TOTALFATの結成10周年記念ライブ、下北沢シェルター2デイズ、しかも1日2公演ずつの計4公演。2部構成ではありません。1公演ずつチケットを売っての入替制です。土日の演劇とか、ジャニーズみたいな形式ですね。
で、『全部見せます10周年!! 4本見るまで帰れま10』というタイトルで、4公演すべて、1曲もかぶらないようにすることと、それぞれ、以下の中から選曲することを、事前に発表。その振り分けはこんな感じです。
1回目:2003年の1stアルバム『End Of Introduction』と2005年の2nd『GET IT BETTER』から
2回目:2007年のカヴァー・アルバム『Hard Rock Reviver U.S Version』と、同年のミニ・アルバム『Hello&Goodnight』から
3回目: 2008年のアルバム『ALL THE DREAMER,LIGHT THE DREAM』から
4回目:2009年のアルバム『FOR WHOM THE ROCK ROLLS』から
1曲もかぶらないようにするというのと、すべての歴史を振り返った選曲にする、というのは、まあわかる。他にもやってる人、いる。でも、なんでわざわざ1日に2回で2デイズ?
たまにいますよね、こういう、ちょっとヘンなこと、人がやらないことをやりたがるバンド。で、「狙いすまして」とか「実はこのような必然があって」とかじゃなくて、こういうのってたいてい、たいした理由なかったりするのね。「いや、なんか面白いと思って」くらいの、浅い考えだったりするのね。
そういう、ただのはずみや思いつきを、深く考えずに実行に移しちゃうような人たち、はっきり言って大好きです。なので、これは4回ともリポートすべきだと考え、オファーしました。1日目の2公演は私が、2日目の2公演は小池宏和がレポートします。
なお、チケット代は、1公演1500円。「普段のライブの半分くらいのボリュームなので、値段も半分くらい」ということだと解釈しました。
1回目
まず、セットリストから。
1.Highway Goin'
2.Hope From 3rd Rated Life
3.One Box
4.Generations Ever Last
5.Not To Retire
6.Feud Over
7.You're All I Need
8.Nothing But
9.Plating Sky
10.Music For You
11.Next Year
アンコールなし、やはり1時間弱、というかほぼ1時間のセット。なので、ステージ前に吊られたバンド・フラッグが落ちて4人が登場し、すんげえテンションでプレイを始め、途中でかつて5人編成だった頃のギタリスト(正しくいうと、初代ギタリストであり5人編成時代を経て脱退したギタリスト)、Yasushiが加わって、トリプル・ギターのすさまじい音圧で何曲か披露したり、でもMCで「……普段やってない曲ばっかり」とぼやいたり、Shun(vo&b)が「……これ以降のライブでも、同じようなことを言うと思うけど……」とセルフツッコミしながら熱い感謝の意や10年の万感の思いを言葉にしたり、ライブが進めば進むほど、シェルター内の空気がどんどん薄くなっていったりしている間に、あっという間に終わってしまった。終わってしまったが、不思議と「ええっもう!?」って感じじゃなく、ちゃんと1本分のライブを体験した、ずっしりとした手応えのあるステージだったのが、なんか不思議だった。1回目というのもあって、ステージから放たれる気合いの量がハンパじゃなかったからだろうか。
あと、こうして生で聴くと、初期の頃の曲は、シンプルというか、わりとメロコアの雛形に沿ったオーソドックスな曲が多いんだなあと、改めて思ったりした。1枚目は、「パンク・シーンに闖入したヘビメタ・ギタリスト」Kuboty加入前の音源であり、2枚目の時はもう加入していたけど、まだ今ほどばりばり自己主張していなかった、ということなのかもしれません。違うかもしれません。違ったらごめんなさい。
ともあれ、19:30、ライブ1回目、終了。次は21:00からなので、シェルターから徒歩3分の曽我部恵一さんのお店、CITY COUNTRY CITYに行き、カウンターに陣取り、携帯とパソコンを広げ、会社からがんがん送られてくるニュース原稿などのチェックと返信をしまくるイヤな客と化して時間をつぶす。
2回目
21:00前にシェルターに戻り、観ました。今回もまずセットリストから。
1.Daddy,Brother,Lover,Little Boy
2.Can’t Stop Lovin’ You
3.Someday I’ll Be Saturday Night
4.Kick Start My Heart
5.More Than Words
6.Time To Wake Up
7.Magic Word
8.Rest In Peace
9.Hello&Goodnight
10.Show Me Your Courage
前半5曲は、洋楽ハードロック(って彼らは言っていたけど私的にはメタルです)のカヴァー・アルバム『Hard Rock Reviver U.S Version』からで、後半5曲はその次のミニ・アルバム『Hello&Goodnight』の全曲です。で、前半が大笑いだった。というか、楽しかった。メンバーそれぞれ、「自分が思うメタルな衣裳とメイク」に身を包み、立ち位置もJose(vo&g)がまんなかになり(1回目はShunがまんなかだった)、意識的に「メタルなポーズ」「メタルな表情」「メタルな演奏」に徹して、MR.BIG、ヴァン・ヘイレン、エクストリームなどのカヴァーを次々とプレイ。
まず単純に面白いんだけど、面白いだけじゃなくて、さっき書いたギタリストのKuboty、この人のギターのメタル魂、TOTALFATの重要なキーになっていることがよくわかる。これ、好みや世代によると思うのでファンみんながそうだとは言わないが、少なくとも80年代育ちでメタル育ちである私の場合、「今は、モロにメタルなのは恥ずかしくて聴けないけど、別の音楽にちょっとメタルの要素を混ぜられるとたまらなく弱い」という性癖があります。そこをびしびし突いてくるのです、この人のギター。「ああっそのフレージング!」「ああっその音色!」「ああっ速弾きの時のその音の駆け上がり方!」という瞬間だらけでした。ちなみに、横山健のギターにも私はそのメタル色を感じる瞬間が多々あって、そこがとても好きなところでもあります。
その勢いで後半も一気。2ステージ目という疲れや慣れはゼロ、最後まで、まるで始まったばかりみたいなテンションで駆け抜けたステージだった。そのせいか、終わってバンドがステージを去り客電がついても、アンコールを求める声がやまず、上半身裸のShunが出てきて、「すまん! もう曲ないんだ! 続きは明日!」と謝っていました。
はい。というわけで、明日に続く。(兵庫慎司)
TOTALFAT @ 下北沢シェルター (2公演)
2010.04.08