the HIATUS/新木場STUDIO COAST

the HIATUS/新木場STUDIO COAST - Photo by Tsukasa Miyoshi(Showcase)Photo by Tsukasa Miyoshi(Showcase)


●セットリスト
1.堕天
2.The Flare
3.Storm Racers
4.Monkeys
5.My Own Worst Enemy
6.Clone
7.Let Me Fall
8.Thirst
9.Unhurt
10.Bonfire
11.Deerhounds
12.Bittersweet / Hatching Mayflies
13.Horse Riding
14.Shimmer
15.Little Odyssey
16.Sunset Off The Coastline
17.Something Ever After
18.Insomnia
19.Lone Train Running
20.紺碧の夜に
21.Sunburn
(アンコール)
EN1.Silver Birch
EN2.ベテルギウスの灯


「曲が始まった瞬間に『ああ〜、これが聴きたかったんだ!』っていう顔を見るのが、この世で一番幸せなことだな。ありがとうございます!」。11月とは思えないほどの熱気が立ち込める新木場STUDIO COASTのフロアを見回しながら、感慨深げに語りかける細美武士(Vo・G)の言葉に、満場の歓声と拍手が広がる――。

全国7都市・9公演にわたって開催された、the HIATUSのライブハウスツアー「Bend the Lens Tour 2017」のセミファイナル、東京・新木場STUDIO COAST 2Daysの2日目。細美に限って言えばMONOEYESのツアー終了後すぐ今回のツアーに雪崩込んだ形になるが、the HIATUSとしてのライブハウスツアーは、アルバム『Hands Of Gravity』(2016年)のリリースツアー以来約1年ぶり――ということで超満員の会場に開演前から渦巻いていた期待感と高揚感を、細美武士/masasucks(G)/伊澤一葉(Key)/ウエノコウジ(B)/柏倉隆史(Dr)が繰り出すアンサンブルはあっさり凌駕し、観る者すべてをエモーショナルな歓喜の極点へと導いてみせた。

“堕天”から“The Flare”へ流れ込んでフロアをでっかく揺さぶったところから、さらに間髪入れず“Storm Racers”へ突入して次々にクラウドサーフを呼び起こす――といった1stアルバム『Trash We'd Love』(2009年)の流れで幕を開けたこの日のアクト。
“Clone”、“Let Me Fall”、“Bonfire”といった最新アルバム『Hands Of Gravity』の楽曲を要所要所で披露しつつ、これまで8年間の歩みの中でリリースしてきたアルバムの楽曲群を、1作ごとに丹念にひもといていくようなステージを展開していく。

内面世界へと旅するような“My Own Worst Enemy”のヘヴィネスから一転、観る者すべての心を照射するかのように広がった“Clone”の目映い音像。4thアルバム『Keeper Of The Flame』(2014年)から繰り出した“Thirst”、“Unhurt”の緻密なビート感と細美の絶唱&オーディエンスのシンガロングがせめぎ合いながら描き出す、切実なまでの衝動の躍動感。“Bonfire”で聴かせた、伊澤の極彩色ピアノリフとmasasucks/ウエノ/柏倉のビートバトル的なスリル……それらすべての楽曲のアレンジが、辣腕メンバーの才気と野性によって最高に研ぎ澄まされた形で、今この場所で1曲1曲解き放たれていくのである。
「8年間もこんな難解な音楽に真剣に向き合っていただいて、ありがとうございます!」と細美は話していたが、その楽曲ひとつひとつに凝縮された想いと音楽探究心が、確固たる必然として鳴り渡っていることは、この日のオーディエンスの弾けんばかりの喜びの表情が何より明快に物語っていた。

“Deerhounds”や“Bittersweet / Hatching Mayflies”、“Shimmer”といった3rdアルバム『A World Of Pandemonium』(2011年)の楽曲に“Horse Riding”を交えた流れを、細美のアコースティックギターの音色とともに豊潤に響かせてみせた中盤。細美のラジオ番組に「せっかくアルバムも何も出さずにツアーやるんだったらこの曲を」というリクエストが最も寄せられたという“Little Odyssey”を、伊澤のピアノとともに歌い上げる細美の歌声の凛とした美しさ――。
ジャンルやスタイル、カテゴリーといった枠組みに囚われることなく、バンドという表現で音楽の極致に挑むべく挑戦を続けてきた勇者たちだからこそ生み出せるタフな祝祭感が、この場所には確かにあった。

細美の「行こうぜ!」のコールとともに満場の《Save me》のシンガロングが巻き起こった“Insomnia”から、ライブはさらなるクライマックスへ向けて駆け出していく。“Lone Train Running”ではメロディを会場に委ねる細美に応えて観客一丸の歌声が噴き上がり、熱狂に波打つフロアは「野郎ども、やっちまおうぜ!」の絶叫から“紺碧の夜に”、“Sunburn”でなおも激しく沸き返っていく――。本編を終えた後、満面の笑顔で両腕を突き上げガッツポーズをする細美の姿が、この日の充実感をダイレクトに伝えていた。
「the HIATUSの曲は、嘆く。『俺、ひとりで嘆いてんだから放っとけや』みたいな曲が多い」
アンコールの冒頭、細美は自らの楽曲についてそんなふうに語っていた。「でも、人生山あり谷ありさ。人生どん底で、どこ行っても息が吸えないと思った時は、俺たちのライブに来いよ!」……報われようのない魂と真摯に向き合い楽曲を紡いできたthe HIATUSの在り方を象徴するような言葉が、オーディエンスの情熱をよりいっそう奮い立たせ、アンコールの“Silver Birch”、“ベテルギウスの灯”がひときわダイナミックな多幸感とともに轟いていった。

「来年は一回ライブハウスを出ようぜ。いろんなところへお前らを連れていく――予定(笑)」と細美は「2018年のthe HIATUS」への展望を告げていた。さらなる「その先」への予感を、磨き上げられた歌とサウンド越しに観る者すべての胸に刻みつける、圧巻の激演だった。(高橋智樹)

終演後ブログ
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