らす“Tokyoholic”にあって、フレンチポップ風のアレンジが聴いた異色のインターバルをクールに歌うのが大倉だ。そしてこの大倉という人がこれまた横山同様に淡々と、しかしサディスティックなまでの切れ味鋭いドラムロールで1tトラックのエンジンのごとき安定感と馬力をアンサンブルに与えている。丸山のベースと大倉のドラム、そして横山のパーカッションを基本とするリズム隊がしっかりしているからこそ、全員ボーカルの7人編成という、彼らの過剰なまでの音の分厚さがバラバラにならず、タイトに集約されていくのだと思う。
関ジャニ∞/「METROCK2017」2日目(新木場・若洲公園) - ©Metrock 2017
Photo by 深野輝美©Metrock 2017 Photo by 深野輝美
そんな“Tokyoholic”から“勝手に仕上がれ”において、ボーカルが鬼気迫るゾーンに突入していたのが渋谷だ。ソロ活動の実績も含め、こういうロック異種格闘技的な現場に場慣れしていると言うか、野外ならではのサウンド・セッティングの揺らぎをものともしない安定感で、冒頭から伸びやかな歌声でメロディを牽引してきた彼が、どんどん感情のリミッターを外し、瞳にギラギラした渇望の輝きを宿していく。あれは全身全霊でロックを、パンクをやっている男の瞳だった。

そして、そんな渋谷が「関ジャニ∞ってアイドル・グループやってます! ありがとう『METROCK』!!」と叫んだ時、関ジャニ∞の「METROCK」は真の意味で記念碑的ステージになったのではないか。彼らはアイドルである自分たちを否定してそこに立ったのではないし、バンドを擬態したアイドルとして立ったわけでもない。そもそも彼らは、そんな中途半端な場所でこれまで一度も戦ったことがない人たちだ。アイドルとしても、バンドとしても、それを求められる瞬間に常に100%の自分たちであることをプライドとしてきたのが関ジャニ∞であり、そんな彼らがバンドとして100%やりきった、それが今回のステージの凄さだったからだ。

ラストの“LIFE 〜目の前の向こうへ〜”で出現したフィールドを埋める笑顔と歓声とダンスの大団円が、なによりも饒舌に、彼らの正面ガチンコで誠実なそのチャレンジの成就を物語っていたと思う。(粉川しの)

関ジャニ∞/「METROCK2017」2日目(新木場・若洲公園) - ©Metrock 2017
Photo by 本田裕二©Metrock 2017 Photo by 本田裕二

終演後ブログはこちら↓
【速報】関ジャニ∞をMETROCKで観た!!!!!!!!
http://ro69.jp/blog/ro69plus/160975


※アップ時「ジャニーズ事務所のグループとしてはTOKIOがすでにサマーソニック(2014)への出演を果たしているが、ロック・フェスの野外ステージに立つのはエイトが初だ」という記述がありましたが、こちらは事実誤認でした。読者並びに関係者の皆様にご迷惑をお掛けしましたことをお詫び申し上げます。

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