ベースメント・ジャックス @ 赤坂BLITZ

ベースメント・ジャックス @ 赤坂BLITZ
ベースメント・ジャックス @ 赤坂BLITZ
ベースメント・ジャックス @ 赤坂BLITZ
ベースメント・ジャックス @ 赤坂BLITZ
ベースメント・ジャックス @ 赤坂BLITZ - pic by Teppeipic by Teppei
昨年夏のフジ・ロックでグリーン・ステージのクロージング・アクトを務めた、そしてその時のパフォーマンスがものすごく大評判だったベースメント、半年ぶりの来日。
しかし。僕は、そのフジを観ていない。業務で、東京へ戻るバスに乗らざるを得ずに涙を飲んだのでした。ベースメントがライブやっている間中、観ている友人知人から「最高!」「よすぎ!」「3日間のベストアクト!」「気持ちよすぎて死にそう!」みたいなメールがばかばか届いて、心底むかついたものです。

というわけで、フジとの比較はできないのですが、あと翌日=今日、新木場スタジオコーストがあるので、セットリストや演出なんかの具体的なことは明かしませんが、書ける範囲でいきますね。

ステージ後方中央に、フィリックスとサイモンのブース、左にパーカッション、右にドラム、が基本セット。サイモンは曲によってはブースを降り、ギターをプレイ。フェリックスは、たまにボーカルも。プラス、ホーン、黒人ラッパー(男)、白人ヴォーカリスト(男)、黒人ヴォーカリスト×2(女)、黒人ラッパー兼ダンサー(女)、などなどが、曲によって出たり入ったり、入り乱れたりしながらステージが進んでいく。

で。フジは見逃したものの、10年くらい前に来日して、まだ新宿にあった頃のリキッドルームでやったライブから数えて何度かは観ているが、掛け値なしに、圧倒的に、もう本当に、今回がいちばんよかった。ライブ取材ってことで、2F席を用意してくださったんだけど、1曲目が始まったら、あまりの気持ちよさにがまんできず、1Fフロアに駆け下りてしまった。で、最前列下手のスピーカーの前まで行って、最後までそこで観ました(こういう系統のアーティストの常として、みんな「前で観る」って感じじゃなくて、むしろ後ろの方が混んでいたりするので、その気になれば前まで行けるのです)。

最新アルバムの曲たちも過去の代表曲たちもプレイ。過去の曲は、総じて、オリジナルよりもシャープで直線的で攻撃的にリアレンジされている感じだった。で、とにかく華やかでポップ、とにかく下世話でタフ、そしてとにかくもう、楽しい。
にぎやかにパーカッションが鳴り響く、歌ものラテンハウス。ベースメントの音楽性を、ものすごくざっくり言うとそういうことになるが、ざっくり言い過ぎな気もするがまあいいや、とにかく、なぜそもそもこの人たちがそれを選んだのか、そこにはどんな鉱脈があるのか、その根拠が、終始ステージから放たれまくっている感じだった。
とにかく、音そのもの、アレンジそのもの、グルーヴそのものが気持ちいいったらないし、曲によって出てきたりひっこんだりする、パンパンに太った女性黒人シンガーたちも、ダンサー兼ラッパーみたいな黒人の女の子も、衣裳を替えて出てくるたびにちょっとどうかと思う格好になっている、もうあからさまにゲイの白人男性シンガーも、ホーン吹いてるおじさんも、みんないちいち魅力的で、楽しいったらない。
なお、10年前に比べると、さすがにサイモン老けたなあ、というのと、フィリックス太ったなあ、というものあるが、それはお互いさまなので言えません。

あともうひとつ。そういうサウンド・スタイルをとっている音楽の常として……というかダンス・ミュージックというもの自体がそうとも言えるけど、音がとても猥雑で、セックスの匂いがしまくっている。にもかかわらず、ベースメントの場合、とことん下品にはならない。いや、まあ上品か下品かでいうと下品寄りだけど、底まではいかない。どっか理性的で、ちょっと高尚なムードがある。
その理性的な感じと、猥雑で卑猥で生命力の強い感じが、ごっちゃになっている空気。そこもとてもいいなあと、いつも思う。

ちなみに、僕の後ろではカップルが踊っていたんだけど、男が女の子の背中に密着して、後ろから腕を回した形、ほらよくフジ・ロックとかの後ろの方にいるでしょ、あの状態になっていた。で、僕の前にいたベロンベロンに酔っぱらった男は、踊りながら一緒に来た女の子にすきあらば抱きつこうとしたりキスしようとしたりしては、そのたびに女の子にかわされては、「ほらそんなことよりちゃんとライブ観て」って、ステージを指差されていた。
まあ、許す。ベースメントなので許す! そんな一夜でした。
今夜スタジオコーストに行くみなさん、ぜひお楽しみに。(兵庫慎司)
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