ASIAN KUNG-FU GENERATION/パシフィコ横浜 国立大ホール

ASIAN KUNG-FU GENERATION/パシフィコ横浜 国立大ホール - All photo by Yamakawa TetsuyaAll photo by Yamakawa Tetsuya

●セットリスト
01.クロックワーク
02.ホームタウン
03.レインボーフラッグ
04.君の街まで
05.荒野を歩け
06.ライカ
07.迷子犬と雨のビート
08.UCLA
09.モータープール
10.ダンシングガール
11.ラストダンスは悲しみを乗せて
12.サーカス(弾き語り)
13.大洋航路(Acoustic Set)
14.ブルートレイン(Acoustic Set)
15.グラスホッパー
16.八景
17.イエロー
18.Easter / 復活祭
19.センスレス
20.Standard / スタンダード
21.さようならソルジャー
22.ボーイズ&ガールズ

(アンコール)
En1.Dororo
En2.今を生きて
En3.解放区 / Liberation Zone



ASIAN KUNG-FU GENERATION/パシフィコ横浜 国立大ホール

「最高のツアーになったと思います。音楽のことを好きだなと思って。バンドのことも好きだしね」
この日のアンコールで、パシフィコ横浜満場の客席に向けて感慨深げに語った後藤正文(Vo・G)の言葉に、この日のステージの多幸感が何よりリアルに滲んでいた。

ASIAN KUNG-FU GENERATION/パシフィコ横浜 国立大ホール

前半12本はゲストアクトを迎えてのライブハウス公演、後半23本はホールワンマン公演の計35本。最新アルバム『ホームタウン』を携え、まさに日本全国を2周する形で行われてきた、ASIAN KUNG-FU GENERATIONの全国ツアー「ASIAN KUNG-FU GENERATION Tour 2019『ホームタウン』」。
その最後を飾るパシフィコ横浜2DAYS公演の2日目、正真正銘ツアーファイナルのこの日。「自由に、誰の真似もしなくていいから。自分らしく楽しんで帰ってください」というゴッチのMCの通り、オーディエンスが衝動的な熱狂や画一的なアクションによってではなく、ひとりひとりの意志とエモーションを通してじっくりと、しかし確かに大きなロックの磁場を編み上げていく、マジカルな空間がそこにはあった。

ASIAN KUNG-FU GENERATION/パシフィコ横浜 国立大ホール

後藤正文/喜多建介(G・Vo)/山田貴洋(B・Vo)/伊地知潔(Dr)のメンバー4人に加え、今回もシモリョーこと下村亮介(Key・Per・Cho)をサポートに迎えてツアーに臨んだアジカン。
“クロックワーク”の雄大なアンサンブルから“ホームタウン”のタイトな躍動感、さらに一面のクラップを呼び起こした“レインボーフラッグ”へ――とアルバム『ホームタウン』の曲順を再現する形で幕を開けたこの日のアクト。
アルバム10曲の流れをほぼトラックリストに近い構成でライブの随所に配置しつつも、そこに“君の街まで”や“ライカ”、“迷子犬と雨のビート”など既発曲を盛り込み、どこまでも伸びやかな音楽空間を展開してみせた。

ASIAN KUNG-FU GENERATION/パシフィコ横浜 国立大ホール

何より、今回のツアーが指し示していたのは、時代に対するシリアスな使命感やメッセージ性ではなく、サウンドや楽曲の形態まで含めた表現全体として「その先」のイメージを響かせる波動へと自らをアップデートしてみせた、「新しいアジカン」そのものだった。
“リライト”や“ソラニン”といったバンドの代名詞的なアンセムも、新時代を切り開く決意の象徴として機能してきた“新世紀のラブソング”もセットリストから姿を消し、“モータープール”、“ダンシングガール”のような『ホームタウン』曲のポップなダイナミズムと“ラストダンスは悲しみを乗せて”などの楽曲の躍動感が呼応し合いながら、未知のアジカン像とスケール感を立ち昇らせていく――そんな場面のひとつひとつが、抑え難く胸躍らせるような高揚感に満ちていた。

ASIAN KUNG-FU GENERATION/パシフィコ横浜 国立大ホール

中盤にはゴッチ&喜多のアコギ弾き語り×2での“サーカス”に始まり、“大洋航路”〜“ブルートレイン”をアコースティックセットで演奏する場面も。
「長年バンドやってみて思うのは――仲が良いのもいいなあって」というゴッチの言葉にも表れていたように、この日の4人に通底していたのは、同じ時間を共有してきた盟友としての風通しのいい空気感だった。「SNSとか公式ホームページの日記とかでわかると思うけど、3対1の局面が多かったんだよね、俺らは(笑)」とボヤきつつ「最近は4人でカラオケ行ったりします、ASIAN KUNG-FU GENERATIONです」と話すゴッチに、笑いと歓声が巻き起こる。

ASIAN KUNG-FU GENERATION/パシフィコ横浜 国立大ホール

スピッツ“グラスホッパー”のカバーや『ホームタウン』初回盤付属CD『Can’t Sleep EP』からの“イエロー”も交えつつ、ライブ終盤は“センスレス”〜“Standard / スタンダード”からアルバムのラスト2曲“さようならソルジャー”、“ボーイズ&ガールズ”へとつないでみせる。
《教えてよ そっと 夢と希望/まだ はじまったばかり/We've got nothing》――そんな“ボーイズ&ガールズ”のフレーズが、観る者すべての明けない夜の先にひと筋の希望を灯すように力強く鳴り渡っていった。

ASIAN KUNG-FU GENERATION/パシフィコ横浜 国立大ホール

アンコールでは「パシフィコで自分がライブやるっていうイメージなかったんですけどね」というゴッチの言葉をきっかけに、メンバーそれぞれの「バンドを続けながらの就職」当時を(ツッコミを入れ合いつつ)開陳する4人の姿に、客席が軽やかに沸き返っていく。
「いろんなことを乗り越えて、震災も経て、こういう場所で朗らかに……どうにか生き延びた、アジカンは! まだもうちょっと悪あがきしていきますんで。よろしくお願いします」と語るゴッチへの喝采が、最新シングル曲“Dororo”の会場震撼の爆発力、さらに“今を生きて”の晴れやかなビート感と共鳴し合い、客席を心地好く揺さぶっていく。

ASIAN KUNG-FU GENERATION/パシフィコ横浜 国立大ホール

「ステージと客席で段差はあるけどさ、同じ時代を生きる仲間っていう気持ちでいます」
アンコール最後の“解放区 / Liberation Zone”の前に再びゴッチが語りかける。
「思ってること、考えてること、これだけ人がいたらバラバラだろうけど。でも、音を鳴らして、空気が震えると……許されてる気持ちになる。『ああ、俺もいていいんだ』みたいな。自分で歌っといて何だけど、そういうところが好きで。自分の好きな音楽やレコードに、拒まれたことが一回もない。そういう感じで、俺たちはずっと音楽をやっていきたいから」……そんなゴッチの「今」の想いが、“解放区 / Liberation Zone”ラストの《解放区/フリーダム》のシンガロングとともに高らかに広がり、ツアーのフィナーレをこの上なく美しく彩っていった。

「本当に、本当に、すごく幸せなツアーでした」と充実感を伝えつつ、「また秋ぐらいに横浜で、面白いことを計画してるんで」と予告していたゴッチ。ASIAN KUNG-FU GENERATIONのさらなる未来図への期待感が無限大に高まる、感動的なステージだった。(高橋智樹)

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