ライブDVDも出ているので、ご存じの方も多いと思うが、そういうコンセプトのライブなので、ホテルのディナーショーとか結婚披露宴みたいに、アリーナ部分に丸テーブルを並べて、そこにお客さんに座ってもらって行われる。元々、平井堅が売れない時期に、何か突破口になることを、と始めたシリーズ・ライブであり、ブレイクして会場がどんどん大きくなっても同じコンセプトで続けているため、そういうことになっているわけだが、東京ドームや横浜アリーナのアリーナ部分に、丸テーブルがだーっと並んで、それぞれのテーブル上でロウソクの火がゆらゆらと揺れているさまは、いつ見ても壮観です。
2部構成、1部7曲、休憩をはさんで2部7曲、アンコールで1曲。 1部は“サンタが街にやってくる”のカバーでスタート。このライブでよくやる「歌vs楽器1つ」というコンセプトで、パーカッションと歌、ウッド・ベースと歌、アコースティックと歌、というふうに進んでいって、7曲目の“Ring”で全員で演奏。ほぼ1曲に1回ずつMCをはさむ。なお、“POP STAR”でスタートした2部は、基本的に全員でプレイ。オリジナルに加え、“ラムのラブソング”(大昔のテレビアニメ『うる星やつら』のオープニングテーマ)や“カブトムシ”(aiko)や“ニューヨーク・ステイト・オブ・マインド”(ビリー・ジョエル)などなどのカヴァー曲も披露。なお、“カブトムシ”をやる前のMCでは、「この曲がいかにエロいか、ひいては女がいかにエロいか」ということについて、力説しておられました。
というように、全体に、しゃべり、長め。しかも、歌い終わって「(くぐもった声で)どうもありがとー。……今の、桜田淳子です」とのたまうなど、かなり思いつき気味というか、でまかせ気味というか、リラックス気味。ゆるいが面白い。てんぱっていたり、せっぱつまっていたり、アンコールで歌いながら涙してしまったりする局面を、この人のライブで過去何回も観てきたが、今日はわりとリラックスモードだったように思いました。
にしても。「ぼくときみ」についての歌がこんなにいっぱいあるのに、そして恋や愛情やコミュニケーションについての歌もたくさんあるのに、そしてこんなに大量の熱心なファンに囲まれているのに、歌えば歌うほど、どうしようもなく孤独を感じさせるアーティスト。今日のような、リラックスモードのライブでも、それを強く感じた。で、そこが、僕が平井堅を好きなとこのうちの、かなり重要なポイントを占めていることを、改めて実感した。(兵庫慎司)
1部
1.Santa Claus is coming to town(サンタが街にやってくる)★
2.ラムのラブソング(アニメ「うる星やつら」テーマソング)★
3.Moon River(jazz スタンンダード)★
4.fake star
5.キャンバス
6.世界で一番君が好き?
7.Ring
2部
8.POP STAR
9.カブトムシ(aiko)★
10.New York State Of Mind(ビリー・ジョエル)★
11.いつか離れる日が来ても
12.瞳をとじて
13.Love Love Love
14.even if
アンコール
15.強くなりたい
★はカバー曲