ストーン・サワー(guest:MAN WITH A MISSION) @ Zepp DiverCity

ストーン・サワー(guest:MAN WITH A MISSION) @  Zepp DiverCity - pic by Teppeipic by Teppei

新作『ハイドログラッド』を携えたワールドツアーの一環として、いよいよジャパンツアーの日程をスタートさせたストーン・サワー。「OZZFEST JAPAN 2013」以来約4年ぶりの来日であり、すべての公演にMAN WITH A MISSIONが帯同することも話題となった。東京2日間(9月4日・5日)、名古屋(9月7日)、大阪(9月8日)と繰り広げられるスケジュールの、初日の模様をレポートしたい。今後参加予定の方は、閲覧にご注意を。

『ハイドログラッド』は、2部作の『ハウス・オブ・ゴールド・アンド・ボーンズ・パート1』『〜パート2』を経て、メロディアスなハードロックからゴリゴリのモダンヘヴィネス、ポストグランジにハードコアと、ロックの記号性を丸ごと引き受けるストーン・サワーの充実期を堂々伝えるアルバムになった。先に書いてしまうと、彼らは今回のツアーでその充実感をファンと目一杯シェアしようとしている。そんな手応えがあった。

先攻はMAN WITH A MISSION。今年は年明け早々のガンズ・アンド・ローゼズや、登場SEに“Man With A Mission”を使用していることでも縁深いバッド・レリジョンなど、海外の立派なキャリアを誇るバンドたちとステージを共にしてきた。この9月後半からはジミー・イート・ワールドやストーン・サワーとそれぞれジョイント・ツアーを行う予定でもあり、ますます国内外のシーンを繋ぐバンドとしての活躍を見せてくれている。

「夏休ミモ終ワッタバカリダト言ウノニ、ノコノコトライブハウスナンカニ来ヤガッテ、オマエラハ最高ダーッ!!」というジャン・ケン・ジョニー(G・Vo・Raps)の煽り文句も飛ぶステージは、煌びやかなシーケンスも絡めながら恐ろしく筋肉質なアタック感を誇っており、共闘のロマンを投げかける“evils fall”が胸を焦がしてスタートする。

セットリストがまた秀逸で、会場のサイズからはみ出さんばかりのサウンドの迫力と豊かな歌心を余さず伝える、MWAMのロックの真髄を見せつけてゆく内容だ。この日のオーディエンスを意識して、海外リリースしている音源を中心にセットリストを構成したのかもしれない。“Dog Days”から“Raise your flag”という、黒煙を撒き散らすような爆走のフィニッシュまでがあっという間であった。

ストーン・サワー(guest:MAN WITH A MISSION) @  Zepp DiverCity - pic by Teppeipic by Teppei

転換後、歓声の中に姿を見せたジョッシュ・ランド(G)、ロイ・マイヨルガ(Dr)、ジョニー・チョウ(B)、クリスチャン・マルトゥッチ(G)がイントロの音出しを繰り広げるところに、全力で両腕を振り回し髪を振り回し、見るからにゴキゲンなコリィ・テイラー(Vo)がひときわ大きな喝采を浴びる。序盤からコール&レスポンスがデザインされた新作曲“Taipei Person/Allah Tea”でオーディエンスを巻き込むのだが、フロアの好反応ぶりにコリィが丸裸の喜びようを見せていてこちらまで嬉しくなる。

さらにぐっとヘヴィな音の密度が増してバンド一体のリフを振り回し、さっさとジャケットを脱ぎ捨てたコリィは、ペットボトルをフロアに振り撒きながら「もう何を言ったらいいのか分からないけど、俺のファミリーに会えて嬉しいよ!」とファンに最大級の賛辞を贈る。まさにコリィ印のスクリーミングも全開になる“Take a Number”など往年の楽曲も数多く披露されるけれど、轟音のロックエンターテインメントを体現するバンドの佇まいは、2017年だからこその意味を伝えていると言って良いだろう。

ストーン・サワー(guest:MAN WITH A MISSION) @  Zepp DiverCity - pic by Teppeipic by Teppei

コーラスを巻いて荒々しく爆走する“30/30-150”は、2015年の「OZZFEST」でコリィの貴重な弾き語りバージョンに触れることも出来たけれど、やはりダイナミックなロックソングとしての響きが素晴らしい。と思っていたら、続く“Bother”がソロの弾き語りで、オーディエンスを焦らす間を取ったりして楽しそうである。

「ニューアルバムが好きなやつは、声を聞かせてくれよ」と呼びかけて披露された“Rose Red Violent Blue(This Song Is Dumb & So Am I)”では、ポストグランジなサウンドに情緒的なメロディが映え、トリプルギター編成の音の厚みの中から、ジェイムズ・ルートの後釜として加入したクリスチャンの鮮烈なフレーズが突き抜けてくる。

ストーン・サワー(guest:MAN WITH A MISSION) @  Zepp DiverCity - pic by Teppeipic by Teppei

高速のベースフレーズを乱射するジョニーのプレイも凄いが、6月のプロモ来日時にコリィが『スッキリ!!』で弾き語り披露した“Song #3”は、ジョニーのベースとコリィのギターのコンビネーションでじっくりとイントロを切り出す、重厚なエモーションの響きこそが肝要なパフォーマンスになった。やはりこの曲は、芯の強いグッドメロディが際立つ名曲だ。

ストーン・サワー(guest:MAN WITH A MISSION) @  Zepp DiverCity - pic by Teppeipic by Teppei

そして本編は、ギターのトーンを柔らかく調整して届ける“Through Glass”でフィニッシュ。アンコールでも勢いに乗ったまま、ステージに仕込まれた人形型のフライチューブも飛び出す“Fabuless”でトータル17曲を駆け抜けた。それにしてもコリィは、ライブ中に紙テープをぶっ放すバズーカを何発撃ったのだろうか。本当に楽しく、見事なロックショウだった。

素顔のコリィ・テイラーが根っから気のいいロック兄ちゃんなのは理解していたつもりだけれど、そんなロック好きのマインドが導くストーン・サワーの懐の深いロック性は、ロックが元気を失っていると言われる今日にあって何とも清々しく、頼もしい。ロック好きであることが実はとても貴重な価値を持つ時代に、彼らが最高のキャリアを送っていることは、必然のように思えてならないのだ。(小池宏和)

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〈SET LIST〉

MAN WITH A MISSION
01. evils fall
02. When My Devil Rises
03. Give it Away
04. Seven Deadly Sins
05. Emotions
06. Dog Days
07. Raise your flag

Stone Sour
Intro(YSIF)
01. Taipei Person / Allah Tea
02. Made of Scars
03. Take a Number
04. Reborn
05. Say You’ll Haunt Me
06. 30/30-150
07. Bother
08. Tired
09. Rose Red Violent Blue (This Song Is Dump & So Am I)
10. Do Me a Favor
11. Blotter
12. Get Inside
13. Song #3
14. Through Glass

(encore)
15. Gone Sovereign
16. Absolute Zero
17. Fabuless
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