UVERworld/横浜アリーナ

UVERworld/横浜アリーナ - All photo by 田中和子(CAPS)All photo by 田中和子(CAPS)

●セットリスト
01. 7th Trigger
02. CORE PRIDE
03. ナノ・セカンド(Short)
04. IMPACT
05. AFTER LIFE
06. 在るべき形
07. AVALANCHE
08. Making it Drive
09. One Last Time
10. ENOUGH-1
11. WE ARE GO(Short)
12. 〜流れ・空虚・THIS WORD〜
13. a LOVELY TONE
14. THE OVER
15. ピグマリオン
16. Massive
17. One stroke for freedom
18. Don't Think.Feel
19. PRAYING RUN
20. Touch off
21. EN
22. Theory


UVERworld/横浜アリーナ
「自由を奪われた2年間。どうやって音楽を続けるか、どうやってバンドを続けるかって考えた時に、一緒に考えてくれる人がいたってことを感じたよ」。そんなふうにTAKUYA∞(Vo・Programming)は告げていた。「UVERworld THE LIVE」は、全国ライブハウスをはじめ、日本武道館やアリーナ規模を含む10会場19公演がスケジュールされたツアー。12月21日の横浜アリーナはTAKUYA∞生誕祭だ。UVERworldの生誕祭では、誕生日を迎えたメンバーが自由にセットリストを組むことができる。「自分が喜ぶよりもみんなを喜ばせる日だと思ってる」という、煮え滾るような冬の一夜をレポートしたい。

まず、セットリストをご覧いただければわかるように、とんでもない流れでとんでもない熱狂を巻き起こすステージだった。ステージ中央の出ベソ部分に設置された巨大な立方体スクリーンにオープニング映像が映し出されるのは、ちょうど5ヶ月前に観た日本武道館公演と同様だが、そのスクリーンが落ちLEDが宙空に立体的な模様を描き出すドットイメージのもと、姿を見せるのは前日の12月20日に体調不良のため急遽横浜アリーナ公演を欠席していた彰(G・Programming)。Crew(ファンの呼称)の心配を跳ね除けるように、元気な姿でギターを弾き倒している。よかった。TAKUYA∞の口笛フレーズが導く“7th Trigger”、そして“CORE PRIDE”と、のっけから沸騰不可避のロックチューンが畳み掛けられる。

UVERworld/横浜アリーナ
夏の武道館でも感じたけれど、今のUVERworldは以前とは異なる次元のライブに到達している。熱量高く前のめりにパフォーマンスするだけではなく、歌心を丹念に掬い上げ寄り添う演奏を組み込むことで、抑揚のダイナミズムが、そしてバンドサウンドの解像度が飛躍的に向上したのだ。さらに、かつてはライブのクライマックスを担うことが多かった“IMPACT”や“在るべき形”を序盤のうちに披露。この先にどんな景色を見せてくれるのか、と期待感を膨らませてくれる。現代的なサウンドデザインの美曲“AFTER LIFE”では、Crewたちがスマホのライトを灯し、それぞれがまさに孤独な彗星としてアリーナを満たしていた。美しい視界だ。

UVERworld/横浜アリーナ
TAKUYA∞が満面の笑顔で「やっぱ、完全体のUVERworldは最高だなー!!」と告げたあと、真太郎(Dr)は「TAKUYA∞くん、自分でひと言も言わへんね。今日俺誕生日だって」と語り出す。続けて、国の感染予防対策ガイドラインに沿った範囲でオーディエンスに祝福の声を促すのだが、最後にはやっぱり下ネタになってしまうので、ミントグリーンのカーディガンに着替えたTAKUYA∞が「親、観に来てるんだけど今日! やめてもらっていいですか!」と止めに入るのが可笑しい。

UVERworld/横浜アリーナ
TAKUYA∞に「俺、こいつと幼稚園から一緒なんだぜ」と紹介された信人(B)が、恐ろしく直情的なプレイでバンドを導く“One Last Time”から“ENOUGH-1”へ。怒涛のラップミクスチャー連打に続いては、メンバー一丸の暴れ太鼓グルーヴが強烈な“WE ARE GO (Short)”、そしてセカンドアルバム『BUGRIGHT』から久々のライブ披露でオーディエンスを驚喜させる“〜流れ・空虚・THIS WORD〜”と、予測不可能なライブ運びで熱狂をキープし続ける。個人的なハイライトとなったのは、幻想的なドットイメージの下で歌われるロマンチックな愛の歌“a LOVELY TONE”だ。今のUVERworldのサウンド構築が、猛々しさとは一風違った形で凄味を見せつける。

UVERworld/横浜アリーナ
誕生日当日を迎えた瞬間、今年もCrewたちと連絡を取りながら10kmラン(深夜ということで男性Crewのみ)を行って横浜アリーナの控室で寝泊まりしたというTAKUYA∞だが、28分29秒というタイムを叩き出した猛者を我が事のように喜んだり、「ステージで寝てると思った」と寄せられる声を紹介して笑ったり。熱いステージを作り上げるための飽くなき努力は、Crewとの信頼関係をこのうえなく強固にし、格別に幸福な生誕祭を裏付けている。精神的な成長をしたためた“ピグマリオン”や、《才能だけじゃ努力に勝てない/努力なんかじゃ楽しむ俺らには勝てない》と歌詞を変えて歌われる“One stroke for freedom”は、それぞれの道を追求する人生のための祝砲のように鳴り響いていた。

UVERworld/横浜アリーナ
前日に彰が急遽ライブを欠席することになった時、TAKUYA∞はそれでもすぐさまライブの開催を決断し、その代わりに自分が死んでもUVERworldを続けろ、と彰に告げたそうだ。バンドへと寄せる、並々ならぬ思い。すべてが変わってしまった世界のための、強烈なパンチラインだけで満たされた言霊の奔流“EN”を披露しながら、TAKUYA∞はその歌詞の膨大な言葉数には飽き足らず、「俺らの覚悟を舐めんじゃねえぞーっっ!!」と咆哮した。そしてこの夜のライブは、未発表の新曲“Theory”で締め括られる。もはや自分たちの人生だけではないバンドの讃歌であり、新たな発見の興奮と喜びを抱いてひた走るロックチューンであった。

ライブ終演後、TAKUYA∞はステージ上でインスタライブを開始する。先日発表された2024年春の国内ライブハウスツアーとハワイ公演による「UVERworld QUEEN’S PARTY 女祭り」開催に続いてここで告知されたのは、2023年7月29日(土)・30日(日)の日産スタジアム公演2デイズ開催決定、うち7月30日(日)は「UVERworld KING’S PARADE 男祭りREBORN at NISSAN STADIUM 6 VS 72000」という驚愕の大発表だ。現状に満足することなく、前代未聞の景色を目指し続けるUVERworldは、健在であった。(小池宏和)

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