SHAKALABBITS@新木場STUDIO COAST

SHAKALABBITS@新木場STUDIO COAST
SHAKALABBITS@新木場STUDIO COAST
SHAKALABBITS@新木場STUDIO COAST
5月にレコード会社移籍第一弾シングル『NACHO ROLL』を発売し、そのリリース記念として行われた全国ツアー『2010年 サラペのBUS TOUR』。5月23日の日比谷野外大音楽堂を皮切りにスタートし、東京では下北沢SHELTER、恵比寿LIQUID ROOM、SHIBUYA-AX、そして、今日の新木場STUDIO COASTと場所も規模も異なる5か所の会場を回ってきた。バンドの成長とともにライブ会場も大きな場所へとステップアップしていった彼ら。今日の新木場STUDIO COASTでは、少しでもお客さんに近づきたいというMAH(Dr)の希望で、なんと中央に花道のようにせり出し部分を設置したT字のステージ! 始まる前からお客さんの興奮も半端ない。

『NACHO ROLL』のジャケットのイメージでカラフルな骸骨にカラフルな旗、メキシコ・カラーのクロスに光を放つマリア様がプリントされたフラッグ、アンプやマイクスタンド、せり出し部分にはたくさんのマリーゴールドが飾りつけられていて、太陽が燦燦と降り注ぐような明るいステージだ。SEのROLLER COASTER -CubismoGraficoMix-が流れるとフロアからは白くもやが沸き立つくらいの熱気と割れんばかりの大歓声に包まれた。UKIはメキシコ・カラーのロングスカートを纏い、くるくる回りながらハーモニカを吹きならし“COMEBACK ANYTIME”でライブはスタート。とにかく、今のSHAKALABBITSはバイタリティに溢れている。

「今日は本来ファイナルでした」とUKIが説明する。このツアーの途中でベースのKINGが頸部蜂窩織炎という病気のため公演を延期せざるを得なくなった場所があり、これからあと8公演の振り替え公演が残っているのだ。KINGは「待っててくれてありがとう&ごめんね!」と無事に手術を終え、首の手術痕を見せてはだいぶよくなったことを伝えた。UKIは「サラペのBUSは一度車庫に入ってしまいましたが、再び走り出しました。みんなで乗り越えましょう!」と言って“NACHO ROLL”へ突入! 手拍子で溢れかえるフロアをさらにかき回すように、煽動していく力強いバンドアンサンブル。メンバーはもちろん、オーディエンスも、すべての感情を吐き出す場所がライブという場であって、その感情がぶつかり合った瞬間に生まれる一体感は本当に最高だ。そして、オーディエンスを巻き込む求心力は以前にも増しているようだ。

「新曲“SODA”をやります。SODAって私たちみたいでしょ!? いくつになっても輝きたいという気持ちを持って生きていけば、愛する人と一緒に明るく乗り越えていければ、ジジババになってもずっと輝いていけるんじゃないかな。歳のせいにして何か諦めることはいっぱいあるけど、諦めなくてもいいこともたくさんあります。それは笑うこと。笑うことを諦めたらおしまいじゃー!」と叫んで、9月1日に発売されるニュー・アルバム『Phasmeter Trippin'Bug Shake』からの新曲も披露。ライブで曲を育てていくというやり方もSHAKALABBITSの変わらないやり方で、“SODA”もこのツアーでずっと演奏されツアーとともに成長してきた楽曲だ。新曲にもかかわらず、たちまちフロアからはサークルモッシュが起こり、あちこちでソーダ水のように弾け飛んでジャンプする。

「こんなにいろんな人がいて、いろんな想像があって、いろいろ思い通りにいかないこともたくさんあっていやになっちゃうけど、何があっても最後は笑えるように。マイペースに自分の目の前に立ちはだかる壁を乗り越えて、向こうにいけますように」。MCで話すUKIの言葉は心に訴えかけるものがある。シンプルな言葉だけど、バンド自体が壁にぶちあたって、きちんと乗り越えてきた経験をしているからこそ、ものすごく説得力があるのだ。何よりこのツアーでKINGの病という予期せぬ事態を乗り越えてきているからそれはなおさらだ。“Ladybug”で高く飛翔するようにみんなそれぞれの壁を飛び越える。UKIが吹いたシャボン玉がステージいっぱいに舞ってキラキラとした輝きに満ち、壁の向こうの輝くような景色を会場全員で観ているような高揚感に包まれた。

最後にメンバー一人ひとりこのツアーの感想を言っていったのだけど、KINGが「仲良くなるのに年齢なんて関係ないんですよ」と入院生活の話を始めた。入院していた時によくしてくれた60代のおじさんアマノさんの話だ。アマノさんがいてくれたから楽しく明るく過ごせたという。するとなんとそのアマノさんが今日この会場に駆けつけていたのだ。会場からはアマノ・コールが沸き起こり、「人間ひとりじゃないんですよ!そういう大事なことを学んで今、ここに帰ってきました」。とKINGが語る。そして、UKIは「今日はこのせり出しに立って、光が当たってみんなに囲まれてすごい気持ちになった。私は太陽の陽と書いて陽子っていう名前なんだけど、おこがましいけどみんなを照らしたいって思った。みんなが暗い顔をしたら明るくしたいなって思う気持ちがすごいあります」と語った。10年以上もバンド活動を続けていれば、いいことも悪いことも経験してきて、壁も乗り越えている。そういうことをオーディエンスにライブを通して伝えて、共有し合っているからSHAKALABBITSのライブはこんなにも一体感があるのだ。そして、今のSHAKALABBITSには周りに光を与えることができるだけのプラスの力が漲っているんだなと実感する。

最後は残り8本の振り替え公演を無事終えることができるように会場全員で8本締めで締めくくった。「1公演1公演ファイナルだと思ってやっています」といつも彼らは言っているけど、延期した8公演も全力を尽くして回ってくれるはず。そして、9月に発売されるニュー・アルバムの発売後には、畳みかけるようにまた全国ツアーを開催することが決定している。生粋のライブバンド、SHAKALABBITS。今度は私たちにどんな景色を見せてくれるのか楽しみだ。(阿部英理子)
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