●セットリスト
1.Recollect
2.DISPLAY
3.Record
4.Butterfly
5.シークレットシークレット 〜 シークレットシークレット(Reframe Remix)
6.エレクトロ・ワールド
7.FUSION
8.Three Walks
9.願い
10.無限未来
「テクノロジーって言われてもよくわからんけど……テクノロジーと接していけばいくほど、冷たく突き放されるんじゃなくて、胸がじんわりあったかくなるんです。それは、ひとつひとつのテクノロジーにすべて手が入っているから。テクノロジーは、絆を感じる、素敵なものだと思います」――Perfume史上最高レベルにハイパーでエクスペリメンタルなライブの最後、あ〜ちゃんが感慨とともに語った言葉が、この日のライブの空気を何より象徴していたと思う。
3月20日・21日の2日間にわたってNHKホールで開催されたライブ「This is NIPPON プレミアムシアター『Perfume × TECHNOLOGY』presents "Reframe"」。NHKとPerfumeのコラボによる番組『Perfume × TECHNOLOGY』との連動企画として行われたこのステージは、Perfumeの3人とMIKIKO(振付・演出)、ライゾマティクス(インタラクションデザイン)の熱意とクリエイティビティが至上のアートの可能性を描き出すものだった。
「歌詞検索システム」、「自動音声切り出し&映像切り出しシステム」と、過去の全MVを分析して類似するポーズを収集する「ポーズ検索システム」を活用して、Perfumeのキャリアをひとつの映像へと「Reframe=再構築」してみせたひとときが、この特別なアクトの幕開けを鮮烈に飾っていた。
3人それぞれに個別のボックスにスタンバイ、メンバーの声と照明&映像を連動させてみせたトラック“Record”に続き、“Butterfly”のイントロの個々のアカペラパートの声と照明をリンクさせたかと思うと、曲中では24台の小型ドローンが3人の振付に合わせて、文字通り蝶のようなフォーメーションアートを頭上で展開してみせる……といった具合に、1曲1曲の随所に最新技術と趣向が盛り込まれたアクトに、オーディエンスは魔法に囚われたようにじっとステージを見つめている。
壮大なプロジェクションマッピングと3人のダンスパフォーマンスが共鳴した“エレクトロ・ワールド”。3人の3Dデータの合間に仮想の光源を動かすことで、その影が急激に形を変える、というシルエットアートがスリリングな躍動感を生んだ“FUSION”。そして、事前に投稿されたファンの「大切な写真」がデータ解析され、PerfumeのMVとマッチングされていく――というトライアルとともに響いた“願い”はまさに、技術を通じてPerfumeとファンがつながった決定的瞬間だった。
PerfumeのライブにつきもののMCも一切挟むことなく、終始ストイックなモードでステージを終えた3人。舞台下に姿を消した後、ほどなく再びオンステージ。「私たちのこれまでのいろいろなデータを再構築して、また新しくテクノロジーと挑戦してやってみました。どうでしたか?」と語りかけるあ〜ちゃんの言葉に、割れんばかりの拍手が広がる。
「3人が一緒に積み重ねてきたものや、スタッフさんと一緒に作り上げてきたもの、それを観てくれてたファンの人たちの想いが再構築されて、『新しい』と感じながら『懐かしい』と思える、心があったまるものができるのは本当に、支えてくれてるスタッフさんやファンの方のおかげだと思っています。これからも、過去を大切にしつつ、みなさんの想いも忘れず、新しいことに挑戦して、ワクワクドキドキするような、自分たちも楽しいと思えるようなことを続けていきたいと思います」と意欲を語るかしゆか。
その言葉のひとつひとつから、新たな冒険を終えてなお「その先」を見つめる3人のモードが窺える。
ライブとしてはトータル1時間ほどながら、強烈な覚醒感に満ちたアクトを繰り広げたPerfume。このステージの模様は4月29日(日)23:30〜BSプレミアムにてオンエアされる(NHKワールドJAPANでも5月20日に放送)。Perfumeと辣腕クリエイター陣による「最進化形」の驚きと感激を、ひとりでも多くの人に体験してほしい――と切に願わずにいられない。(高橋智樹)