ZAZEN BOYS @ 渋谷AX

3月初頭にNYで3公演を行ったZAZEN BOYS。いよいよ日本での09年一発目のツアーとなる『TOUR MATSURI SESSION』の幕開けだ。ツアーは6月30日の大阪公演まで続くので(全28公演!)、詳細は控えるが、昨年発売された『ZAZEN BOYS 4』のモードがハイライトの瞬間をもたらすような構成。そして先にラストのことを言ってしまうのもあれだが、終演後の余韻がこれまで以上に、ぐっさりと深い。あの新作で広がった音世界が、フロア全体をとんでもない高みに誘っていく。絶頂に達しながらも、いや、達してしまったからこそ、まだまだ「Asobi足りない」気持ちが溢れ出てくる。その後味引く感じがたまらなかった。絶頂の「その先」、つまりは、まだ見ぬ次なる極点/頂上を予感させることは、並大抵のことではない。

ZAZEN BOYSのこれまでの道程とは、「覚醒」のその後、その先をどうサバイバルしていくのかのドキュメンタリーとも言えると思う。あの新アルバムでは、ひとつの極点が提示されており(もちろんラストの“Sabaku”だ)そこに、達するまでの展開が素晴らしすぎた。ライブでは、ほかの3アルバムの楽曲も織り交ぜられながらになるから、さらにあらたな興奮を呼び込むことになる。複雑な変拍子+鉄板リフ+余白の切れ味鋭い楽曲と、四つ打ち+シンセのメロディアス・エレクトロ・チューンとタイプの違う楽曲が、すさまじい相互作用を生んでいたのだ。“熱”“冷”のコントラストが、ゾクゾクするZAZENのライブならではの緊張感をさらに高める。

各メンバーの演奏っぷりには、毎度のことながら、圧倒させられるばかり。ZAZEN BOYSのライブを体感すると、CDとかDVDというのはあくまで「録音物」でしかないんだなー、という乱暴なことをつい思ってしまう瞬間が必ず訪れる。鬼神のようなドラミングをみせる松下だが、ハードな側面はもちろん、四つ打ち系の楽曲のロング・セットでみせた持久力もとんでもないものだった。あの力強い四つ打ち反復フレーズの上で、各メンバーの楽器の音色が踊り狂い、さまざまなドラマが展開される。そうして、殺伐とした光景の中にあるロマンチシズムが、鮮やかにあぶり出されていく。それが泣けてくるほど、胸にグサリと突き刺さるものなのだ。さまざまな観点から“海外基準”であるといわれるZAZENだが、時代との向き合い方も、深層部分で海外の名だたるアーティスト達とリンクしている。シンセの出音の怖くなるほどの気持ちよさ。今あの音を鳴らす意味を、本能的に理解し欲していなければ、あんなふうに、ドス黒い快楽の底なし沼に引きずり込まれるような凄味を音色に込めることはできないだろう。あらためてだけど、彼らは、尖り方や見識、音と対峙する感覚が“世界基準”なのだと実感させられる。

序盤で披露された吉兼(カシオマン)のダンスには、フロアから喝采が。向井のMCは、「MATSURI STUDIOからやってまいりましたZAZEN BOYSです」「シブヤ・シティ、カンパイ!」といった短めのMCがメインだったが、アンコール時に「6月に久方ぶりに日比谷野音でやります」「毎度スペシャルなムードに巻き込まれ、非常にいいコンサートになりますので、みなさん、いらっしゃい」と発表していた。6月28日の日比谷野外大音楽堂に加え、6月30日の大阪 BIGCAT公演も追加されたので、お見逃しなく。また、今回のツアーでは、会場限定で、昨年12月25日に名古屋クラブクアトロで行われたライブの模様を完全収録したDVD『Matsuri Session Live at Nagoya』が販売されているので、こちらもお買い逃しなきよう。(森田美喜子)
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