デヴィッド・バーン @ SHIBUYA-AX

ドラム/ベース/鍵盤/パーカッション兼アコギ/コーラス3人/曲によってはダンサー3人/そしてデヴィッド・バーン本人、という計11人の大所帯バンド編成での、デヴィッド・バーン7年ぶりのジャパン・ツアー。予定されていた横浜公演がいつの間にか中止になっていたとか、大阪公演はなんばHatchにわざわざ椅子席を設けてのライブだったとか、動員面で若干不安を抱かせる情報もあった……が。東京公演=SHIBUYA-AX・2Daysの1日目となるこの日、蓋を開けてみればほぼフルハウスの大盛況! 3度のアンコール(!)を含め2時間ぎっちり行われたステージを、一滴残らず楽しみ切ろうとするベテラン・リスナーの熱気に満ちていた。

それもそのはず。明日の公演もあるので詳細な曲順などは伏せておくとしても、ブライアン・イーノと27年ぶりのタッグを組んだ新作『Everything That Happens Will Happen Today』の曲をのっけからがしがしやるのは当然のこと、バーン×イーノのコラボ前作『My Life In The Bush Of Ghosts』の曲もやる、挙げ句に『More Songs About Buildings And Food』『Fear Of Music』『Remain In Light』といった、ブライアン・イーノ・プロデュース時代のトーキング・ヘッズの曲も惜しみなく演奏し倒す、という徹底サービスぶり。

全員のコスチュームを、あたかもデヴィッド・バーンの銀髪に揃えたんじゃないかと思うような純白で統一。開演にあたって「さて、今日のセット・メニューは……」とレストランのシェフ気取りで語っている時点で悪戯っぽいワルノリ感にあふれていた御大。曲が進むごとにその高揚感を増し、全身から80sニューウェーブ感満載なオーラをぷんぷん放ちながら、それはもう歌う、さらに弾く! 朗々たる歌唱とラップ的な言葉の速射砲、そしてディストーションよりはむしろ空間系エフェクトとアーミングを多用するそのギター・プレイの1つ1つに、視界が歪み快楽の底へと落ち込んでいくような感覚を覚える。ロックとは分子レベルで異なるロック。単なるいち時代としてではなく、日常とは別次元の概念あるいは磁場としての「80s」を体現するバーン御大。最高だ。

そして――時にバレエ・ダンサーのように華麗に、時に前衛舞踏家のように不穏に舞い踊るダンサーの動きも含めて、実にハイ・クオリティにオーガナイズされたステージの中で、紳士然と構えたバーン御大本人も踊る踊る。ギターのストロークとともに腰をくねらせ、ステップを踏み、ダンサーとの鮮やかなフォーメーション・プレイまで当然のようにこなしてみせる。2度目のアンコール、彼が「白鳥の湖」よろしく白のふわふわのスカートみたいなのを腰に巻いて(バンド・メンバーも)アコギをかき鳴らしていた姿は、神々しいくらいにポップで、セクシーで、背徳的だった。ここにブライアン・イーノが帯同、とまで贅沢は言わないとしても、たとえばエイドリアン・ブリューとかがいても楽しいだろうなあ――と、3度目のアンコールのゴージャス&荘厳なフィナーレを観ながらついつい夢想してしまった。(高橋智樹)
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