the crickets @ 下北沢GARAGE

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the crickets @ 下北沢GARAGE  - スズメナインティーンスズメナインティーン
the crickets @ 下北沢GARAGE  - CoolRunningsCoolRunnings
the crickets @ 下北沢GARAGE  - SAMURAI JACK UNIVERSESAMURAI JACK UNIVERSE
5月12日に、JACKMAN RECORDSからリリースとなった5曲収録のミニ・アルバム『Fortune Oclock High』(詳しくはこちらをご覧ください! → http://jack.ro69.jp/contents/records/artist/thecrickets.html)の、リリース・ツアーの初日となるレコ発ライブ。しかも、ゲストは、CoolRunningsとSAMURAI JACK UNIVERSE、そしてオープニング・アクトはスズメナインティーン、という、すべて「RO69 JACK」企画の優勝バンドかもしくは入賞バンド、というメンツ。
我々が何かしたわけではありません、彼らの自主的なものです。でも、これは全部観て、ちょっとずつでもなんか書かないと、と思い、頭から観ました。写真も撮りました。
ではひとことずつ。

1.スズメナインティーン
「RO69 JACK 2009」入賞バンドで、そのコンピにも1曲収録(ここ → http://jack.ro69.jp/contents/records/artist/ro69jack2009.html)。つったったままほぼ身じろぎもせずに歌う、時にはキーボードも弾く女子ボーカル&男子ギター・ベース・ドラムの4ピース・バンドなんだけど、日常とか俗世とかとすっぱり切り離されたみたいな、独自の世界観とかタイム感を持っていて、妙に聴かせるし観せる。特に、予測のつかない転がり方をするメロディと声が魅力。前に「RO69 JACK」のライブ映像収録で観た時よりも格段によかったです。

2.CoolRunnings
こちらは1回目の「COUNTDOWN JACK」人気投票1位優勝バンド。JACKMAN RECORDS第2弾リリース作品として今年1月にリリースした『HYBRID HUMAN』(ここを → http://jack.ro69.jp/contents/records/artist/coolrunnings.html)をひっさげて、5月まで全国ツアーをやってたんだけど6月以降も月に3,4本ずつライブ入っていて、どこからどこまでがツアーなんだかよくわからないことになっています。「確かにエモ、でも『いわゆるエモ』にあらず」な音とステージングで、今日もあらゆるエネルギーを撒き散らしてあっという間に終了、そんな矢のようなライブでした。このバンドも、ライブやればやっただけどんどんよくなる。次のワンマンは、9月2日(木)渋谷O-CRESTです。ぜひ。

3.SAMURAI JACK UNIVERSE
スズメナインティーンと同じく、「RO69 JACK 2009」入賞バンドで、そのコンピにも1曲収録。現在は、そのコンピ時とはメンバーが替わっています。で。その入賞時には気づかなかったんだけど、このバンドのボーカル&ギターの江沼拓実って、plentyの江沼の兄です。言われると確かに似ているところもあるけど、兄の方が男っぽくてラウドで熱い感じ。でも、徹底的には熱くない、どこかひやっとするものを感じさせるところには、なるほどなあ、と思ったりもします。つまり、冷たく熱い、ラウドでナイーヴな、ギター・バンド。って書くと普通っぽいけど、その最上級だと思う。とりあえず、演奏と歌と楽曲のレベル、そこらのプロよりも全然上。やはり、「RO69 JACK」のライブ映像収録で観た時より、はるかによかった。日々、よくなっているんだと思った。

4.the crickets
そして今日の主役、the crickets。とりあえず、不思議なバンドである。というか、ヘンなバンドである。どうヘンかというと、「さまざまなジャンルを取り入れる」とか「いろんな音楽的要素が混在する」というのは、今や普通、というか、そうじゃない例を探すほうが難しいけど、その取り入れ方や混ざり方が独特なのだ、このバンド。
ざっくり言うと、基本は歌もののギター・ロックなんだけど、そこに「ポップス」「歌謡曲」「エモ」「パンク」などが、まず入ってくる。と、このへんまでは「よくあるよね」なんだけど、さらに「ソウル」「R&B」「V系」なども入ってくるのです。ソウルは今風のヒップホップ・ソウルとかじゃなくて、昔のソウルね。R&Bも同じくで、今のじゃなくて昔のです。
特に曲者なのが、最後の「V系」で、それメロディに出ているんだけど、要は「速く激しく展開の多いマイナーコードに日本風のメロディをのっけるとV系王道のそれになる」みたいな音楽的法則、あるじゃないですか。9mmとか、ちょっと入ってますよね。HAWAIIAN6あたりにも入っていると思う。あの感じです。だから、何をやってもポップだし、何をやっても聴き手との間の垣根が低くて、とっつきやすいことになる。
で、バンドをそういう方向に向けさせているのは、ボーカルの山田雄大だと思う。1曲1曲の音楽性は、同じバンドとは思えないくらいバラバラなのに(ソングライターが3人いるせいだと推測します)、この人が歌うと、不思議とひとつのラインにまとまるのだ。パワーで押すタイプじゃない、しなやかな歌い方のボーカリストなんだけど、そういうタイプの方が却って強かったり豪快だったりする、といういい実例だと思った。

あと、正直、前にROCK IN JAPANで観た時は「曲強いけど、演奏は線が細いなあ」と感じたんだけど、そこももう、別のバンドのように改善されていた。ライブで鍛えられたんだと思う。
アンコールは、ギター轟とふたりで弾き語りやって、最後にまたバンドセットでシメたthe crickets、この日このツアーのファイナルを発表したんだけど、なんと、新宿ロフトでワンマンだそうです。400とか500入っちゃうハコです。8月20日金曜日。
終演後、もうひとりのギター(サウスポーでかっこいい)の林くんに「でかすぎない?」ときいたら、「そうなんですけど、でもトライしていかないと」みたいなことを言っていた。みなさんもぜひ。おすすめです、このバンド。(兵庫慎司)
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