Good Dog Happy Men @ 渋谷O-WEST

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「今日は、ゆっくりゆっくり楽しんでいってください。先日、30になったんですよ。ロックの世界には《Don’t trust over 30》っていう言葉が、黄金の名言があって。その通りだからね。俺もいい加減になったなー、と思う機会が多々あります。この前、次にやる曲(“All Bet”)を聴いてたらね、俺には夢があったなーってことを思い出して。27ぐらいまで結構本気でそう思ってたんだけど。大地とも、30歳でイギリスに移住しよう、とか話してたことを思い出して。……がんばります。40までにします。音楽で金持ちになったるわー」。

序盤のMCで、門田はそんなことを話していた。Good Dog Happy Menのニュー・アルバム『The Light』の大きなテーマを、身も蓋もないほど現実的な言葉で、至極コンパクトに説明するMCであった。メンバー2名の脱退や新作制作という激動の時期を越えて、新しいGDHMの季節に踏み出すライブ・ツアー『The Light TOUR』のファイナル。ドラマティックに展開するマーチング・ビートのオープニングSEから、門田と内田、そしてサポート・メンバーの菅原と河相を含めた4人が、『The Light』同様、“SHINE A LIGHT”から演奏をスタートさせる。高揚感を煽り立てるコーラスを絡めたアレンジで歌われるのは、《黄金の穂を振り回し でたらめな魔法をかけた》というフレーズだ。

まずは『The Light』の楽曲が固め撃ちされ、そして前述のMCののち披露されるのは“All Bet”である。《例えばこの魔法が解けて 夢を忘れ 言葉枯れて/何を恐れることがあろう とうに全てを賭けた後で》。『The Light』におけるGDHMは、門田の歌は、永遠に解けないはずだった甘い魔法が現実に打ち破られる瞬間から始まっている。夢に満ち溢れた言葉が枯れた後で、現実の砂漠を掘り起こし、絞り出す一滴の新しいフレーズを歌に変えているのだ。だからだろうか、今の彼らの演奏は、以前のように夢見心地な甘美さももちろんあるのだけど、それよりも地に足の着いた力強さというか、生の手応えを受け止めさせる。門田がキーボードに向かい、オーディエンスにハンド・クラップを求めながら歌った“間違い探し”も、作品で聴くより数段ソリッドなロックとして演奏されていた。

ただリズムを刻むのではない、情感を煽り立てるために鳴る内田の物語性に満ちたドラムと、そして豊かなコーラス・ワークにも支えられ、昨年リリースしたシングル収録曲を含めて休みなく、ほとんどメドレーのように曲群が披露されてゆく。個人的に、今回のステージにおけるハイライトだと思えたのが「意外とみんな、知らない漢字みたいです。人の幸せと書いて、“ゆき”」と紹介された“倖”だ。雪、とのダブル・ミーニングで歌われるドラマが、大らかに、ダイナミックに、描かれていった。

予め、スペシャル・ゲストとして告知されていた元GDHM、伊藤大地が温かい拍手と強い照明に包まれて登場する。“そして列車は行く”以降、本編ラストまでステージを共にした。伊藤在籍時の楽曲だけではなく、“Mrs.Vertigo”のような新作の収録ナンバーにおいても彼の見せ場がしっかり含められていたのは驚きであった。更には終盤に披露された名曲“キャンプファイヤーソング”だが、ステージの前半で披露されていた“Music From Twilight”の中で“キャンプファイヤーソング”のフレーズの一節が再利用されていたこともあり、ライブではリプライズ的な効果をもたらしていて、実にドラマティックな演出となっていたのが印象的であった。

アンコールでの再登場時、門田は「何で今日、あいついるの?」と伊藤のことを話しながらも嬉しそうであった。と、ブログとかに書いてくれと言っていたのでここにも記しておきます。昨年のロック・イン・ジャパンで珍しくロック・フェスに出演し、帰路の車中で生み出したという『The Light』のラストを飾るナンバー、“自由も孤独もいらなくなって”はここで披露された。《自由も孤独も要らなくなって どうしてまだ音楽は止まない?/遠回りした僕らの確かさがここにある》。疑って、不器用に立ち回って、そうして体で経験した財産は、頑な夢想や鵜呑みにした知識とは違って、ほとんど発明に近い価値がある。『The Light』のタフな世界観は、すべてそんな地平から生み出されたものなのだ。(小池宏和)

セットリスト
1.SHINE A LIGHT
2.just my pain
3.慰霊堂清掃奉仕 (Happy Birthday!)
4.All Bet
5.陽だまりを越えて
6.間違い探し
7.Music From Twilight
8.Song for lover’s
9.倖
10.Bit by Bit
11.Nightmare’s Beginning
12.そして列車は行く
13.Mrs.Vertigo
14.pretty little horses
15.キャンプファイヤーソング
16.(can you feel?)~Most beautiful in the world~

アンコール
17.singing in the rain
18.自由も孤独もいらなくなって
19.ユートピア
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