「YON FES 2018」1日目/モリコロパーク(愛・地球博記念公園)

「YON FES 2018」1日目/モリコロパーク(愛・地球博記念公園) - Photo by ヤオタケシPhoto by ヤオタケシ

04 Limited Sazabysが主催する「YON FES 2018」が4月7・8日に開催された。駆け足になってしまうが、以下のテキストでは1日目(4/7)の模様を振り返っていこうと思う。

イベントはSKY STAGE(メインステージ)とLAND STAGE(サブステージ)の2ステージ制で進行。フォーリミメンバーによる前説を経て、この日最初に音を鳴らしたのはSKY STAGEトップバッター・go!go!vanillasだ。「さあ、朝一発目からやる曲は決まってますよね?」(牧 達弥/Vo・G)と始めた“おはようカルチャー”から大きなシンガロングを巻き起こし、その後はアッパーチューンの連投でオーディエンスを昂らせる。バニラズは2年連続出演だが、フォーリミ・GEN(B・Vo)が好きな曲=“スーパーワーカー”や新曲“SUMMER BREEZE”を披露するなど今年ならではの場面も。終盤に演奏された“カウンターアクション”の前のめりさには、ツアー真っ只中である現在のバンドの空気感が凝縮されていた。

LAND STAGEトップバッターのDizzy Sunfistは、「フォーリミとは6、7年前からやってて、100人、200人のキャパをソールドアウトできんかったのにさ、何十倍ものキャパ、今日ソールドアウトでしょ!? 」と興奮気味に話したあやぺた(Vo・G)をはじめメンバーみんな気合い十分。その心意気で陽性の3ピースサウンドをさらに輝かせる様子も、ステージ上のピュアな感情を受け取ってオーディエンスがどんどん笑顔になっていく様子も、たまらなく眩しかった。

「YON FES 2018」1日目/モリコロパーク(愛・地球博記念公園) - Photo by ヤオタケシPhoto by ヤオタケシ

続いては「YON FES」皆勤賞のSHANKがSKY STAGEに出演。疾走感満点のサウンドを浴びてダイバーが続出するサマはライブハウスの光景が空の下に持ち込まれたみたいで痛快。「フェス仕様」みたいなライブをするバンドではないしいい意味でいつも通りではあるが、明らかに早いBPMに溢れんばかりの熱い気持ちが表われていて、こういうことがあるからライブって面白いんだよなと改めて思う。終盤には「全然関係ないけど、フォーリミに贈る!」(庵原将平/Vo・B)と“Departure”を演奏する場面もあった。

そして直後のLAND STAGEにはSIX LOUNGEが登場、という何とも熱い流れ。ヤマグチユウモリ(G・Vo)が「(フォーリミとは)ちゃんとライブハウスで対バンしたことはないんですけど、呼んでくれたってことはそういうことなのかなって。自信持って胸張ってやります!」と宣言し、獰猛で、しかし哀愁のあるロックンロールをまっすぐに鳴らしていく。絶叫のようなタイトルコール、拳を突き上げるオーディエンスの姿、メンバーが崩れ落ちるように掻き鳴らすラストシーン、どこを切り取ってもそこには純度の高い熱狂があった。

「YON FES 2018」1日目/モリコロパーク(愛・地球博記念公園) - Photo by Viola Kam (V'z Twinkle)Photo by Viola Kam (V'z Twinkle)

毎年自分たちのライブにフォーリミに関するネタをぶっこむキュウソネコカミは、SEに“Squall”を使用、さらに同曲をバンドで演奏。ヤマサキ セイヤ(Vo・G)が“ギラギラおじさん”で黄金のジャケットをはためかせたり、“TOSHI-LOWさん”でオーディエンスの頭上を進んでいったりとオマージュ満載の展開で笑わせる一方、ラストはヨコタ シンノスケ(Key・Vo)が「俺たちの世代を代表するフォーリミがこんな素晴らしいイベントを続けることを誇らしく思います」と語り、キュウソ流人間賛歌“ハッピーポンコツ”、“The band”を鳴らす。

そんな泣き笑いに満ちたライブに続いたtetoもまた、音楽的ジャンルやそもそものやり方は違えど、同様に、人間臭い音を鳴らす人たちだ。半ば叫んでいる小池貞利(Vo・G)も、愛器をぶん回しながら掻き鳴らす楽器隊も、全身から振り絞るみたいな歌い方・鳴らし方をしている。しかしただ単に衝動的なわけではなく、ふと流れ込んでくる温かなメロディに胸を掴まれたりもするから心憎い。終盤、小池が「できるだけ人を恨んで生きて、その分人を愛していきたい」と話していたのも印象的だった。

曇天が続き、冷たい風の吹く時間帯に現れたORANGE RANGEは、「沖縄のテンションぶつけちゃいますよ、俺たち夏やりにきてるからね!」(HIROKI/Vo)と宣言。沖縄の踊り・カチャーシーを取り入れた振り付け、沖縄のおまじない・バナナピーヤを用いたコール&レスポンスで場内の一体感を高めつつ、一糸乱れぬリズムセクション、ボーカル3名によるマイクリレーで以ってチームワークの高さもサラリと見せる。そして“イケナイ太陽”ではフォーリミ・GENをゲストとして呼び込み、お祭り騒ぎを加速させた。

