the band apart @ JCBホール

一昨日に発売された4枚目となるフル・アルバム『Adze of penguin』のツアー初日となった今日のライブ。オープニング・アクトのavengers in sci-fiのステージが終わると、舞台の上には赤い絨毯が敷かれ、ひとつひとつ楽器とアンプが置かれていく。the band apartのアルバム・ツアーがついに始まるのだという実感が湧いてくる。the band apartにとってアルバム・ツアーとは、ただアルバムの曲を演奏するだけの場ではない。ライブを重ねていく中で更にアレンジやアンサンブルが磨かれ、ある種アルバムの本当の完成へと近づいていくドキュメントと言える。今日、その幕は切って下ろされた。

MCで「初めてアルバムの曲を演奏するので、前の曲を演奏しているあいだも、セットリストを見てつい真顔になる」「緊張した。腕が震える」「思いっきり間違え狂ってやりました」と、本人達も語っていた通り、初日ということで、まだ『Adze of penguin』の曲をどうライブの場で立ち上げていくのか、試行錯誤していたところはあった。今回のアルバムは、アコースティック・ギターを導入した初めてのアルバムで(それはライブでも再現されていた)、非常に風通しのよい、すっきりとした作品だが、そこに詰まっている音楽的情報量は半端ではない。そして、その情報量はツアーのなかで更に増えていくものだ。とはいっても、それもあくまでバンアパ・レベルの話と言えるかもしれない。新作の曲でも以前から演奏してきた“I Love you Wasted Junks & Greens”は見事なものだったし、“bacon and eggs”のような穏やかな曲がライブでは一層映える。活動形態、作品の圧倒的クオリティ、それを反映していくライブでの演奏力を考えると、やはり今のthe band apartの存在は突出している。

そして、なにより過去のアルバムの楽曲群。当然のことながら、それらはすさまじいスキルで演奏された。特に“Higher”と“quake and brook”は、彼らのライブの素晴らしさを約束してくれる楽曲になっている。これから彼らは2ヶ月に亙って全国を回っていく。彼ら自身も言っていたが、ツアーの最終ではライブは一体どんなことになっているのだろうか。気付いてみれば、今日も2時間はあっという間に過ぎていた。(古川琢也)
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