Aimer/東京国際フォーラム ホールA

Aimer/東京国際フォーラム ホールA

●セットリスト
1. ONE
2. Monochrome Syndrome(新曲)
3. Believe Be:leave
4. 3min(新曲)
5. あなたに出会わなければ~夏雪冬花~
6. 今日から思い出 Evergreen ver.
7. カタオモイ
8. 思い出は奇麗で
9. Ref:rain
10. Re:pray
11. 花の唄
12. Black Bird
13. After Rain -Scarlet ver.-
14. Hƶ(ヘルツ)
15. 蝶々結び
(アンコール)
EN1. Sailing
EN2. キズナ


変わらぬ魂を宿したまま、蝶のように大胆な変貌を遂げてゆく現在進行形のAimerの姿を、鮮やかに映し出すツアーだった。2018年10月から年を跨いで2019年1月末まで、全国21公演がスケジュールされた「Aimer Hall Tour 18/19 “soleil et pluie”」。12月18日に行われた、東京国際フォーラム公演(2デイズのうちの初日)の模様をレポートしたい。

Aimer/東京国際フォーラム ホールA
フランス語で「太陽と雨」を意味するツアータイトル「“soleil et pluie”」について、Aimerはライブ序盤に「皆さんを太陽の下に連れて行くシーンがあります。激しい雨の中にお連れするシーンもあります。今日のわたしのすべてで歌います。最後までよろしくお願いします」と語っていた。ステージ背景には太陽と傘をデザインしたシンボルが掲げられ、これが回転して向きを変えることで、太陽のシーンと雨のシーンが入れ替わることになる。

純白のドレスを纏って手を打ち鳴らし、喝采の中に伸び伸びと開放的な“ONE”を歌い出す一幕から、太陽のシーンは始まる。唯一無二で深くエモーショナルな歌声をもつAimerの表現は、この曲を起点に大きく変わり始めたと言って良いだろう。表現者としての懐が大きくなり、リスナーに向けてより多彩なメッセージを投げかけるために、自身の歌を使い始めた。手を取り合い日々を掻い潜って進む、そんな力強いラブソングを含め、ライブ前半に披露された新曲たちも「太陽のシーン」を担う重要なピースとして機能している。

Aimer/東京国際フォーラム ホールA
Aimerが初めてホールツアーを開催したのは2016年だったが、その歌声のスケール感はもう長いことこの規模のライブを積み重ねているのではないかというくらい、ホールがよく似合っている。ただ思い切り叫んで思いを投げかけるのではない、繊細な震えや揺らぎのニュアンスまで描き切ってオーディエンスの意識を惹きつける、そんなパフォーマンスだ。“今日から思い出 Evergreen ver.”に続いては、「次の曲は、皆さんのクラップがないと成立しません。バンドメンバーになったつもりで参加してください」と呼びかけ、《僕》の一途な思いに人々を巻き込む“カタオモイ”だ。溢れ出る寂しさの中にも心を暖かくするストーリー“思い出は奇麗で”がまた素晴らしい。

Aimer/東京国際フォーラム ホールA
さて、LEDが雨を降らせるように光る演出がもたらされると、漆黒のドレスに着替えたAimerが歌い出すのは“Ref:rain”だ。まさに彼女の内面から情念の雨が降りしきるよう。重厚なバンドサウンドの中から練り上げられたメロディが迸る“花の唄”を歌うとき、彼女は「少し激しい雨」と言葉を添えていたが「少し」どころではないカタルシスをもたらす。そして、トーチが灯される中に放たれるこの公演時点での最新シングル“Black Bird”は、光と闇、昼と夜、晴れた空も雨の下も潜り抜けて邁進する今のAimerの歌は、強烈な激情の表現においても迫力を増しているのだ。

Aimer/東京国際フォーラム ホールA
「もう一回太陽を呼んで、皆さんと楽しみたいと思うんですが、どうでしょうか?」と告げて、色とりどりのレーザー演出とともに晴れやかに届けられるのは“After Rain -Scarlet ver.-”だ。“Hƶ(ヘルツ)”ではホール内に無数の拳を突き上げさせ、Aimer自身もステージ上を笑顔で飛び跳ね、駆け回る。全身でステージを謳歌し楽しみ尽くそうとする、そんな姿がとても印象深い。

Aimer/東京国際フォーラム ホールA
「前回のツアーが、いいツアーだったねって言ってもらえて。もっともっといい音楽を追求しなきゃって、今年は躊躇していた曲を追求してみたり、今まで以上に一曲一曲向き合いながら、新しい曲たちを作ってきました。今のわたしにできるすべてを表現しようと思ったのが、このツアーです」、「強い自分と弱い自分は、太陽と雨。ありのままの自分を、観てもらおうとしました。皆さんと過ごせて、幸せを感じています。皆さんの中にも、強い自分と、すぐ不安になってしまう弱い自分がいると思うんです。わたしも同じです」。「太陽をテーマにライブをするなんて、いつかの自分は思ってもみなくて。でも皆さんと、太陽を見にいきたいと思いました」。

Aimer/東京国際フォーラム ホールA
慎重に言葉を選びながら、しかしAimerはありったけの思いを語り、ひときわ大きな喝采を浴びていた。本編が美しい“蝶々結び”で締めくくられた後のアンコールでは、1月9日にリリースされたニューシングル『I beg you/花びらたちのマーチ/Sailing』から、“Sailing”が届けられる。《雨に濡れ 波に揺れ We would sail away/渋く長い不確かな旅に出る/もう一度触れたいと 願う強さだけを乗せ》。強さと弱さを抱き自身の航路をゆくAimerは、今後どのような景色を見せるのか、一層楽しみにさせてくれている。ライブ後の余韻が新しい期待と一緒くたになって残される、そんなステージであった。(小池宏和)
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