Kings vol.2 @ 恵比寿リキッドルーム

ジャンルもルーツも違うバンドが集まって一つのカルチャーを作り出そうと昨年9月にスタートしたライブ・イベント『Kings』の第2回目。出演バンドは前回に引き続き、QUATTRO、THE BAWDIES、PILLS EMPIRE、the telephones、The Brixton Academyの5組が登場。このイベントのキーポイントは「いかにオーディエンスを踊らせられるか」ということ。とにかく最初から最後まで、出演バンドはもちろん、転換時に大音量のDJプレイで盛り上げてくれたFREE THROWも、オーディエンスを「踊らせる、楽しませる」こと一心で臨んでおり、それに応えるようにオーディエンスも終始踊りっぱなし! ジャンルは違えど、イベント終了後には「音楽を楽しむ」という純粋で当たり前の行動を本能的に身体を通じて実感することができた一夜だった。

トップバッターで登場したのは先日のオアシスのジャパン・ツアーで堂々たるオープニング・アクトを見せ付けたQUATTRO。ハモンド・オルガンのレトロなサウンドと骨太で重厚なリズムが徐々に大音量になっていき、オーディエンスを煽っていく。そこへギター、ベースとどんどん音が重なっていき、けたたましいガレージ・サウンドが炸裂! この豪快なグルーヴが生み出す土臭さが堪らない。カントリー調のリズムに乗った軽快なナンバーの新曲も披露し、すっかりオーディエンスを虜にしている。「後ろの方のさ、メディアの人たちとかもさ、仲間に入れてあげようよ…俺はいやだけどね」とか「今回はね、俺がジャンケンで負けたんだよ。俺は何番でもいいって言ったんだけどね」と出演順番をジャンケンで決めたことを暴露したり、「最後何やる?」とオーディエンスにラストの曲名を言わせたり、反逆精神たっぷりに吐き捨てるようなボーカル岩本の佇まいもこのバンドの魅力。ラストはもちろん“HEY”で全力を振り絞ってフロアを沸かせた。

続いて登場したのは、メジャー1stアルバム『THIS IS MY STORY』をリリースしたばかりのTHE BAWDIES。「準備いいかーい!」とROY(Vo/B)が煽り、ドラムセットを中心に3人が集まり一斉に音をかき鳴らす。「みんなで踊ろうぜ!」と“I'M IN LOVE WITH YOU”でスタート。ソウルフルでハスキーなボーカルが冴え渡る渋みの効いたロックン・ロールは明らかに60年代サウンドなんだけど、懐古的な響き方をしていないのが凄い。「最高のパーティー・ソングを用意したぜ!」と言って始まった“YOU GOTTA DANCE”はソウルフルなグルーヴが全力疾走で炸裂する痛快ナンバーだ。「ロックン・ロールは個人のものじゃなくて、結局はどれだけみんなで愉しいパーティーができるかってことだろう!」とROY。頭で考えるのではなく、体が自然と動き出すとはこういうことだと実感。リキッドルーム一体がハンド・クラップで包まれた“NOBODY KNOWS MY SORROW”や四つ打ちのダンス・グルーヴが身体に叩き込まれるような“LEAVE YOUR TROUBLES”などどの曲も新鮮に響いてきて、何もかも忘れて狂ったように踊りまくれるTHE BAWDIESのステージ、恐るべし。

ブレイク・ビーツがガンガン流れた転換時のDJタイムに続くように登場したのはPILLS EMPIRE。初めてライブを観たのだがとにかく圧倒的な破壊力を見せ付け、一時も目を離せない緊張感を会場に走らせた。アンプやバスドラなどの縁に電飾を飾りつけて、稲光のような照明の下、心臓を射抜くようなバキバキのエレクトロ・ビーツを放出し、金切り声を上げて暴れ出しては異次元空間へと誘う。ボーカルのShimomotoはフロアに乱入し、後方まで練り歩いてはPA卓近くの机によじ登り自らが踊りまくる。とにかく強烈なインパクトと毒々しいテンションが入り混じり、不穏な空気を生み出していった。このイベントの中では明らかに異色を放っていて、弾丸のごとくド迫力のビートをオーディエンスにぶっ放し、立ち去っていった。

the telephonesの登場時にはすでにイベント開始してから2時間半も経っているのに、転換時のDJタイムでも変わらず盛り上がり続けるフロア。「トーキョー! ウィー・アー・ザ・テレフォーンズ! 一緒に音楽の向こう側に行こう! アー・ユー・ディスコ!?」と石毛の大絶叫で幕を開けたthe telephonesのライブは、“D.A.N.C.E to the telephones!!!”でスタート。ミラーボールがキラッキラに輝く中、今日のこのイベントの最大の命題でもあり、バンドにとっても最大の命題でもある「D.A.N.C.E」コールでフロアは弾け飛んで床を揺らす! そして、今ここにいる観客とともに最高のディスコ・パーティーを繰り広げるべく“Urban Disco”“electric girl”といった最強ダンス・ナンバーで迎え撃ち! ノブの激しい痙攣ダンスもフロアをどんどん熱くする。「俺らも、メディアも、今ここにいるみんなも全部一緒! でも、君たちが一番偉いから。君たちが動くところにメディアが動くから。全部操ってるの!」とシーンはバンドとオーディエンスが作っていく、という頼もしい宣言をした後、新曲“Monkey Discooooooo”を披露。まさにサルが「キーーーー!」と奇声を上げるようなシンセサウンドが炸裂する奇天烈なロックンロール・ナンバー。最高だ。ラストは、石毛:「ウィー・アー?」フロア:「キングス!」という掛け合いで“Love&DISCO”に突入しライブは終了。その直後DJタイムでティン・ティンズの“グレイトDJ”が流れたのだが、それを聴きながらthe telephonesのメンバーが踊りながら片付けていたのがちょっと笑えた。本当に心から踊りたいんだな。

そして、トリに登場したのはThe Brixton Academy。マンチェスター・サウンドや80年代のニュー・ウェイヴ色全開のミニマルなリズム・トラックにチープなシンセ音がループ、地底を這うようなベース・ライン。これまでに登場した4バンドに較べて、リズムとベースとシンセ2台という構成で音数は断然少ないのだが、その中にも内に秘めた熱さがあって少しずつメラメラと確実に燃え上がっていくような感じ。4つ打ちの無機質なリズムに乗ってキーボード2台を向かい合わせにして掛け合うようにフレーズを繰り出していき、ミステリアスな雰囲気をかもし出しながら、シンセのソロで速弾きを披露したり、カウベルを叩き鳴らしたり、徐々に熱を放出していく。曲が進むごとに知らず知らずのうちにTBAサウンドにのめりこんでいっていることに気付く。

終わってみれば5バンドとも全く違う音楽性なのに、どれもが本質を突いたようなサウンドを鳴らしていて筋の通ったパフォーマンスを見せてくれたように思う。the telephonesの石毛は「本物しかないもんね。Kingsには。全員それを持ってるから愉しいんです!」と言っていたけど、本当にそういうことなのだ。自分達のルーツとなる音楽と本気で向かい合って生み出された音楽に嘘はない。そんな、5バンドの熱い想いを感じることができたイベントだった。Vol.3の開催も待ち遠しい!(阿部英理子)
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