「YON FES 2018」1日目/モリコロパーク(愛・地球博記念公園) - Photo by ヤオタケシPhoto by ヤオタケシ

LAND STAGEのyonigeは、「大阪寝屋川・yonigeです。よろしく!」牛丸ありさ(Vo・G)の挨拶からスタート。サポートメンバーを含めた3名で鳴らすサウンドはシンプルだが、曲が進むにつれてダイナミクスが効いてくる感じがあり、あくまでも自然体のまま、聴き手の胸を熱くさせる。「『YON FES』3年目にしてお呼ばれしてもうたぞ。女にはやらないかん時がある!」とごっきん(B・Cho)が語ってからの中盤戦、“センチメンタルシスター”、“ワンルーム”、“アボカド”が曲間をほぼ空けずに演奏される流れは特に清々しかった。

SKY STAGEのトリ前を任せられたTHE ORAL CIGARETTESは、ライブでは恒例の4本打ちにて、「フォーリミありがとうの回」と宣言してからスタート。この日の核を担っていたのは中盤、山中拓也(Vo・G)が「今日はフォーリミが『YON FES』を続けている意味を感じて帰ってもらえたら」と語ったあとに披露したバラード“通り過ぎた季節の空で”、そしてラストの“ReI”であろう。両者の懐の深い響きは、別々のフィールドで闘いながらも互いに繋がりを感じている同世代同士=オーラルとフォーリミの関係性そのものに宛てられているようだった。

LAND STAGEトリは四星球。「GENくんと初めて会ったのは下北のdaisybar。『四星球が出るって聞いたから僕たちも出させてもらったんです』って言われて口上手いなと思ってたけど、こんなん信用しますよね!」(北島康雄/シンガー)という気持ちをパフォーマンスに還元するようにこの日のライブも盛りだくさん。“妖怪泣き笑い”では特大のフォーリミ・RYU-TA(G・Cho)人形をフロアへ投げ入れ、フォーリミ“swim”のオマージュ=“swimたいやきくん”も披露した(メロディはswimで歌詞はたいやきくん)。宇宙人姿の北島がフロアを巡るのが恒例の“Mr.Cosmo”はこの日、「SKY STAGEにフォーリミ観に行くぞ!」とオーディエンスを引き連れて隣のステージに向かうという驚きの展開に。前代未聞のラストシーンでフォーリミへとバトンを繋げる。

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「今年もこの場所に帰ってきました! 名古屋代表・04 Limited Sazabysです!」(GEN)。18時前、この日のラストを飾るフォーリミのライブは、最新シングル収録曲“My HERO”で始まった。とりわけLAND STAGEにおいてフォーリミよりも下の世代の出演者が多かったこの日。GENは後のMCで彼ら若手バンドに焚きつけられるような気持ちになったと話していたが、瑞々しいツービートを筆頭にした青いサウンドの由来はその辺りの心情なのだろうか。“swim”、“Remember”、そして“midnight cruising”といったオールタイムベスト的な選曲も相まって、フィールド一面を満たすオーディエンスの中に歌詞をしっかり口ずさむ人が多かったのもまた印象的だった。4人が自分たちの夢を一つひとつ体現し作り上げた「YON FES」という場でフォーリミの曲を聴くと、その言葉に宿る説得力をいつもより重く深く感じることができる。だからつい彼らと一緒に口ずさみたくなってしまうんだと思う。

「YON FES 2018」1日目/モリコロパーク(愛・地球博記念公園) - Photo by ヤオタケシPhoto by ヤオタケシ

「大人になるにつれて妥協ポイントみたいなものを見つけるのが少しずつうまくなってきてるけど、『YON FES』に関しては全部にこだわりを持ってやっていて。『これがいい』からやってるんだなと思ったので『これでいい』っていう気持ちはなくしていかないとと思いました。今日は大切なことを思い出させてくれて、本当にありがとうございます」

本編ラストの“Buster call”演奏前、GENはそんなことを話していた。浸っていると安心感に包まれるような思う存分怠けられる場所ではなく、スタート地点にいたあの頃の気持ちを思い出させてくれるような、ホームとしての「YON FES」。年に一度の帰省はこのバンドにとって重要な意味を担っているようだ。

「YON FES 2018」1日目/モリコロパーク(愛・地球博記念公園) - Photo by MASANORI  FUJIKAWAPhoto by MASANORI FUJIKAWA

オーディエンスの大きな声に応えてのアンコールでは“Terminal”を演奏。バニラズ、キュウソ、オーラルら同世代バンドがステージ上に集結し、大団円のなか、「YON FES 2018」1日目は幕を閉じた。冷めやらぬ熱気のなか、あっという間に夜が明け、いよいよ2日目が始まっていく。(蜂須賀ちなみ)

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