DOES @ リキッドルーム恵比寿

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DOES @ リキッドルーム恵比寿 - pics by susiepics by susie
「昨日のサッカーは、本田が素晴らしいゴールを決めたね。でも、その後で本田は物足りないって言ってたんだよね。そう、君らも物足りない! 俺らも物足りない!! やりまくりたい!!!!」――W杯日本代表の決勝進出にちなんで、Wアンコールで飛び出したワタル(Vo・G)のMCに、魂の絶叫で応える満場のオーディエンス! DOESの全国17公演に及ぶツアー=『DOES 2010 TOUR「独歩行脚~初歩的衝動編~」』最終日:リキッドルーム恵比寿公演は、まさに2010年ロック決起集会と呼びたいくらいの共闘感と狂騒感に満ちあふれていた。そう、それこそ“曇天”や“サブタレニアン・ベイビー・ブルース”や“夜明け前”など、これまで幾度となく聴いてきた楽曲が、「DOESのロック」を超えて完全に「僕らの鼓動とエネルギー」になっていた。そして、その進化を招いたのは紛れもなく、ワタル/ヤスシ(B・Cho)/ケーサク(Dr・Cho)自身の大きな進化だ。

「『独歩行脚』、今回は『初歩的衝動編』ってことでね。初めてだったんだけど、すげえいいです。楽しい夜にしよう!」とワタル。結果的にシングル『バクチ・ダンサー』(10万枚超えを記録!)直後というタイミングにはなったものの、今回のツアーはそのタイトル通り、「アルバムやシングルなど新作音源のリリース時期とは関係なく、自らの活動の原点=ライブで全国を行脚する」というDOESの3人の意志に基づいて行われたもの。“戯れ男”のダイナミックなキメの破壊力、“太陽病”の濃密なギター・ロックの音像……といったロック文脈のアレンジのみならず、“僕たちの季節”の4つ打ちビートなどダンス・ロック的テクスチャーまで含め、彼らは3ピース・ロックンロールのフォーマットに完全に取り込み、肌を焼くような熱量と鋭利なエッジ感を持つ「DOESのロック」の匂いへと昇華している。だが、この日の彼らのプレイは、さらにその先を行く加速感を持つものだった。1mmたりともロックに甘えずロックに頼らず、自分たちの1つ1つの音とビートで驀進していく……その意志が、スタイルとしてのロックを超えた力を彼らのサウンドと歌に与えていた。

特に、本編終盤の“レイジー・ベイビー”“修羅”“バクチ・ダンサー”3連打! 「東京ベイビーはレイジー・ベイビーですか!」というワタルの絶叫から流れ込んだ“レイジー・ベイビー”での、ハイパーなビートとヤスシのファルセットのコーラスが描き出す、野外フェスの深夜の熱狂のような世界。“修羅”のヤスシ&ケーサクのソリッドなビートを切り裂く、ワタルの白刃のようなコードの切れ味。そして、リキッドルーム丸ごとでっかく揺さぶる“バクチ・ダンサー”の狂騒ビート! そんな熱量を、彼らは紛れもなく3人の音と声だけで生み出してみせた。最高だ。

アンコールのMCで、『独歩行脚』の第2弾『~清水の初恋編~』全国14公演が11月から行われること、そして7月にシングル・ベストがリリースされることが発表され、沸き上がる大歓声!の中、超初期の名曲“ステンレス”へ。DOESがDOESのまま、格段にハード・エッジでパワフルなバンドに生まれ変わったことを証明するようなアクト。「今日はほんとにどうもありがとう! 最後に、世界の果てまで行ってしまおう!」と披露したのは“世界の果て”。ロックの極北の風景を綴ったこの曲すら、オーディエンスを熱く鼓舞する波動として響く。「ナイス東京! ありがとうね」というワタルの声を残して、3人はステージを後にした。

アンコールが終わっても、一向に鳴り止む気配のない声、声、声! その熱気に応えるように、“僕たちの季節”のSEに乗せて登場したのは――“僕たち~”PVにも出演(?)していた凸凹ロボット・キャラクター=「ものたりないくん」。キーパー経験者=ケーサクから華麗なゴールを奪い、この夜のリキッドルームの高揚感に拍車をかけていく。Wアンコールの1曲目、3人は新曲“天国ジャム”を披露。モータウン調の軽快なリズムとカラッとした音の風景が、今のDOESの前のめりな疾走感によってスリリングなロックンロールへ姿を変えていく。そしてーー16ビートもモータウンも自らのロックのエッセンスとして血肉化したDOESだからこそ、この日の正真正銘ラスト・ナンバー“明日は来るのか”で聴かせた彼らの最もソリッドな8ビートが壮絶なエネルギーをもって響く。約2時間・全23曲。DOESの「その先」を自ら祝福するような、感動的なフィナーレだった。(高橋智樹)

<セットリスト>
01 曇天
02 レインボウ・セブン
03 サブタレニアン・ベイビー・ブルース
04 ワンダー・デイズ
05 戯れ男
06 デイ・サレンダー
07 夜明け前
08 チャイナ・マーダー
09 ビート・クラブ
10 太陽病
11 陽はまた昇る
12 色恋歌
13 僕たちの季節
14 ネバー・マインド
15 インディゴ
16 レイジー・ベイビー
17 修羅
18 バクチ・ダンサー

EC1-1 ステンレス
EC1-2 シンクロニズム
EC1-3 世界の果て

EC2-1 天国ジャム(新曲)
EC2-2 明日は来るのか
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